(sheen 新作)
2019年度 71本目の劇場鑑賞
レバノンの首都ベイルートが舞台の貧困、教育、移民問題をテーマにした人間ドラマ。
極貧で子沢山家族の長男ゼインは自分の誕生日も知らない(推定12才)。雑貨店で働き家計を助けていたが、両親により妹がその店主と強制的に結婚させられてしまったことに反発し、家を出る。
放浪先で知り合ったエチオピアからの移民女性の赤ちゃんを世話してしばらく暮らしていたが彼女も不正就労で連行されてしまい途方に暮れる。
ゼインは刑務所から電話相談を受け付けるテレビの生番組に電話をし、親を訴えると申し出る。告訴理由は自分を生んだことだ。
裁判所でゼインは「育てられないのであれば子供を作るな」と訴えるが母親は懲りずにまた妊娠していた。裁判官から「11才の女性は結婚にふさわしいか」と聞かれた被害者の雑貨店店主は「彼女は既に熟していた」(初潮後)と返答する。
出生届けをしない家庭に生まれた者は戸籍が無いため当然身分証明書も出生証明書も無い。「存在のない子供たち」だ。その子供たちを売買する輩も多い。
存在のない子供は罪を犯し、逮捕されることでやっとその存在を認められ(写真付きの犯罪経歴書が作られるため)、身分を証明できるようになる。
作り上げられたフィクションのドラマとは思えない素晴らしい演出と演技。1才の赤ちゃんを含む子役たちの演技(?)のシーンは動物や自然現象を撮影したドキュメンタリーのようだ。
この作品と比べると「万引き家族」はディズニー映画だな。
多くの人に観てもらいたい。
評点・・・★★★★☆ 4.5




