ハイエンドコンデジが欲しいけど、どれも性能を重視しすぎてボディは大きめだしズーム倍率は低めだし、わたしはもっと気軽に使える実用性重視のハイエンドコンデジが欲しい、というなら、真っ先にパナソニックの「DMC-LF1」(以下 LF1)をチェックである。
【写真で見る:望遠に強い“ちょっといいカメラ” 「DMC-LF1」】
普及型コンデジが低コストとズーム倍率アップのため、レンズは暗くなり、使い勝手もフルオート中心になってカメラとしての魅力が微妙になっている現在、コンデジの主力の座をLF1が奪っても不思議はないというくらい。
そういう意味で、面白いところを狙ったなあと思うのである。何しろ軽くて普及型コンデジに近いズーム倍率、でも写りはワンランク上というカメラなのだ
●LF1の3つの特徴
LF1には特徴が3つある。1つめはセンサーサイズとボディサイズ、それにレンズの組み合わせが絶妙なこと。
ボディは小型ハイエンド機の代表的な製品のひとつである、キヤノン「PowerShot S110」に比べて縦横高さそれぞれ1~3ミリ程度大きいだけのサイズ。重さは約192グラムと軽く(PowerShot S110とほぼ同じ)、手にしてみるとハイエンド機とは思えない小ささである。
それでいてレンズは28~200ミリ相当の7.1倍ズームと、この大きさで200ミリまでいけるのだから実用上文句ない。そのレンズはこのズーム倍率でF2.0-5.9を確保。普及型コンデジより1段は明るい。PowerShot S110が24~120ミリ相当でF2.0-5.9だから、広角側はちょっと弱いけど望遠には強いという、ほどよいスペックだ。
試用した感じでは、このレンズスペックでこのサイズなら十分便利というところ。ハイエンド機として考えるならばもう少し望遠端での明るさが欲しいところだが、LF1は「大きくて高性能なハイエンド機」ではなく、「小さな普及型ハイエンド機」を目指した感があり、それであれば納得できる。
撮像素子は1/1.7型の高感度MOSセンサーで有効1210万画素。同社のF1.4-2.3という明るいレンズを持つハイエンドコンデジである「DMC-LX7」と同じものと思っていいだろう。ISO感度はISO80~6400。拡張ISO感度としてISO12800まで行ける。
2つめの特徴はEVFを内蔵したこと。このサイズでEVF内蔵はすごい。
高齢化社会に伴って、デジカメ購入者の年齢層が上がり、老眼率も上がっている(と思われる)昨今、背面モニタは細かい文字がどんどん見えづらくなってる。対してEVFは視度補正機構を備え、また、フォーカスの調整ができるため、老眼にも優しい。
ただLF1のEVFは非常に小さく、クオリティは高いとはいえない。入っている液晶パネルは0.2型/20.2万画素相当で、イマドキのEVFとしてはかなり小さくて粗い。それでも、あるのとないのでは大違いなのだ。
EVFのクオリティは重要だ、おれはファインダーをのぞいて撮りたいんだ、という人はもうちょっと大きなカメラにしてください、と。もっとも、このクラスでは富士フイルムの「FUJIFILM X20」がちゃんと使える光学ファインダーを搭載、DMC-LX7とオリンパス「STYLUS XZ-2」、ソニー「DSC-RX100 II」が外付けEVFに対応、というくらいで選択肢が少ないのも事実だけど。
背面液晶は3.0型92万画素とEVFがついたからといって小さくなったりはせず、大きくて見やすい。
3番目の特徴は、なんかLUMIXっぽくないこと。
これはLF1に限ったことではなく、2013年型のLUMIXから変更された点。電源スイッチ(ボタン)が従来のスライドスイッチではなく、他社と同じボタンになり、バッテリの充電もUSBを使った方式に変更された。外観も両端が丸くなり、ボディに横線が1本入った。ちょっとソニーのDSC-RX100っぽい。
