経営課題の実現策を企画する 3 Strategic Capability Network
本日は、経営課題の実現策を企画するための方法論である
SCN(Strategic Capability Network)について記載したいと思います。
昨日のエントリー にて、経営課題の実現策を検討する際の基本的な
考え方として、
経営課題 ― 組織能力 ― 実現手段
という関係を踏まえて検討することが大切であると記載しました。
企業活動では、組織が活動の主体となってビジネスを運営することから
そのビジネス上に実現すべき課題があるとすれば、その課題の実現の
主体は「組織」であるべきです。そのように考えると、課題の実現には、
組織の課題実行能力を高めることが必要という考え方は、ごくごく
当たり前のように思えます。
しかし、この当たり前のことが、結構難しいものです。
多くの場合、このような実行策の検討の場合、昨日のエントリーでも
記載しましたが、課題が発生している問題事象に注意が向けられ、
その問題点の改善が検討され、実現策が立案されます。この場合、
注意すべきは、問題点として認識した現象のみに目がいき、その
背景にあるもの、つまり組織の能力にまで、検討が及ばないことです。
昨日のエントリーでの例で言えば、適切な経営判断ができないのは、
経営情報を経営者やマネージャーに見せる手段がないという問題
認識とその対応策としてのMISという図式です。
私が以前在籍していたアーサーアンダーセンというコンサルティング
会社では、クライアント企業様の抱えている課題を改善するための
手法として、現状調査―問題点構造分析―対策立案という作業を
行っていました。
これは、現状調査で調べ上げた様々な事象から、問題を発生させて
いる、あるいは課題実現を阻害している「真の要因」を問題点構造
分析で見つけ出し、その「真の要因」に対応する対策を立案すると
いうものです。
(具体例としては、拙書「経営戦略の実効性を高める~情報シス
テム計画の立て方・活かし方」の第4章にも記載しています。)
この『現状調査―問題点構造分析―対策立案』という検討方法
自体、悪いわけではないのですが、問題点構造分析の際に、
表面的に問題事象のみを取り上げて因果関係を整理するだけに
留まると、その背景にある組織の能力の欠如に気がつかないと
いうことが起こります。
このようなことは新米コンサルタントによくあることです。一方、
経験を積んだコンサルタントは、ビジネスや企業活動の本質を
理解し、問題が発生する要因、背景に目を向けます。その
背景を抉り出すことで、問題の本質に迫り、本当に解決に
繋がりうる解決策を立案します。
このような経験を積んだコンサルタントの検討方法に近づく
ための、検討フレームワークが存在します。
それが、SCN(Strategic Capability Network)です。
SCNでは、3階層のフレームワークで、その3階層とは
以下の三つです。
Value
Business Capability
Enabler
Value とは、ビジネス上の価値のことで、事業戦略上の
狙い、課題のことです。
Business Capability とは、Valueを実現するために必要な
企業能力のことです。
Enabler とは、その実現能力の実現手段のことです。
SCNの上記3階層は、3行構成の表で表されます。BSCでは、
各階層の課題間の間で因果関係を矢印で結びますが、SCN
でも、各階層間のそれぞれの記載項目の間の因果関係を線で
結びます。
Value
課題1
-------- |
Business |
Capability ----------------------------
| |
Capability1 Capability2
| |
--------------- |
| | |
Capabirlity1-1 Capability1-2 Capability2-1
| | |
-------- ------- ------- --------------
Enabler | | | | | |
| | | | | |
Enabler1 Enabler2 Enabler3 Enabler4
SCNでもBSCと同様に上から下へ検討を進めます。SCNの
優れているところは、明確に、ValueとEnablerの間にCapabilityを
挟んでいることです。これにより実現手段を検討する際に、まず
課題実現のためには、組織能力として何が必要かを検討することを
求めています。
経験のあるコンサルタントが頭の中で行っている検討の観点が
このフレームワークの中に簡略に示されています。
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