トリオ・ベルガルモ
ヴァイオリン:庄司愛さん
チェロ:渋谷陽子さん
ピアノ:石井朋子さん
いつも素晴らしい演奏を聴かせてくれるベルガルモさんの公演。今回も昼夜の2回公演。私はチケット発売となったかなり早い段階で、まだ他公演の情報があまりないときに、夜の方が他公演とかぶる可能性が低いかな、ということで夜公演を選択。
ただ、その後、夜に山田さんのピアノ公演が開催されるということを知ってちょっと失敗したな、と。でもまあやむなしです。
正直いえば、(昼公演はわかりませんけど)夜公演はベルガルモさんにしては珍しく満席という感じでもなかったですね。用意された席は埋まっていましたけど、椅子も前売り枚数に合わせて準備されているようで並べようと思えばもっと並べることはできそうな感じでしたね。
また今まではそんなに意識しませんでしたけど、やっぱり客層は男性のお客さんが目立つような。私も含めてですけど。
特に最前列(笑)。
庄司さんは青、渋谷さんは黒、石井さんは赤で皆さんレース柄が印象的な非常に大人っぽいドレス。美しいです。
ベルガルモさんの演奏会はいつもバラエティに富んだ選曲ですけど、この日も面白いプログラムでした。
まずはベートーヴェン「幽霊」。
曲名の由来ともなっている第2楽章。確かに暗く沈んだ感じではあるのですが、不思議とそこまでおどろおどろしさというか不気味さは感じません。なんとなくですが、日本の幽霊というと見た目も不気味でうっすらとその辺に浮かんでいる、というようなイメージですけど、西洋の幽霊は死者ではありますけど、容姿は凛々しいイメージ、、、というか。
完璧に個人の印象です。
2曲目は「Ah! ハイドン」。
曲名に記憶がありますので、おそらく何年か前にもベルガルモさんは演奏しているはずです。あえて、そのときの感想を見返す前に書きますので同じことを書いているかもしれませんが...
ベルガルモさんの公演では大体1曲は含まれる現代曲。石井さんもピアノの内部の弦を弾いたり、ピアノ本体を叩いたりもしています。
現代曲らしく曲全体がイメージしづらいというか流れが予測できないような感じもありますが、それはそれで面白いですね。
前半はまるでホラー映画を観ているような、、、なにか気配のみを感じさせ「出るぞ、出るぞ」と煽るような感じでしょうか。
後半はもうちょっとストーリー性がついているような、ホラー映画ではなくミステリーというかサスペンスというか、、、。
ただ全体として私は「ハイドン」について全然知りませんけど、こういった曲に「ハイドン」の名前が付くのがまた興味深いです。
曲のコード進行? とかそういったところを分析するとハイドンの曲とか特徴に一致するとかそういった明確な敬意というかオマージュが含まれているのか、それとも純粋に作曲者の「ハイドン」のイメージなんでしょうか。
休憩を挟んでメインはショーソンのピアノトリオ。
今回の公演でどの曲も素晴らしかったですが、やっぱりこれが特に素晴らしかった。
曲自体も非常に壮大な感じですけど、長年トリオを組んでいる3名が丁々発止、ユニゾンしたり、掛け合ったり、素晴らしい演奏でした。
なんとも力強い演奏で、濃厚というか、骨太というか、分厚いというか、改めて凄いトリオです。
アンコールはドビュッシーの夢想。しっとりと癒しの美しいメロディーです。
わかっていましたけど、期待通りの素晴らしい演奏会でした。
(スタジオA 前売り 2000円)