2019年度 86本目の劇場鑑賞
木下啓介、1954年の作品。小学校の先生と12人の生徒の人生ドラマ。
昭和3年の春、瀬戸内海の小豆島の岬の分校(小学校1年から4年まで。それ以降は町の本校に移る)に就任してきた新人の大石先生(高峰秀子)は12人の1年生を受け持つ。洋服を着て50分かけて自転車で登校する彼女はハイカラなモダンガールとして珍しがられ、生徒の母親たちからは最初疎まれるが生徒からは人気があった。彼女は生徒のいたずらにより足に怪我をしてしまう。分校までは通えないので本校に転任することになったが5年生になった生徒と本校で再会する。
軍国主義の空気が濃くなり、島は不況のため学校を続けられない生徒も出てくる。男の子はみな早く軍人になりたいと話し、先生に「先生は兵隊が嫌いか」と聞かれると「先生は漁師や米屋の方が好き」と答え、これが問題となる。
やがて結婚した大石先生は軍国教育を嫌い、受け持ちの生徒が卒業する期に教師を辞めてしまう。男子生徒は皆戦争に行き、夫にも赤紙が来る。
そして終戦。「かあさんは日本が負けて泣かないのか」と悔しがる息子に「たくさん泣いたわ。死んだ人が可哀そうで」と返す。
しばらくして大石先生は再度岬の分校で教鞭をとることになる。そこでは最初に教えた生徒の子も含まれていた。今度は自分たちの子供がお世話になることになったので謝恩会を開くことになる。そこに集まったのは5人の元女生徒と2人の元男性徒。1人は戦争で失明していた。他は戦死。
2時間36分の大作。常に歌があり、音楽がある。モノクロの作品ではあるが絵が(映像の構図、レンズの選択)素晴らしい。木下啓介監督はセットの中、カメラポジションを最初に決め、そのアングルから役者に芝居を付ける演出をしていたことを思い出す。
戦前、戦中の体験を話せる人が少なくなってきた。この作品はそのころの事を伝える語り部として永久に保存され、日本人全員が観るべきだと思った。
評点・・・★★★★★ 5


