瀬尾つかさ『放課後ランダムダンジョン』 11/13修正 | 一迅社文庫編集部のブログ

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命恋である(あいさつ)、H田です。
最近編集部内で大評判だった本は、ラッタウット・ラープチャルーンサップの『観光』でした。いえ、一迅社文庫編集部も、いつも不毛な会話(ex. T澤「巫女さんと結婚したいなあ……。何かいい方法知らない?」 H田「……知りませんよ」)とかばかりしてるわけではないんですよ、たまには文学の話とかもするんですよ、と出版社感をことさらにアピール。

それはさておいて、今月の一迅社文庫、瀬尾つかさ『放課後ランダムダンジョン』のご紹介を……となるのですが、実はこの前の打ち合わせの際に、瀬尾さんが「ブログでの紹介文、自分で書いてみたいんですよ」と。

というわけで、以下、瀬尾さんによる文章でございます。

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こんにちは、瀬尾つかさです。
「毎回、ブログで作品紹介してますよね。あれ、自分でやっていいですか?」と訊ねたところ、快くOKを貰いましたので、当ブログにお邪魔させていただいております。
というわけで、放課後『放課後ランダムダンジョン』の紹介です。
一迅社文庫編集部のブログ-放課後ランダムダンジョン

DragonAgeの日本語版の発売が発表されたそうですね。
バルダーズゲートの系譜ということで是非ともやってみたかったものの、本格的な英語を読むのは無理っぽくて諦めていたのでとても嬉しいです。
わたしはノームが大好きなのですが、バルダーズゲートシリーズにはなかなか個性的なノームたちが出てきてたいへん愛らしいので、このシリーズはすばらしいのです。ノームバンザイ! バンザイ! バンザイ!
そんな話を友人にしたところ、「ノームとハーフリングとホビットってなにが違うの?」と問い返され悲しみで目の前が真っ暗になりました。聞くところによると、ウィザードリィもドラクエもやったことがないそうで、世の中にはそんな人もいるのかーと思いつつ、そういうことならこの作品の解説をちょっとやっておいた方がいいかなあと……。

え? よく意味がわからない?
これは前フリなので、わからなくてもよろしいです。
そう。
きみたちはこの先の解説を読んでもいいし、読まなくてもいい。

■世界
20年前、地球は多くの異世界からの来訪者を迎えた。
彼らは皆、住む世界こそ違えど、魔法と神秘に溢れた、ファンタジー世界からの住人たちだった。
銃・病原菌・鉄的な侵略やらなんやらは魔法と最先端のテクノロジーと世界間移動の困難さによってあんまり起こらず、ゆるやかな交易と少数の移住が始まり……。
5年前、唐突に異世界と繋がる全ての門は、その機能を停止させた。
門は、かわりにランダムダンジョンである『迷宮』に繋がった。

■混血児たちと、『迷宮』
異世界の住民と地球人の血が交わることで、高い魔力を持つ魔術の天才たちが生まれることが判明した。
多くのハーフが生まれ、彼らの中でもっとも年長のものたちは、20歳に近づいている。
『迷宮』のモンスターたちは、奥にいくほど強い耐魔力と物理障壁を持ち、高い魔力の持ち主でなければ『迷宮』の深層に挑むことはできない。
神託によれば、『迷宮』の最深部、地下100階には、異世界への門があるという。
そして、このランダムダンジョンを踏破する可能性があるのは、まだ成人もしていない混血児たちだけなのだ。
年端もいかない子供たちは、己の魔力を武器とし、大人たちの期待を背負って『迷宮』へ挑むのだった。

■主な登場人物
法鷹和馬(のりたか・かずま)

一迅社文庫編集部のブログ-和馬
主人公。高校2年生で、一見、どこにでもいる日本人の少年。
実はエアリア界と呼ばれる異世界人と日本人のハーフ。
5年前の時点ですでにエアリア界における呪文をほとんど全て修めた天才魔術師であるが、とある事件をきっかけに引退し、普通の日本人に紛れて東京は練馬で暮らしていた。
腹違いの妹であるエーリエが『迷宮』で発見されたという連絡を受け、ふたたび異世界の人々と関わるようになる。

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エアリア界の魔術師は、魔法ごとに決められたエーテル回路を用いることで魔術師の消耗を抑えることに特化した、分散処理型コンピュータのような魔術体系を用います。
エーテル回路は白魔法、黒魔法にそれぞれ7つずつ存在し、たとえば黒魔法ランク3に属する火球呪文を連発したとしても、黒魔法ランク4に属する冷気呪文の使用回数はまるまる保持されます。
エアリア界では古より戦争が盛んで、魔術師たちは各部隊に配属され、戦闘のたびに決められた呪文をルーチンワークのように唱えることを要求されていました。この魔術体系とエーテル回路は、そうした要請に最大限応えるようつくられたものです。

