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転換期を迎えている現在・・・財政赤字
次の図は、G7先進国との財政赤字の推移(対GDP比)を比較したグラフです。
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1995年から、急速に財政赤字の累積を増やしています。長年の不景気により税不足が続き、それを補う形で国債を発行し続けました。
地方と国で、借金は約1000兆円と言われています。
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かつて、信用が高かった日本の国債は、国際的な信用力を下げています。
AAA イギリス、オーストラリア、アメリカ、
カナダ、スイス、ドイツ、フランス
AA+ スペイン、ベルギー、香港
AA 日本、アイルランド、チリ、アブダビ
AA- イスラエル、台湾、サウジアラビア、クウェート
A+ イタリア、韓国、中国、ボツワナ、ポルトガル、南アフリカ
A メキシコ、ポーランド
A- タイ、リビア
そもそも、なぜここまで、国の借金が増えるか?
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危機的な、歳入<歳出のバランスにあります。
税収・・・・・+37.4兆円
歳出・・・・・▲92.3兆円
差額・・・・・▲54.9兆円
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では、税不足を埋めるために、どれだけの税金を課税しているのか?
OECD諸国との税負担の国際比較です。
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日本は、各国と比べ、税や社会保険料などの負担は、かなり低い分類の国になっています。
このままでいいんでしょうか?
インフレ、増税に備える必要があります。
今までの前提を否定する勇気を持つことが、そろそろ求められているようです。
ゆっくりとした変化に気がつかないことに、【茹でガエル(ゆでがえる)】という有名な言葉がある。
wikipedia の説明では、
~以下引用~
茹でガエル現象、茹でガエルの法則とも呼ばれ、ビジネス環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる。
原典は不明だがスタンレー・ホールによって1887年に紹介されており、英語圏で伝えられてきた古典的な警句と見られる。
要旨は「2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する」というものである。
~引用終わり~
冷水から徐々に温度を上げていくと、変化に気付かずカエルが死んでしまうという話です。
変化の中にいると、変化を感じることはできない。
しかし、世界から見た日本は、今までのポジションから確実に違う国へと、変化をしています。
指標からわかること・・・『格差』
厚生労働省が3年ごとに集計している「所得再分配調査」という報告書がある。
最新の報告書が平成20年所得再分配調査 結果の概要(PDF:213KB) こちらですが、この報告書は、主に所得格差を税金や社会保険料の負担によって軽減するための報告書です。
この報告書でも記載されていますが、格差の実態を把握するために、「ジニ係数」という有名な指標があります。
イタリアの統計学者、コッラド・ジニが考案した指標で、格差が小さいほど0に近い数字となり、格差が大きいほど1に近い数字になるというものです。
日本では、この「ジニ係数」年々上昇の方向に動いています。
最新の平成20年度版の「所得再分配調査」では、平成8年までしか記載されていませんでしたので。平成11年度版とあわせて紹介します。
昭和62年 ・・・・・ 0.4049
平成2年 ・・・・・ 0.4334
平成8年 ・・・・・ 0.4412
平成11年 ・・・・・ 0.4720
平成17年 ・・・・・ 0.5263
平成20年 ・・・・・ 0.5318
このようにジニ係数は上昇を続けているのです。
では、このジニ係数の意味合いはどのようなものか?
ジニ係数 | 意味合い |
---|---|
~0.1 | 極めて平等な社会。現実には存在しがたい。 |
0.1~0.2 | ほとんど格差がない社会。個々人の努力を阻害する懸念がある。 |
0.2~0.3 | 格差が少なく安定した社会。 |
0.3~0.4 | 格差がある社会。競争・活力という面からは好ましいこともある。 |
0.4~0.5 | 格差がきつく、社会を不安定にする要素がある。 |
0.5~ | 不平等な社会。さまざまな問題が生じやすい。 |
このジニ係数0.5が意味するところは、「上位25%の金持ちが、全ての富の75%を所有している。」ことになります。
そして、世界から見れば、日本の格差社会はどのレベルのかを計るOECD諸国での富裕層と貧困層の格差についてまとめたデータがあります。
経済協力開発機構(OECD)より引用
図の数字の【OECD平均:8.9倍】というのは、所得分位の上位10%(富裕層)の所得が、下位10%(貧困層)の8.9倍という意味です。
つまり、単純に富裕層の所得が貧困層の約9倍あるということです。
このデータの通り、OECD諸国の中で日本は、第7位の格差大国となっています。
かつて、日本は「1億総中流」と言われ格差が少なく、理想的な成長モデルを築いてきました。それは、もう過去のことになっていることは間違いありません。
格差の大きい国として、私達も理解しておくべきでしょう。