<平成30年の「書籍・思索の旅(好書好日)」>平成の30冊、1位に1Q84「平成は村上春樹の時代 | 世界に目を向けグローバル、地方(京都・東京・岡山・静岡・大阪・神戸・横浜・金沢・長野)を中心にグローカル=iPhoneAndroidAPIブログ

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<平成30年の「書籍・思索の旅(好書好日)」>平成の30冊、1位に1Q84「平成は村上春樹の時代」

 

 

(1位 『1Q84』(村上春樹、新潮社、2009年)

2位 『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ、土屋政雄訳、早川書房、2006年)

4位「観光客の哲学」(東浩紀、2017)

4位「火車」(宮部みゆき、1992)

8位「博士の愛した数式」(小川洋子、2003) 

11位「磁力と重力の発見」(山本義隆、2003)

11位「コンビニ人間」(村田沙耶香、2016)

13位「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一、2007)

15位「新しい中世」(田中明彦、1996)

15位「トランスクリティーク」(柄谷行人、2001)

20位「もの食う人びと」(辺見庸、1994)

20位「昭和史 1926-1945」(半藤一利、2004)

 

 

トマ・ピケティ著『21世紀の資本』(山形浩生ほか訳、みすず書房)

加藤典洋著『敗戦後論』(講談社)

文系と理系はなぜ分かれたのか (星海社新書) 新書 – (隠岐 さや香 2018)

など)

 

 

 「平成の30冊」は、新聞や週刊誌で書評を執筆している方々へのアンケートで選びました。1989~2018年に出た本の中からベスト5を選んでいただき、1位から順に5~1点と点数化し、集計。120人から回答が寄せられました。

 

小説を中心にノンフィクションや社会科学など様々な分野の本が挙げられました。その数478冊。30冊のほかに、刊行時に話題となった本では、世界で格差拡大が急速に進行していることをデータで明示したトマ・ピケティ著『21世紀の資本』(山形浩生ほか訳、みすず書房)、東日本大震災後に書かれた、いとうせいこう著『想像ラジオ』(河出書房新社)、戦死者の追悼のあり方をめぐって大きな議論を巻き起こした加藤典洋著『敗戦後論』(講談社)なども。30位までの詳しい内容は、好書好日(https://book.asahi.com/別ウインドウで開きます)で紹介しています。

 

 

平成時代に刊行された本の中から、識者120人が選んだベスト30冊を紹介する「平成の30冊」。1位に「1Q84」、10位に「ねじまき鳥クロニクル」が選ばれた村上春樹さんに、平成とはどんな時代だったのか、作家としての歩みや作品について語っていただきました。

――平成という時代を象徴する作品として『1Q84』と『ねじまき鳥クロニクル』が、多くの識者の支持を得ました。

 平成が始まってまもなく、1991年1月にプリンストン大学の客員研究員として招聘され、渡米しました。ちょうど湾岸戦争が始まって米国は重い雰囲気の中で、『ねじまき鳥クロニクル』を書き始めました。仕切り直しという気持ちが強かったですね。

 昭和の末に『ノルウェイの森』(87年)が思いもよらずベストセラーになって、ストレスフルだった。日本を離れ日本人にも会わず、こもりっきりで、集中して書けた。『ねじまき鳥』は僕にとっても象徴的で意欲的な小説。一番大事なのは『壁抜け』です。主人公が井戸の底でひとりずっと考えていて、別の世界に通じる。深層意識の中に入って行き、出入り口を見つける。『ねじまき鳥』で初めて出てきた『壁抜け』は、小説的な想像力を解き放ち、物語の起爆装置になりました。

――暴力や根源的な悪を描くという姿勢が表れた作品です。

 昔、村上さんの小説には悪というものが出てきませんね、と言われたことがあって、ずいぶん考えましたね。純粋概念的な悪を出したいと。ドストエフスキーもバルザックもディケンズも悪を描くのがうまい。あこがれていました。僕自身には悪の感覚が欠落していたけれど、頑張って想像力を働かせて、自分の中にある悪も見えてくる感覚があった。そういう意味でも、大切な作品です。

――その後、95年に阪神大震災と地下鉄サリン事件が起こります。

 