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これとはまったく関係ない余談になりますが、ウィザードリィというゲームは、コンピュータで初のRPGです。
ストーリーは単純で、ただ迷宮に潜り、最下層で待ち構えるボスを倒して『ワードナの魔除け』を持ち帰るだけ。
このゲームは、D&DというTRPGを参考にしてつくられていたため、今から見るとMPのシステムが独特です。
MPは魔術師用に7つ、僧侶用に7つ存在し、各々完全に独立しています。ですのでたとえば最強魔法のティルトウェイトを使いきっても、他のMPが余っている限りラカニトやカティノが使えるのです。

わたしがやったコンピュータゲームのウィザードリィは、ファミコン版の1、2、3及びPC版の5、6です。
特に遊びこんだのは1、2、3で、この3作はターボファイルを使って転送しまくり、紋章つけまくって遊んだりしてました。1は当然、地下降りてすぐのところで万年待機するワードナの魔除け6個持ったキャラを配置していたり、とにかく当時は「ゲームのルールは自分でつくって遊ぶ」という概念もあんまりなく、システム上できることを利用しまくっていたものです。
もっとも当時はそれが一番楽しかったわけで、別に悪い遊び方もいい遊び方もなく、とにかく楽しめればいいんですけどね。今、この初期3作を遊ぶとしたら、ポイント1発振りでリセットなしの試練場潜りとかやってみるかなあ。と妄想したりも。
TRPG版のウィザードリィも、日本で発売されたものは全部持っていましたが、引越しの際にどっかいってしまいました。とても残念です。最初のサプリメントがいきなり「ドワーフとエルフの混血児のつくりかた」だったり、腕が生えたり火を噴いたり、いろいろ面白かったのですが。

なおこのゲームのキャラクターメイキングでは、種族にノームを選べます。
ノームは能力値の配分がバランスよく、合計値ではホビットに次ぐ高さを誇っています。
ホビットの合計値は、ずば抜けて高いLUCに水増しされているようなものなので、実質的にもっとも優れた種族はノームだったといってよいでしょう。
いやあ、ノームってほんとに素晴らしい種族ですね。

あかり・クライン

一迅社文庫編集部のブログ-あかり 一迅社文庫編集部のブログ-あかり2
ヒロインその1。高校2年生。
蒼い髪、蒼い瞳を持つ小柄な少女で、心の折れた勇者。
ドルーダ界の勇者と日本人のハーフで、父親から受け継いだ浄化の波動を右手に宿している。
魔術は学校の勉強の次に苦手だが、剣技と拳技に優れ、すばしっこく、怪力の持ち主。

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彼女は剣より拳の方が得意ですが、実戦では拳というのはなにかと不利なので、だいたいの場合、身の丈より大きな剣を用いて戦います。
全身から炎を吹き上げているモンスターや、触れるだけでダメージを与えるような呪文がたくさんあるからです。
ドルーダ界の勇者特有の浄化の波動は、あらゆる持続型魔法の効果を打ち消す必殺技です。
高位の魔術師やドラゴンのような超知性体、さらには亜神クラスの存在は、己に常時50個から100個の呪文をかけているので、これを一度に吹き飛ばせるドルーダ界の勇者は、非常に重宝されています。

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没設定ですが、彼女の父親であるアーサーは、最初別の名前で、「破滅神を破滅させた男」という異名を持っていました。
いろいろとアレなのでやめましたが、彼女が魔法を苦手とするのはそのあたりから来ています。

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これとはまったく関係ない余談になりますが、ドラゴンクエスト(以下ドラクエ)は、おそらく日本でもっとも有名なRPGでしょう。
……と書いていて思ったけど、今はポケモンの方が有名かも……いやまあポケモンはもうポケモンというジャンルなので置いといて。
ドラクエは、オーソドックスなシステムのRPGです。
というより、ドラクエのシステムをベースに以後のRPGが進化していったといっても過言ではありません。
けっして日本で初のRPGではないですし、独特のシステムが存在するわけでもないのですが、代表的なRPGといえばドラクエなのですね。
もちろん魔法システムも例外ではありません。そもそも戦闘中に上下するパラメータは基本的にHPとMPの2つだけ、レベル上昇に従って自動的に魔法を覚え、行使の際は魔法ごとに設定されたMPを消費するというのは、もう今更説明するのもアホらしいほど一般的なものです。

わたしは、コンピュータRPGをひとつだけ選べ、といわれたら迷わずドラクエ3を選びます。
まあ……そういう人はきっと多いんじゃないかと思いますが、でも迷わず選びます。それくらい好きです。
好きすぎて、正直、この作品に関する感想は書けないくらいです。だって1から10まで、なにからなにまで好きなんですから。もうしょうがない。
初めてゾーマにあって、初めて「いてつくはどう」を喰らったときの衝撃は、忘れられません。

