『事業戦略(計画)の実現に貢献するIT』 12 経営課題の抽出-顧客の視点
昨日は、戦略情報からバランススコアカードを使用して経営課題を
整理していく際の、財務の視点記載時の考え方について書きました
今日は、その下の段である「顧客の視点」の記載時の考え方に
ついて記載します。
「顧客の視点」には、自社の顧客(既存も潜在顧客も含めて)が、
自社の商品やサービスを購入してくださるのは、自社の事業に何を
期待し、何に魅力を感じてくださるからなのか、そのポイントを記載し
ます。
財務の視点で、「新製品の投入により売上を拡大する」「既存商品の
機能向上で売上を向上する」などをあげている場合、顧客は、どの
ような商品を期待しているのかを想定する必要があります。この想定が
なく闇雲に新製品を投入したり、既存商品の改良を行っても、期待する
ような売上向上に繋がる可能性は低いでしょう。
かと言って、顧客がどのような商品を期待しているのか、明確に把握
できるかというとそうではありません。ただ、分からないなりに、ここに
ニーズがあるはずだという絞込みを行うところに戦略性があるわけで、
自社が想定した顧客のニーズ(絞込み結果)を顧客の視点に記載します。
例えば、「50インチ以上の大型液晶テレビを普及価格帯(XX円)で!」
などが該当するかもしれません。
あるいは、「新製品の投入により売上を拡大する」「既存商品の機能
向上で売上を向上する」というのが、特定の商品やサービスを前提に
した話ではなく、他社よりも先駆けて高性能の新製品を投入すると
いった仕組みのことを言っている場合は、「最先端の企業イメージ・
ブランド」などが顧客の視点になるのかもしれません。
財務の視点での記載事項が実現できるのは、結局顧客が自社の
商品を購入してくれるからです。つまり、顧客の期待を的確に捉え、
その期待に応えるということを通じて、財務の視点で記載した売上や
利益といったものが実現されます。この財務の視点の根拠、あるいは
その実現ための戦略的な狙いを、顧客の視点に記載します。
また、財務の視点で売上増大に関する課題に対応する顧客の視点の
課題はイメージしやすいのですが、コスト削減(生産性向上)に関する
課題に対する顧客の視点は、イメージしづらいかもしれません。
コスト削減は社内的な話で、直接顧客に関係するものでないと
捉えるとイメージしづらくなりますが、コスト削減を業務品質との
関係で捉えると、顧客との接点が見えてきます。
コストは、業務の品質とトレードオフの関係にあり、高品質の業務を
行うためにはコストがかかり、質を落とせばコストを下げることが
できるというものです。
例えば、納期回答の業務を考えた場合、直接顧客と接するのは
営業かもしれませんが、適切な納期情報を営業へ提供するのは
製造部門かもしれません。その製造部門の中でも、制度の高い
納期情報を作るためには、各部署毎に役割があり、その業務の
品質如何で、納期情報の精度が変わることもあるでしょう。
このようなことを想定した場合に、顧客が期待する自社の業務
品質のあり方、実現レベル感を顧客の視点に記載し、財務の視点の
コスト削減との関係を明示することもあります。
この場合、財務の視点に記載したコスト削減課題と顧客の視点に
記載した顧客ニーズの関係は、トレードオフ的な関係になります。
財務の視点と顧客の視点間で、相反する関係の課題が示される
ことは、間違っているわけではありません。この相反する関係を
いかに解決するかを、次のステップである内部プロセスの視点で
課題として上げ、解決することが、現状をブレークスルーし、
戦略的な成果を挙げるためのきっかけになることも多いです。
バランススコアカードの4つの階層の中で、もっとも記載が難しい
のが、この顧客の視点だと思います。入手した戦略情報に、明確に
該当する内容が含まれている場合はいいのですが、そうでない
場合、事前に検討された戦略そのものに問題がある場合も
多いです。
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