 

 95年は、僕の転換点といえます。神戸の地震では僕の育った家も駄目になった。米国生活を切り上げて日本に帰ろうと決心し、地震とサリンについては何か発言しないといけないと思いました。個人的な信念として、小説家は作品がすべてで、正しいことばっかり言っていると作品はろくなことにならないと思っている。ただ、作家といっても一市民であるわけで、小説家としてのアイデンティティーやレベルを保ちつつ、市民として正しいことをしないといけない。正論ばかり言ってイマジネーションが壊れないよう、バランスを保つのが大事だけど。

――97年に、地下鉄サリン事件の被害者に取材したノンフィクション『アンダーグラウンド』を刊行しました。

 インタビューでは生い立ちからじっくり聞きました。生まれ、学校、家庭、結婚、職場……その人の人生にサリン事件がどんなピースとして入るのかが知りたかった。人の物語を吸収し、自分の考えを出さずに正しいことを浮かび上がらせようとした。僕の意見を言わないことで批判もされたけど、結果は良かったと思っています。

――99年発表の『神の子どもたちはみな踊る』は、地震の影響が感じられる短編集です。

 神戸は舞台にすまい、地震を直接出すまい、という二つを原則にしました。直接的なものをどかして本質を書く、言いたいことをそのまま言わずに物語に託す。具体的なことが書かれていないだけに、汎用性が大きくなっていると思う。例えば、ユーゴスラビアの人が内戦に重ねられるとか。本質は同じだから、置き換えられるということですね。『アンダーグラウンド』と『神の子』が平成の真ん中に位置して、小説家として進む方向をよく示してくれた。

――世界中で、惨事の後に村上作品が広く読まれるようです。

 これまであった既成のものが突然崩れたり消えてしまったりというとき、なぜか僕の作品が読まれることが多い。日本だと天皇崩御で平成になり、バブルがはじけ、阪神大震災とサリン事件があったころから、本質的に受け入れられていったという気がする。

 『海辺のカフカ』(2002年)で一番書きたかったのは、不穏なバイブレーション。今という世界にあって、多くの人が感じていることだと思う。大事なのは、主人公の15歳の少年の視点で見ること。物事や世間をわかっていないが、わかろうとする意欲がある時期。大人の先験的なものを無くして世界を捉えようと。物事それ自体より、それがどんな風に見えるか、聞こえるか、そこからどんな風にバイブレーションを感じられるかが大事。その総合から、読者が物事の本質を立ち上げるということが、僕のやりたいことなんです。僕と読者との共同作業ですね。

――エルサレム賞(09年)の「壁と卵」、カタルーニャ国際賞(11年)では、東日本大震災の原発事故についても言及、話題になりました。

 どちらが良いか悪いかが言えない場合、大事なことは何かを考えます。原発を廃止しろと直接言うより、それがどれだけ人を傷つけたかを訴えることが小説家の仕事。でも、現在のように、ポピュリズムがある程度の勢力になっている時代では、言わなければいけないこともある。今は、ポジションがはっきりしている時代で、この人ならこんな発言をするだろうな、と思われがち。そんな存在にはなりたくない。つらいところですが、考えを凝縮させて言わざるを得ないときは言う。

――『1Q84』はBOOK3で完結なのですか。

 『1Q84』と『ねじまき鳥』の共通点は、第2部まで書いて間を置かず第3部を書き始めたこと。作品としてまとまった。でも結論は出さない。『1Q84』は、三遊亭円朝の落語『真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)』みたいな長い因縁話の一部なんです。天吾のお父さんやお母さんがどうやって出会ったとか、わからないでしょう。天吾と青豆の二人がコスタリカに行った後のこと、二人の娘のこととかも。話はできているんだけど。ジャズで和音の基音を省いちゃうのと同じで、空白を残したい。別の物語が不思議なトンネルでつながる曼荼羅のようなのは好きですね。