法鷹エーリエ
一迅社文庫編集部のブログ-エーリエ 一迅社文庫編集部のブログ-エーリエ2

ヒロインその2。中学3年生。
桃色の瞳と髪を持つ、和馬の妹……と推定される少女。詳しくは本編で。
勝ち気かつ負けず嫌いで、強がりの名人。
過去の幻影に囚われたお姫様で、彼女の束縛を解放することがゲームの勝利条件。
ノラス界人と日本人のハーフで、付与術師(エンチャンター)。

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ノラス界の魔術師は、数百種類ある記憶した呪文のなかから数個だけをエーテル回路に『セット』することで、魔法を行使します。
『セット』のための瞑想には数分かかるので、戦闘前に戦術を定め、使う呪文を決めておかなければならないわけです。
事前にやることがわかっていれば非常に強力に立ち回れる反面、想定外の状況にもろいのがノラス界の魔術師の弱点です。
どんな状況にも万能に対応できる和馬と決め打ちで呪文を使うエーリエのコンビがどう機能するかは、本編で確認してみてください。

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没設定は……あるにはあるんですが、本編の盛大なネタバレになるので省略します。

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これとはまったく関係ない余談になりますが、エバークエスト(以下EQ)というMMORPGがあります。
EQは、ウルティマ・オンラインのような「世界に住む」ゲームではなく、「世界を冒険する」ゲームとして草分け的な存在となりました。
複雑な友好度システム、ものすごい数のクエスト、ものすごい数のアイテム、ものすごい強い敵、ものすごい深いダンジョン……。
とにかくこれでもかと物量で圧倒してくるゲームで、よっぽどの暇人でもなかなか遊びつくせない、そんなゲームです。

で、わたしはこのゲームが大好きでした。
いろいろと物珍しい制約がありまして、呪文を使う場合、あらかじめ8つのスロットにセットしなければいけないというのは面白いなあと思っていました。
このシステム、どうやら初期のまだショートカットの数が満足に揃っていない時期に、たくさんある魔法を手軽に使えるようにするという意図があったみたいですが……それが逆に制約となって、しかもゲーム性を非常に高くしたのですから、デザインした人はほんとにセンスがいいと思います。
それだけではなく、マップの配置も丘ひとつにいたるまで計算し尽くされていたりして、センスのあるデザイナーの仕事とはこういうものかと感心したものです。
まあ、バグも多くていろいろアレな部分もあったりしましたが……そういう部分含めて、世界そのものを愛せたのは幸せだったと思います。
ちなみにこのゲームで、わたし英語版、日本語版あわせてノームばかり8キャラつくりました。えっへん。

ケン・アンダール

一迅社文庫編集部のブログ-ケン
ヒロインその3。20代後半。
アーネイ界の旧世代人では最強の魔術師。
現在は『学園』で教師として、『迷宮』探索の技術を教えている。
重度の二次元オタク。
イラスト発注の際の指定は、
「ストリートファイターのザンギエフみたいなやつで」
主人公のよき理解者であり、年の離れた親友であり、保護者。

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アーネイ界の魔術は、高位呪文ほど猛烈に体力を消耗します。
ゆえに最強の魔術師とは、同時に肉体鍛練の極みに達した存在でもあるのです。
具体的にどんな変態的な方法で魔術を使うかは、本編で確認してみてください。

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没設定では、彼は異世界の物語を編纂し、萌えイラストをつけて売り出すという事業をしていました。
それがブレイクし、「ヒロインズ・ゲート」というアニメにもなったという……。
二次元オタク設定は、そのへんの名残です。

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これとはまったく関係ない余談になりますが、トンネルズ&トロールズというTRPGを出版したフライング・バッファロー社は、クイーンズ・ブレイドの原作であるロスト・ワールドを出版したことでも知られています。


ここまで読んできた方は薄々おわかりかと思いますが、まあそんなカンジのお話です。
具体的にどんなカンジかは、実際に読んで、確かめてみてください。

………。
そうそう。最後にいい忘れていましたが、本作品にノームは出てきません。

それでは、みなさん、ごきげんよう。

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瀬尾さん、ありがとうございました! そんなわけで、『放課後ランダムダンジョン』は20日発売です。お楽しみに!


ところで、今月11月は本作の他にも、皆さんお待ちかね、『土属性はダテじゃない!』の4巻も出ますが、「土属性はダテ!じゃない!!」って書くとミルキィホームズみたいでステキですね。指じゃないよ。(H田)

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11.13 ヒロインその2が抜けていきなり3に飛んでるじゃないかと修正してあげる、12月新刊の注文書で下弦ひらぎを弓弦ひらぎと誤植したT澤でした。忙しいので土属性のお知らせなどはまた後日に。
先に、4巻で登場する雪にゃんダンスの挿絵だけ貼っときますね。
一迅社文庫編集部のブログ-雪にゃん