台風12号豪雨による紀伊水害で死者・行方不明者が24人に上った奈良県は、
山間地の土砂災害対策で、
住居から遠くても安全な場所に確保した指定避 難所などに住民を誘導する
「長距離避難計画」を市町村に求める方針を決めた。

犠牲者が出た同県十津川、天川両村と五條市大塔町では、
避難所計138か所の半数が土砂災害危険箇所にあり、
避難者はいなかったものの、全壊した施設もあった。
県は、危険箇所の多い山間地の実情に応じた避難誘導策をまとめる。

面積の96%を山林が占める十津川村は、

住民に身近な学校や地区集会所など79か所を避難所に指定しているが、

うち37か所が土砂災害危険箇所に ある。

天川村でも避難所39か所中16か所、五條市大塔町では20か所中14か所が危険箇所だった。

同市大塔町宇井地区では、避難者がいなかった避難所の集会所が山の崩落で全壊している。

3市村では、犠牲者のほぼ全員が自宅などで被災。県は、避難所は危険と認識して自宅などにとどまった人もいたとみている。

県によると、県が土砂災害危険箇所の設定を始めた2001年より前に、

市町村が多くの避難所を指定。山間地では土砂災害の危険の低い地域が限られており、

県は、市町村が住民に身近な場所で安全な避難所を指定するのが困難な地域も多いとして、遠方でも安全な避難所に逃げる長距離避難が必要と判断した。

長距離避難計画づくりに向け、県は、被災地区の住民から、避難したかどうかや、その理由などを聞き取り、現状の問題点を調べる。

安全な避難所を遠方に確保する場合、

台風や大雨が接近する前に自治体がバスなどを用意して住民を輸送する集団避難も検討する。

県はこうしたノウハウをまとめて、市町村に長距離避難計画の作成や、

地域防災計画に反映させるよう求める考えだ。

県防災統括室は「遠くてもいいので、安全な避難所にどう逃げるか、市町村が長距離避難計画をまとめてほしい」としている。

静岡大防災総合センターの牛山素行准教授(災害情報学)の話「安全に移動できるなら、

逃げ場の少ない山間部での長距離避難は、高齢者らにも有効だ。

住民に避難を促す首長の決断が課題になるだろう」
指定避難所  

災害対策基本法を根拠に各市町村が地域防災計画で定める。

1996年、総務省消防庁が設置した検討委員会は避難所設置の原則基準として、

町内 会や学区単位で、避難者2人につき3.3平方メートル以上を確保できる耐震、耐火構造の公共施設を利用するよう提言している。