越友楽道
チェロ:根津要さん
チェンバロ:笠原恒則さん
絵画:山口達己さん
ヴィオラ・ダ・ガンバ:中山徹さん
毎年定期的に公演を開催している越友楽道さん。今年は、表のゲストとして画家(写真家でもある)の山口達己さん、そして裏のゲストとして、ガンバの中山さんを迎えての公演でした。
絵画とのコラボとして思い浮かぶのはソプラノの柳本さんのISISシリーズで猪爪彦一さんの絵画で飾られるのが思い浮かびますけど、独特の空間というかその音楽世界に引き込まれるというか、いい雰囲気になりますよね。
今回は会場も県政記念館という趣のある建物で、ちょっと雨が降っている状況で、
雨を待つ男山口さんの絵画を見ながらの音楽というのもなかなかオツなものです。
開演ちょっと前に到着。議場に向かうと予想ではもっと絵が展示されていると思ったのですが、実際には数枚。あら? とちょっと予想外。
ただそれとは別に山口さんの作品集のアルバムが自由に見れるようになっていました。
そのアルバムには完成品の写真だけでなく、雨に打たせる前の原画だったり、そのときの雨の様子などの記載もあって非常に興味深かったですね。
・原画もいかにも抽象的なものもあれば、原画自体は花の絵のようにモチーフがあったり、
・そのときの雨(および雪)の描写もいろいろな表現があるんですね。たとえば小降り、中降り、大降り、土砂降りだけでなく、ぽつりぽつり、パラパラ、しとしと、さわさわ、などなど。
・雨の打たせ方も単純に打たせるものだけではなく、原画に書道用紙や和紙をかぶせてから打たせることにより、雨の後に原画の変化だけでなく、かぶせた紙に移りこんだ模様もまた面白いものになっていたり、、、
山口さんはもう800点以上もこういった雨に打たせる作品を作成されているそうです。すごいです。
そんな作品を見とれているうちに時間となり開演。前半は根津さんと笠原さんでの演奏。
それぞれのソロもあり、当然ですけどお二人での演奏もありました。
また今回特におや? と思ったのが根津さんの G.クラムのチェロソナタ。
お二人の演奏会だと基本的にはバロックというか1700年代くらいの曲がメインだったと思うのですが、この曲はバリバリの現代曲。引っかくような奏法もあったりしてちょっと意表をつかれましたけど新鮮でした。
また、各曲ごとに演奏者の皆さんの脇に展示されている山口さんの絵画も切り替えられたのですが、こちらもどことなく宇宙の星雲を思わせるような作品だったり、パステルカラーっぽいやさしい色使いの作品があったり耳だけでなく眼で楽しまさせてただきました。
特に根津さんの現代曲のときには3楽章の曲でそれぞれの楽章ごとに作品が変更されたのですが、第1楽章が今回展示された中では特に異質な感じのするかなり暗いモノトーン調の小品に対して、3楽章がなんとなく闇夜からの朝焼けというか光をイメージさせるような作品で、その辺も「ほほ~」という感じでしたね。
そして、各曲ごとに展示された作品は改めて会場に展示されていきました。会場に入ったときに最初は数枚しか展示されていなかった謎(?笑)が解けました。
休憩後の後半はシークレットゲストでヴィオラ・ダ・ガンバの中山さんが登場。
ぱっと見はチェロに似ていますが、やっぱり古楽器ぽいちょっと渋くも味のある音色ですね。
中山さんの挨拶では楽器としてチェロに対抗意識を表しているようなコメントもありましたけど(笑)、演奏はチェンバロ、チェロ、ガンバそれぞれが煌きつつ、調和していてとても素敵な演奏でした。
とても風流というか趣のある演奏会でした。
(県政記念館 事前申込み 2000円)