――社会の不穏さをどう感じていますか。

 少なからずの人が恐怖と怒りに突き動かされて行動していると感じます。深層意識に抱え込んでいる怒りと恐怖。人を動かす動機としてはよくない。もちろん、善なるものや正しい意識に動かされる人も多いけれど、悪と善が入り組んでいるときもあって、とても難しい。9・11の後も感じた。恐怖と怒りを故意に押し隠そうとする流れもある。ナチスのガス室はなかったとかいうリビジョニスト(修正主義者)たち。物語を書くときには、そこから目をそらしてはいけない。

――善なのか悪なのかがよく見えない社会になっていると感じます。

 僕はSNSはやらないけど、ちょっと見ると、人が何を考えているのかがわからない薄気味悪さを強く感じます。その薄気味悪さをつぶしていく、打ち消していくような物語の力が大事だと思う。あまりに切なく暗い状況があるにせよ、安っぽい言葉で表現されている。文章や言葉は怖いもの。鋭い武器になる。多くの人がそれがどれくらい怖いかを実感していないのか、意図的に武器にしようとしているのか。すごく難しい問題。それにどう対峙していくかは、これからの文章家、特に物語を作る人、僕も含めた小説家にとっての課題だと思います。

 

 

平成時代に刊行された本の中からベスト30を選出しようと、朝日新聞では、識者の方々にアンケートを実施しました。120人から回答を得て、1位は村上春樹さんの『1Q84』に決まりました。1~3位作品への識者のコメントとともに、30冊のランキングを発表します。

 

1位 『1Q84』(村上春樹、新潮社、2009年)

 『1Q84』はBOOK1・2が平成21年、翌年BOOK3が刊行された。夜空に二つの月が浮かぶ「1Q84年」の世界で、10歳で離ればなれになった青豆と天吾が再会するまでの物語。カルト教団も描かれたことで、高い注目を集めた。毎日出版文化賞。21年の年間ベストセラー第1位(日販調べ)で、単行本・文庫の累計部数は約860万部。

 京都大教授の中西寛さんは「平成時代において最も注目を集めた文芸作品。野茂英雄が野球の世界で行ったように、日本語文学の世界性を意識させた」と解説する。コラムニストの堀井憲一郎さんは「平成時代は『村上春樹の時代』でもあった。この書籍に対する期待度と売れ具合は尋常ではなかった。日常生活でふつうの人が小説を話題にできた最後の作品だったかもしれない」と評価した。文筆家の青木奈緒さんも「平成の日本の世相を描いた、平成を代表する小説」とした。

 

 

2位 『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ、土屋政雄訳、早川書房、2006年)

 ノーベル賞作家・カズオ・イシグロさんの『わたしを離さないで』は平成18年に刊行された。クローン技術で生まれた若者たちの、個人の意思ではどうにもならない過酷な現実が描かれる。

 翻訳家の鴻巣友季子さんは「この恐るべき小説は平成という時代を映し出す。遺伝子操作による命(クローン人間)、臓器提供、生命倫理のゆらぎ、究極の格差構造……。現実に対抗し、描くにはSF的手法を用いるしかない」と推した。作家の湯本香樹実さんは「損なわれた世界の中でも輝くものが確かにあり、その輝きが普遍的」とつづった。

 

 

 

 

3位 『告白』(町田康、中央公論新社、2005)

 『告白』は平成17年刊行。明治時代に実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、主人公が破局に追い込まれていく過程が、冗舌な河内弁でつづられた小説。谷崎潤一郎賞受賞。

 学習院大教授の中条省平さんは「音楽的な口語文体が全編にわたって冴え、ある種の英雄叙事詩のようなスケールを獲得している。しかし、その底にあるのは、発するべき言葉を奪われた人間の悲劇という、明治以来日本の出発点にあった近代的自我の言葉による形成の問題だった。ポストモダンと呼ばれるにふさわしい『平成』において、こうした正統的な歴史認識に貫かれた小説が書かれたことは瞠目に値する」と評した。

 

※4位以下のランキングは以下の通りです(同順位は刊行年順)。

4位「火車」(宮部みゆき、1992)

4位「OUT」(桐野夏生、1997)

4位「観光客の哲学」(東浩紀、2017)

7位「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド、2000)

8位「博士の愛した数式」(小川洋子、2003)

9位「〈民主〉と〈愛国〉」(小熊英二、2002)

