『覚えてないけど、キミが好き』発売記念、比嘉智康スペシャルインタビュー(後編) | 一迅社文庫編集部のブログ

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一迅社文庫の最新情報を最速で紹介……できるといいなという編集部ブログです。

新刊情報など中心に更新していく予定。

え、前編はどこ? と言われそうだなと思ったT澤です。

今回は特別企画として、アキバblogの俺妹インタビューとかでお馴染みの平和の温故知新の平和さんと連動してのインタビュー企画になります。
前編未読の方はまずこちらからどうぞ。

平和さんのブログでご覧になってこちらへいらっしゃったかた、後編は以下からスタートですので楽しんでいってください。
覚えてないけど~ってどんな話なのというかたは、ストーリー紹介をこちらでしていますので、先にご覧いただければと思います。
覚えてないけど、キミが好き (一迅社文庫)/比嘉 智康
¥670
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前編は比嘉先生のデビューからの足跡を追いましたが、後編ではついに一迅社文庫から刊行の新作『覚えてないけど、キミが好き』についてをお聞きします!
(直接的な内容への言及はありませんが、一部に作品のネタバレを含む可能性があります)

―――そして話題は今回の一迅社文庫での新作にいきたいと思います。書くことになった経緯というのは?

T澤:というか、なんで連絡取ってきたの?というところからですよね。

―――比嘉さんから連絡を?

比嘉智康(以下、比嘉):そうです。ちょうど1年くらい前で、一迅社さんの問い合わせフォームから連絡しました。初めてでしたね、MFさん以外に連絡したのは。
連絡した時に大きかったのが、一迅社文庫さんのブログで自分の名前が出てくるというのがありました。「MFの比嘉って誰?」という話にはならないだろうと。少なくとも僕のことを知ってくれているというのはありがたかった。

T澤:うちの編集部も連絡があった時は大爆笑でした。早速「私が知っている作家さんだから、私が連絡をとる!」と手を挙げましたよ。

―――まさかあのブログが勧誘活動を兼ねているとは!

T澤:そうなんですよ。あれで結構声をかけてくる方もいます。ちなみにいま募集しているのは○○○○の作者さんです(笑)まぁそれはともかく、やっぱりあの当時は悩んだりしたんですか?

比嘉:当時は僕、色々あって焦っていたというか、書ける機会がなくなるんじゃないかと思って。どこか僕を使ってくれるところがあるなら頑張りたいという気持ちでした。

―――話を持って行くにあたって作品のネタのようなものは幾つかあったのでしょうか。

比嘉:はい、幾つかあったのですけれど、だんだん取捨選択していきました。すごいものを思いついちゃったとしても、あとで考えるとそうでもないこともあります。でもこれは最初より更に面白いアイディアが浮かんだ時じゃないと気付けない。結局は現時点で一番面白いと思っているやつを信じて書くしかないんですよね。今回はT澤さんがマメに電話をくださって、色々と話した中でいいアイディア貰ったなとか。一人で考えていると数週間かかるような内容が、電話の打ち合わせを1回するだけでカチッと決まることもありました。

T澤:比嘉さんの場合は北海道在住という距離問題もあったので、電話という手段も多用しましたが、私はこれまであまり電話とメールだけって、やったことがなかったんですよ。

比嘉:北海道だと編集さんと顔つきあわせて話す機会もなかなか無いので。次はこういうふうに話を書いていきますというのをメールで送ると、細かい気になる点とか自信のある点とかを伝えきれないんですよね。作品に対して相談が足りない時は自分でとにかく考えないと、という気持ちになって。疑問があったら自分で考えぬかなきゃダメだな、と。それで何にも出ないというところまで考えぬいて、それでも出なかったら聞こうというのが癖になっていて。

―――そういうところがT澤さんと頻繁に打ち合わせていたことで解消されたわけですね。

比嘉:読者さんからすると、作者が一人で書いたってふうに見えるかもしれないんですけど、小説は本当に周りの人の言ってくれたこととかで助けられたり刺激を受けていたりするので、だからこそ今回の作品は完成したという部分が大きいですね。「覚えてないけど、キミが好き」は今回T澤さんとじゃないと作れなかった作品だと思います。

T澤:ヨイショしても印税率は上がりませんよ(笑)

(一同笑い)

―――では早速、内容についても質問です。物語の原型はどうやってできましたか?

