(モッサン 新作)

2019年度  14本目の劇場鑑賞


ドイツ映画。

旧東ドイツ、ライプツィヒ近郊の巨大スーパーマーケットが舞台。

そこで働く従業員3人と、そこで使われているフォークリフトの゛3人+1台゛が主人公。

ベルリンの壁崩壊後、東西再統一により祖国を失った悲しみを静かに受け止めて、日常に起こるささやかな幸せを゛希望の灯り゛として淡々と生きてゆく人々の何でもない物語。

主役の新人がベテラン女性従業員に恋心を寄せていく様が物語の最大メイン。

この作品は引き算だ。

出来事を大げさにデフォルメする事なく、逆に削ぎ落として、主人公たちの心の隙間にスポットライトを当てている。

冒頭、閉店後のスーパーを「美しき青きドナウ」に乗せて滑る様に走るフォークリフトは、゛うわっ!2001年宇宙の旅だっ!゛と思ったらやはり監督はそれを意識している様だ。

他にも、「G線上のアリア」で滑らせたりしてまるでフィギュアスケートの様。

ラストでは、私の敬愛するブルースマン SUN HOUSE のア・カペラソング゛grinin in your face゛が挿入されていたり、クラシックやブルースまで劇中歌には相当こだわっている事が伺える。

資本経済大国ドイツ、同じ国の中でも取り残された感のある東側ではその恩恵を受ける事もさしてなく、フォークリフトが上下するさまに波の音を感じるのは、心の豊かさなのか?はたまた貧しさなのか?

ここ日本でも、経済や権力は中央集中が甚だしく地方は過疎や災害で疲弊するばかり。

成長と退廃のシーソー。
とても憂いの残る作品だった。



おススメ度・・・★★★☆ 3.5
『好きなタイプの作品だがなんとなく減点方式で観てしまった。①如何に引き算的作品でも前半は凡庸が過ぎた?。②主役男女にあまり魅力を感じなかった(これは狙いでもあるとは思う)。③もうひとりの主人公に起こる悲劇の過程がもう少しだけ説明的でも良いと思った。しかし全体的にはとても良く出来た大人な作品だと思う(当上映回の観客をざっと見渡したら60才平均位だった)。』

↓予告編