10位「ねじまき鳥クロニクル」(村上春樹、1994)

11位「磁力と重力の発見」(山本義隆、2003)

11位「コンビニ人間」(村田沙耶香、2016)

13位「昭和の劇」(笠原和夫ほか、2002)

13位「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一、2007)

15位「新しい中世」(田中明彦、1996)

15位「大・水滸伝シリーズ」(北方謙三、2000)

15位「トランスクリティーク」(柄谷行人、2001)

15位「献灯使」(多和田葉子、2014)

15位「中央銀行」(白川方明2018)

20位「マークスの山」(高村薫1993)

20位「キメラ」(山室信一、1993)

20位「もの食う人びと」(辺見庸、1994)

20位「西行花伝」(辻邦生、1995)

20位「蒼穹の昴」(浅田次郎、1996)

20位「日本の経済格差」(橘木俊詔、1998)

20位「チェルノブイリの祈り」(スベトラーナ・アレクシエービッチ、1998)

20位「逝きし世の面影」(渡辺京二、1998)

20位「昭和史 1926-1945」(半藤一利、2004)

20位「反貧困」(湯浅誠、2008)

20位「東京プリズン」(赤坂真理、2012)

 

 

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参考

 

<平成30年の読むべき30冊?「書籍・思索の旅(好書好日)」>平成の30冊、1位に1Q84「平成は村上春樹の時代」

 

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<平成30年の「書籍・思索の旅(好書好日)」>平成の30冊

 

 

1位 『1Q84』(村上春樹、新潮社、2009年)

2位 『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ、土屋政雄訳、早川書房、2006年)

3位 『告白』(町田康、中央公論新社、2005)

4位「火車」(宮部みゆき、1992)

4位「OUT」(桐野夏生、1997)

4位「観光客の哲学」(東浩紀、2017)

7位「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド、2000)

8位「博士の愛した数式」(小川洋子、2003)

9位「〈民主〉と〈愛国〉」(小熊英二、2002)

10位「ねじまき鳥クロニクル」(村上春樹、1994)

11位「磁力と重力の発見」(山本義隆、2003)

11位「コンビニ人間」(村田沙耶香、2016)

13位「昭和の劇」(笠原和夫ほか、2002)

13位「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一、2007)

15位「新しい中世」(田中明彦、1996)

15位「大・水滸伝シリーズ」(北方謙三、2000)

15位「トランスクリティーク」(柄谷行人、2001)

15位「献灯使」(多和田葉子、2014)

15位「中央銀行」(白川方明2018)

20位「マークスの山」(高村薫1993)

20位「キメラ」(山室信一、1993)

20位「もの食う人びと」(辺見庸、1994)

20位「西行花伝」(辻邦生、1995)

20位「蒼穹の昴」(浅田次郎、1996)

20位「日本の経済格差」(橘木俊詔、1998)

20位「チェルノブイリの祈り」(スベトラーナ・アレクシエービッチ、1998)

20位「逝きし世の面影」(渡辺京二、1998)

20位「昭和史 1926-1945」(半藤一利、2004)

20位「反貧困」(湯浅誠、2008)

20位「東京プリズン」(赤坂真理、2012)

 

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完全理解 「フェルマーの最終定理」の研究 (数学・数理科学分野) (「フェルマーの最終定理の証明」の理解へ)

 

完全理解 「ポアンカレ予想」の研究 (数学・数理科学分野) (「ポアンカレ予想の証明」の理解へ)

 

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平成30年の読むべき30冊?  書籍 

参考 

(個人的に、「平成30年間」に影響を受けた書籍(一部分)) 

<平成30年の読むべき30冊?「書籍・思索の旅(好書好日)」>平成の30冊、1位に1Q84「平成は村上春樹の時代」 

 

平成30年の「120冊」  個人的セレクト 数学書(数理科学関係 編) 

 

平成30年間の31冊  個人的セレクト 数学書(数理科学関係 編) 洋書(英語版) 

 

平成はどんな時代だったか?「誰もが迷った30年」 確かに、戦争はなかった? しかし、経済戦争には、負けた!(世界企業ランキング: 平成元年 (日本企業は32社) と平成30年 (日本企業は1社)) 

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