2019年度  114本目の劇場鑑賞


イスラエル、フランス、ベルギー、ルクセンブルク合作のコメディードラマ。


パレスチナ人主導で制作されている主婦の間で大人気な恋愛TVドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」でヘブライ語が堪能なのでその指導スタッフとして縁故採用されたサラームは検問所で自分がこのドラマの脚本家だと言ってしまったことから・・・・。


主演のサラームを含むテレビ・ドラマ制作スタッフと役者たちに加え、検問所の所長(イスラエル兵)が絡む制作中のドラマの展開に関するドタバタに近いやり取りとドラマ内のシーンが絡み合って進んで行く。

脚本を書くシーンからその部分の撮影されたシーンへと繋ぐ手法は他でも観たことがあるとは思うが良くできている。


パレスチナとイスラエルとの関係やエルサレムのパレスチナ人自治区、ひっきりなしに起こる紛争のことは皆知っているが現地での一般人の生活のことはなかなか映像にならないので知ることがない。

紛争が無い時のパレスチナ市民(貧困者ではなくそこそこ裕福な一般の市民)の生活を知ることができるだけでもこの映画を観る価値がある、と思った。


ドラマとしては良くできていて少しバカバカしい所もあるが楽しく観ることができる。しかしながら小生を含む多くの人はそれ以外の事も感じざるを得ない。また、子供が観たらこの不思議な環境に違和感を覚えるだろう。


パレスチナ人は常に監視され、行動を制限され、何時でも何処でもびくびくして生活していることがこの映画で良く理解できた。


サラームは脚本家の資質が無いので(最初は)常に人からの助言やアイデアを利用しようとするがドラマの主演女優から聞いた「パリでもオーストラリアでも東京でも占領の無い場所」を自分のガールフレンドに対して言うシーンはお洒落だと思った。また、この台詞が作品の肝だとも思える。


この映画を観て改めて知った(感じた?)のはパレスチナ人居住区の壁はイスラエルとの国境ではなく、アメリカではよくある居住者のみが自由に出入りできる特定住宅地を囲う柵と同じだということ。もちろんイスラエル人にとっての。


コメディータッチに描かれてはいるがパレスチナ系の監督が強いメッセージを甘い砂糖で包むことで多くの人の口に合うようにした作品だと思う。また、そうしなければイスラエル政府が許さないだろう。


評点・・・★★★☆  3.5
『度々登場するフムスなる料理、食べたこと無いな!』