2019年度  103本目の劇場鑑賞(柏キネマ旬報シアター)


シェイクスピアの戯曲を基にしたヘンリー5世の若き日を描いたNetflixオリジナル作品。

ハル王子(ティモシー・シャラメ)はイングランドの王位継承者だったが酒や女にうつつを抜かす気ままな生活をしていた。しかしながら父親のヘンリー4世の死去に伴いヘンリー5世として即位することになる。

ヘンリー5世は父親と違い無意味な戦争を嫌っていたが・・・・。

あれだけ戦争を嫌い、交渉によって他国との問題を解決したがっていたのにちょっとした陰謀に引っ掛かるとフランスにまで進軍してしまう。途中犠牲者を伴う戦争を再び躊躇したり、和解を試みたりもするが最後は捕虜をも皆殺しにしてしまう。

国王としての重責と自分の判断に対する不安の表情はまあまあだったとは思うが、もうちょっと違った苦悩の演技も見たかった。ティモシー・シャラメのそれは寡黙と激高の2パターン。

考えが行ったり来たりで一貫性が無い、というかむしろテンパーなのは史実なのかシェイクスピアの作り事なのか。

映像は古典作品らしい柔らかい照明で綺麗だったが暗部のディテールをもっと鮮明に見せるにはダイナミックレンジが足りないと思った。映画はテレビの規格に制限されずに更なるHDR(High Dynamic Range)化に進んで行って欲しい。もちろん階調の多さに加え劇場で使用するプロジェクターがもっと高輝度になって行かなければならないことは言うまでもない。

また、気になったのが字幕。文字の黒エッジが太目で、劇場で観るには少し邪魔だと感じた。ネット配信用だからだろうか。

それなりに費用が掛かった作品だとは思うがフランス軍と戦うシーンでの軍勢の数が中途半端。昔のハリウッド映画だったら1万人以上のエキストラを使った壮大な映像にしたことだろう。

当時の戦争はあれほど徹底的にどちらかがほぼ全滅するまで剣や槍で戦ったのだろうか。そうは思わない。日本の戦国時代の戦でもそこそこ戦うと後方の多くの兵士(多くは元々百姓)は散り散りに逃げた、と聞いている。

何故人類は戦争をするのか。太古の時代から現在までも。またこれからもずっと戦争を止めないのは人間の本能なのだろうか。作中でも少しだけこれに触れた台詞があった。

泥でグチャグチャの中での乱闘は敵味方が密集し過ぎてちょっと何が何だか・・?・・。

同じ泥でグチャグチャでも「七人の侍」の三船敏郎は良かった。がむしゃらでデタラメな剣さばきがむしろリアルに思える。

音響やBGMも重厚で映画らしい映画だとは思うが心に残るものは無かった。


評点・・・★★★  3
『死刑台で首を刎ねるシーンは「マルリナの明日」と同様に良くできていた。結構ショッキングだったが、観覧年齢制限無しのG?』