2011年度作品 北千住ブルーシネマにて再上映
2019年度 108本目の劇場鑑賞
リュック・ダルデンヌ とジャン=ピエール・ダルデンヌ兄弟が演出した「イゴールの約束」、「ロゼッタ」、「息子のまなざし」、「ある子供」に続く子供を主人公にした社会派ヒューマンドラマ。2011にカンヌ国際映画祭でグランプリ(審査員特別賞)を受賞した作品。
この子供シリーズの作品(小生がシリーズと言っているだけ)はどれも貧困と最悪な境遇の中で、しかも悪い大人や冷淡な社会に翻弄させられながらも何とか生き延びてゆく子供たちの姿を描いている。
シリーズすべての作品において子役の俳優が素晴らしい。
日本にも天才子役と言われた俳優はたくさんいるが、このシリーズの子役はそれとはちょっと違う。日本の天才子役俳優は本当に演技が素晴らしく、その作品の本質をも理解している頭の良い子が多かったと思うが(「おしん」の子役、小林綾子がカメラ割りまでも気にした演技で「この台詞の時は何カメが撮っているのですか?」と聞いていたのには驚いた)、このシリーズの子役は天才的に演技が上手いわけではない。それはもっと自然な、人間の衝動や動物の本能を映像にした、・・・・つまりそれは演出の妙技だと思う。
シリーズの作品どれもが素晴らしい。子供は本質的には良い子でも環境によって簡単に間違ったレールを進んでしまうことを一貫して描いている。
中でもこの「少年と自転車」は特に良く出来ている。
こなれていて洗練されている、と言った方が適切だろうか。本作以前の作品はどこか気合が入り過ぎ、との感があった(偉そうなこと言っているね!)。
父親に育児放棄され、施設に預けられた少年シリルは親切な女性サマンサに週末だけ面倒を見てもらうことになるが、父親に捨てられたことでの心の傷は深い。サマンサから注意・制止されるも近所の悪ガキと付き合い、罪を犯してしまう。
どんなに突き放されても、それでも父親に受け入れてもらいたい。その一心で善悪の判断もできない。
最後にはサマンサの愛情を理解するようになるが・・・・・。
善良そうな人も実は最悪。
愛情に飢えたナイーブなだけのシリルが不憫に思える。
また、このシリーズには必ずオリヴィエ・グルメが何らかの役で出演し、「イゴールの約束」ではほんの少年だったジェレミー・レニエが「ある子供」では大人になり切れない青年を演じ、この「少年と自転車」では少年の父親役として出演していることも興味深い。
「ロゼッタ」だけは最後まで救われないが、シリーズの他の作品と本作はちょっとだけ光が見えて終わる。やはり全く救われないで行き場が無くなる映画は嫌だな。
BGMは劇中3回。しかもほんの数秒だけ。シリーズの他の作品では全く無かった。これも洗練された一つだろうか。カメラワークを含む映像は自然で安心して見ることができた(「息子のまなざし」では挑戦的なカメラワークだった)。
自転車で町を駆け巡る少年の目は鋭く、そして悲しげ。
評点・・・★★★★☆ 4.5
『これで北千住のシネマブルースタジオでのリュック・ダルデンヌ とジャン=ピエール・ダルデンヌ兄弟特集が一段落した。』
