前回からの続き、第3話!


つゆ明けの頃から合併してくれる方の引受審査部も入る頃、ある日企業に訪問し社長に呼ばれて、CFOとミーティングを実施した。相変わらず社長は年内上場を熱望し、どうなってるか根掘り葉掘り聞かれた。

小職は、何の根拠も無く社長に、

「申請期の業績は確実に出してもらわない

と、社内に説明できないので、社長は業績に専念して下さい!公開準備はCFOとやりとりします。やばい話が出てくると困るので、必ず月1回は報告の時間を作ってください!」

社長は了解してくれた。


小職は、会社に戻り公開引受部の担当部長に包み隠さず正直に報告をした。今思うと、サラリーマンとして、後々リスクになることは真っ先に報告しないといけない意識が芽生えた頃でもあった。

また、小職は企業側にも年内上場をほのめかしたため、社内のネゴシエーションに走った。公開引部の担当者には怒鳴られたり、担当役員連中にはその都度、その企業の概況説明したりしていた。ある種、社内で企業の広報活動をするようなものであった。


証券会社内部で説明するときの留意点

基本的に上席者は、ベンチャーは海のものとも山のものともわからないという認識があるため、説明資料をきっちり作成し、説明しなければならない。

証券会社も営利企業のため、ある役員はIPOによる引受手数料が大きくない案件は、あまりやりたがらない傾向にある。


よく企業に主幹事を獲得するときに、「小さく生んで、大きく育てたいので主幹事やらして下さい!」という営業トークがあるが、実際は、IPO準備にかかる労力は一緒なので、ディールサイズが大きくなればなるほど、優先される。

この案件についても例外ではなく、調達予定金額が一桁億だったため、優先されることはなく、特に苦労したのは、合併する側の銀行系証券会社の幹部に説明することであった。

実際、「この企業大丈夫か?」と言われ、胡散臭いとも思われていた。

理由は、20歳代の若手経営者だからである。小職は年がとってるから、偉いのはおかしいのではと思い始めたのが、ちょうどこの頃であった。


常に言葉は罪で、一言一言表裏が存在する。



次回、こうご期待!