比嘉:これは多分にT澤さんから刺激を貰ったといいますか……

T澤:最初に「ヒロインは何人くらいがいいか」といった質問を投げてきてくれたんですよね。それでまぁ二人で、とか回答して。段々と形を作っていった。

―――この作品で重視したところなどは。例えばダブルヒロインのうちどっちがメインでしょう。

比嘉:ああ、これはですね。僕としては他作品もそうなんですけれど、なるべく作者はキャラを平等に愛そうと思ってまして、読者さんが読んだ時にひなたがいいよね、ゆららがいいよね、と言って頂けると嬉しくて、今回の作品の中だとゆららとひなたのパワーバランスみたいなものを互角にしたいな、と思っていました。

T澤:元カノの「ゆらら」と妹の「ひなた」、どっちのヒロインをカバー(表紙)に持ってくるかで悩みましたね。比嘉さんに1巻時点ではどっちがメインなんですか、と確認したら「あと2週間待ってください」とか。

比嘉:そうですね。二人ともメインヒロインという感じ。どっちが表紙になっても満足するとは思うんですよね。ただこれはT澤さんとも話して、二人が並んでいる表紙はやめよう、一人にしようとは言いました。出来上がってきた本を見てなおさらそうして良かったと思いますね。

T澤:ライトノベルは表紙の面積が狭いので、ヒロイン二人入れてしまうとキャラが小さくなっちゃうんですよね。しかも題名のロゴが3分の1を占める。そうなると3分の2をまるごと一人のヒロインに使ったほうがいい、とそういう理由でどっちかのキャラに取捨選択せざるを得なかった。その結果、現時点ではゆららのほうが先に来た感じですね。

―――そういえばですが、イラストだと各キャラとも露出多めですね。

比嘉:ひなたのおしりが丸見えのシーンとかあるのですが、希望つばめさんがいい仕事してくださるなぁ、と。うちのおかんも『ギャルゴ!!!!!』からずっと作品を読んでくれているんですが、そのおかんも「女の子可愛いね」と(笑)

T澤:「あんた、なんてもの書いているの!(怒)」とか言われなくてよかったですね。

比嘉:いや、『ギャルゴ!!!!!』のときに言われました(笑)凄いもので、50過ぎのおかんがライトノベルの良し悪しを最近すっごくわかってきています。

―――ご家族の温かい応援があるということですね。タイトルもじんわりと良さが伝わるようになっています。この題名はどうやって生まれたのでしょう。

比嘉:そうですね、僕が「タイトル候補を考えます」とメールしたらすかさずT澤さんから案を10個くらいくれて助かりました。

T澤:基本的に他の作家さんも皆そうですけど、題名は両方(作家と編集)で考えようという前提でやっています。この作品の場合はドラマの題名から持ってきた形ですね。最初は洋画関係の題名から選ぼうかなと思ったんですがしっくりこなくて、次に日本の80年代ドラマなどで面白そうなのを探して、『世界で一番君が好き! 』というのがありまして。そこに他の案で「覚えてないけど~」というのがあって、それを組み合わせてみちゃおう、という形で提案しました。

―――惜しくも敗れたタイトル案などはありますか?

比嘉:僕もドラマからなんですけど、90年代の『妹よ』って作品があって……

T澤:比嘉さんは『妹よ、兄貴の献身を見よ』って出していましたが、そこからだったんですね。だとするとこれはひなたがヒロインかな、と思いましたがゆららも目立っていた。

―――今回の作品は結構続きもきになりますが、今後の構想もあるのでしょうか

比嘉:これが実はですね、『覚えてないけど、キミが好き』は2巻から更に面白くなります。いや、そんなこと言っちゃっていいのかな(笑)結構、妹にスポットを当てて続きの話を書きたいというのがありまして、そこには作者本人としては自信があります。T澤さんと語り合ってより精度を増していきたいと思います。

T澤:そのためにもぜひ読者の皆様は応援よろしくお願いします(笑)応援の結果として出る売上が、2巻を出せるかどうかを支えてくれます。

比嘉:そうなんです!

―――少し内容にも触れるのですが、読んでいて強く連想したのは『ギャルゴ!!!!!』でした。登場人物たちの不器用な青春模様な主人公の語り口調が近かったように思います。

比嘉:主人公の文章を書いている時はしっくり来るものがありましたね。隙あらば読者さんが思っている「比嘉智康ってこうだよね」というイメージをいい意味でぶち壊していきたいと思っているんですけど。

―――読者としては安心も意外感も両方欲しくなって困りますね。ちなみに今回、作中の舞台はモデルがあるのでしょうか。

比嘉:なるべく実在の都市をなるべく連想させないようにしたいというのはあります。僕の生まれ育った帯広だったり、いま住んでいる札幌だったりは世間と気候的にはズレもありますので。特定の場所は設けないようにしていますが、たとえば河川敷が出てきたりする時は自分にとって思い入れのあるような場所だったりします。

T澤:河川敷については『神明解ろーどぐらす』など他の作品でも出てきますけど、やはり思い出のある場所があるんですか。

比嘉:ああ!いま言われてみて河川敷書いていたことを思い出しました。僕の生まれ育った帯広の街は十勝川の花火大会というのがあるんですけども、規模の大きい花火大会ができるくらい、広い河川敷があるんですね。