操作系はDMC-LX7をよりシンプルにした感じ。
レンズ周りにはコントロールリングが装備され、背面のダイヤルと合わせてツインリングのようになっている。コントロールリングの機能はカスタマイズ可能。これは積極的なカスタマイズがお勧め。
たとえば絞り優先AE時、標準設定ではコントロールリングが「絞り値」になる。のだがそのとき背面のダイヤルも「絞り値」なのだ。これはもったいない。たとえばコントロールリングを「ISO感度」にすると、レンズ側のリングはISO感度、背面のリングは絞り値と別の役割を与えられる。自分が使いやすいようにしたい。
背面のボタンのうち、「Fn」ボタンもカスタマイズ可能だ。ここに好きな機能を割り当てていいが、デフォルトでは新機能の「構図ガイド」に割り当てられている。 従来のカメラも画面にグリッド線や十字線を表示して構図の助けにする「グリッド表示」機能を持っていたが、LF1はそれをさらに進めて、目的別の「構図ガイド」に仕上げてきた。
黄金分割、黄金分割+被写体(黄金分割の上に被写体をここに置くといいよ、っていう枠も表示される)、奥行きを出すS字、対角線、放射線など解説付きで8種類(左右それぞれのバリエーションを含むともっと)用意されている。
上手な写真を撮りたいというときの参考としてはすごく便利。
今までのデジカメはシーンに応じたセッティングを強化してきて、「シーン自動認識」にまで達したが、次は「構図」というわけだ。
●Wi-FiとNFCでスマート家電
パナソニックのデジカメであるからもちろんWi-FiとNFCを搭載。このサイズによく収めたなあというくらい、その辺はきっちり押さえてきた。この「スマート家電」式は、デジカメとスマホのデータのやりとりはWi-Fiで行うけれども、「Wi-Fiの設定」情報をNFCで送信することで、スマホからデジカメへの接続を自動的に行う。
スマホ側で専用アプリ(Panasonic Image App)を起動して、スマホとカメラのNFCアイコンを合わせて(触れさせて)転送すればいい。ただし、NFCを持たないiPhoneや一部のAndroid機では使えない。従来通り、画面に表示されたパスワードを打ち込んで手動でつなぐ必要がある。
Wi-Fiで行えるのは、リモート撮影と画像転送。また、アプリ側でGPSログを撮っておけば、その位置情報をカメラ内の写真に転送して写真にジオタグをつけることができる。リモコンに転送、それに連携と、役立つ3大機能はしっかり網羅している。
パナソニックの場合はさらに、リモート撮影時に細かいコントロールが可能なのが特徴で、ズーミング、撮影モード変更、ISO感度や露出補正など様々な調整が可能だ。これは便利。
もうひとつ、家庭や屋外のWi-Fiスポットなどすでに無線LAN環境下にある場合は、そのアクセスポイントを経由した接続が可能なのもうれしいところだ。
LF1は一見すると「廉価版のハイエンド機」のように思えるけれど、それなりにいろいろ手を打ってて、普及型コンデジでは物足りないけどちょっといいカメラが欲しいという人にはすごく魅力的に仕上がってる。何より、従来のコンパクトハイエンドより望遠に強いのがいい。
細かい画質の良さとかレンズの明るさ、あるいは操作系にコダワリたい人には物足りないが(そんな人にはDMC-LX7といういいカメラがあるし)、普及型コンデジよりワンランク上の画質で、普及型コンデジのように広角も望遠も気楽に撮れるカメラが欲しい人にはイチオシ。ただしEVFに過度な期待をしないこと。このサイズでこの価格でEVFがついているのをまず評価ということで。
でも将来、ハイエンドコンパクトの半分はEVFが搭載されるようになると思っております。老眼人口は増える一方ですしね。
[荻窪圭,ITmedia]
(この記事は製品(ITmedia デジカメプラス)から引用させて頂きました)