―――私は札幌の豊平川などをイメージしました。

比嘉:読者さんそれぞれが身近な河川敷を思い浮かべていただければありがたいですね。

T澤:比嘉作品においての堤防とか河川敷ってヒロインとの距離が縮んだりしていますよね。ネタバレになるので言いませんが今回の『覚えてないけど、キミが好き』にもそういうところはあると思います。

比嘉:僕が中学生で不登校していた時に毎朝河川敷を散歩していたんですけど。明け方なんかにずっと歩いていると、どんどん十勝川が明るくなるのが見えて、前向きな気持ちになります。でも引きこもるんですが(笑)

―――リフレッシュしたはずなのに結果がおかしい!(笑)

比嘉:朝に河川敷を散歩するようなひとは気持ちの良い人がおおくて、おばちゃんおじちゃんでも中学生の僕に対して「おはよう」とか言ってくれるんですね。僕も挨拶していくと、引きこもっているのに誰かと心が繋がっているような気持ちに慣れたのかな、という。

―――そういった経験が反映されているわけですね。今回の作品は比嘉さんの中でも満足度の高い作品になっているのでしょうか。

比嘉:はい。シリーズものの1巻としては間違いなく1番だと思っています。

―――それは頼もしい!それでは具体的に、読者さんにはどういったところを読んでもらいたいですか?

比嘉:青春のことというか、学生時代のことを思いつつ、こんなことがあったら楽しいよなぁということを小説に盛りこんでいます。読者の方が主人公の小衣吉足のことを通して、自分はこうだったけどなぁ、とか思ってもらえたら嬉しいというか……
あと力を入れたのは小ネタなので、そこもですね。主人公は不運なんですけど、どういうことが起こったら不運なんだろうと。


―――個人的には、ゆららが転校してきた場面が面白かったです。「バイパス」とか一見なんでもない単語なのにおかしく見えてしまう(笑)比嘉さんらしさが出ているので、既存作品のファンにはぜひ教えたいところですね。

比嘉:ああ、それはもうT澤さんとうまく作ったところですね。

T澤:比嘉さんってそういう変なリアクションとかあだ名作るの好きですよね。

比嘉:大好きですね。男子寮とか学校でも、誰かのあだ名をさりげなく浸透させるのが好きで、つけたことをバレないようにしつつ広めていました。「バイパス」も女の子といちゃいちゃしてるっていう隠語を「バルチック艦隊」と呼ぼうと。

(一同笑い)

比嘉:教室で可愛い女の子が目の前にいるときに「バルチックしてえー!」とか言ってドキドキするという(笑)まさに男子高校生らしい日々でした。

―――それは青春ですね(笑)では続いて、比嘉さんご自身の今後についてもお聞かせください。

比嘉:そうですね。『覚えてないけど、キミが好き』が出たばかりではありますが、他社さんでもシリーズの1巻を書かせて貰える機会があって。それをまさに書いている状況です。結局いつも僕が書くものって「挑戦」と「集大成」のどちらかで、今まで十何冊出させて頂いて学んだものの集大成を読者さんにお見せしたい、というのと、なにか新しいことにチャレンジしたいというところが出ています。そうしていけば出す作品すべてが最高傑作になるはずなんですけど。

―――最後に読者へのメッセージをお願いします。

比嘉:読者さんの、特に学生さんだと限られたお小遣いだったり、時間だったりを使ってライトノベルを読んでくれていると思うんですけど、自分が作品を書くとその人達の時間を2時間とか奪っているなと。だから楽しい2~3時間になってくれたらいいな、と思います。今回はあとがきでも色々な方に謝辞を書きましたが、比嘉智康は愛してくださっている方もいるんだなぁ、と思って救われています。

T澤:イラストを描いてくれた希望つばめさんにもぜひ一言を。

比嘉:自分で書いていて見た目とか固まってはいるんですけれど、イラストレーターさんが与えてきくれる刺激のでかさといったらないですね。表紙のイラストに関して言えばうちのおかんも全面的に認めています(笑)

―――ご家族も公認と(笑)

比嘉:今回の作品は比嘉智康作品を読んだことのない人にも安心してオススメできます。これ1冊を読んでいただければ知ったも同然ということで、内容的にも集大成でイラストも素晴らしい『覚えてないけど、キミが好き』をよろしくお願いします!

―――今回はどうもありがとうございました。
(4月某日 一迅社にて)
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以上、比嘉さんへの特別インタビューでした。
今回の企画は平和さんにすっかり色々とお願いしてしまいましたが、ご協力ありがとうございました。

読者の皆さま、比嘉さんの自信作、最新作『覚えてないけど、キミが好き』、ぜひ買って読んでみてください(T澤)