『事業戦略(計画)の実現に貢献するIT』 8 バランススコアカード その2
先日バランススコアカード(BSC)について、要点のみ
説明を行いました。今日は、業績管理ツールであるBSCが、
なぜ、戦略立案内容の漏れのチェックに使えるのかについて
書こうと思います。
BSCの特徴は、昨日のエントリーで記載したように、業務成果
の管理だけにあるのではありません。その成果を生むために
必要となる事業の強み(顧客への訴求)の構築、各種事業(業務)
体制や組織文化の整備をも含めて、実現へ向けての管理を
行うことを意図しているところにあります。
そして、BSCでは、目標とする成果が上がっているであろう
状態( 事業の強み、各種事業(業務)体制、組織文化)を
描き出します。そしてBSCでは、その姿と現状と比較、評価
することで、管理を行います。
このBSCに描き出された『目標とする成果が上がっているで
あろう状態』というのは、戦略として描き出された事業のある
べき姿(目指す姿)と同じです。このことから、BSCは、
戦略の検討結果を整理して、事業のあるべき姿として表現
しやすい書式を持っているといえます。
【補足】
「BSC=戦略」といっているわけではありません。対象期間の
取り方により、記載内容が戦略レベルになったり、日々の業務
改善レベルになったり、変化します。
戦略として議論される中長期を対象にして、実現を図るべき
課題をBSCに記載した場合、その内容は戦略の検討結果に
近づくということです。
入手した戦略情報を元に、BSCを書いてみようとして書けない
場合、戦略情報が、全体像やイメージを説明することが中心に
なっている可能性があります。全体像やイメージを伝えることは
非常に大切ですが、その実現策の企画にまで落し込む場合の
インプットしては、それだけでは不十分です。
この場合、全体像やイメージを、それらを実現するために、
現状から何を変える、新たに作り出す必要があるのか、具体的な
課題(経営課題)に落とし込むことが必要です。
ただ、多くの場合、全体像やイメージのみということは無く、
断片的にせよ、その実現に向けての課題の提示がなされて
いる場合がほとんどです。この場合は、その内容を元に
BSCを記載してみて、内容に漏れが無いか確認することが
課題になります。
BSCを記載することで漏れをどのようにして確認するのかと
いうと、BSCに経営課題を書き加え、その経営課題間の
関連性を矢印で線で結ぶだけです。
例えば、拙書「経営戦略の実効性を高める~情報システム
計画の立て方・活かし方」のP54,P56にBSCで記載した
戦略マップの例を挙げています。各視点の段に経営課題が
列挙されており、その経営課題が各視点をまたぐように
矢印で結ばれています。この矢印をで結ばれた経営課題の
関係性が妥当であり、過不足がなければOKですが、
矢印が繋がらない、論理的に矛盾がある、記載されている
経営課題だけではより上位の経営課題が実現できないという
ことであれば、漏れがある可能性があると考えられます。
このようなことがいえるのは、BSCの各視点の階層間に
論理的な関係が成り立っているからです。
財務の視点と顧客の視点の関係
財務的な成果を得るためには、顧客が自社の商品/サー
ビスを購入していただく必要がある。そのためには、
顧客の期待を理解し、その期待に応える必要がある。
顧客の視点と内部プロセスの視点の関係
顧客の期待に応えるためには、それを実現する業務
体制が必要となる。短納期が期待である場合、短納期
というのが具体的に何日(何時間)なのかを明らかに
した上で、それを実現する社内体制を整備しなければ
顧客の期待に応えられない。
顧客の期待に応える業務体制を築くことで、財務的
成果が実現できる(経営者の読みどおりであれば、という
条件付きですが・・・)という関係にあります。
内部プロセスと成長と学習の視点の関係
優れた業務方法、プロセス、設備などがあれば、必ず
顧客の期待に応えられるかというと、そうとは限りません。
優れた情報システムが整備されても、それを使えなければ
効果を引き出すことはできません。それを使いこなし、
期待する成果を引き出すためには、それを使う人材の
スキル向上や、スキル向上へのモチベー ションを高める
ような仕組みなどが必要です。
このような内部プロセスを機能させ、顧客の期待に応える
ようにするためには、人のスキルやモチベーションといった
ような前提となる環境整備が必要です。
このように、財務の視点 - 顧客の視点 - 内部プロセスの
視点 ― 学習と成長の視点 には、論理的な関係性があります。
このため、各視点の経営課題は、互いに上記のような関連性を
持っており、その関連を矢印で表現することが可能です。
その矢印の状況を見て、経営課題の漏れのチェックを行います。
【漏れのチェックポイント】
この矢印が繋がらない場合は、その課題そのものの有用性を
見直す必要があります。
繋がるけど話が遠いなあという場合には、その間に重要な課題が
漏れている可能性があります。
財務の視点から繋がりをおっていった場合に、尻切れトンボに
なる場合は、実現策としての経営課題の洗い出しが、不十分な
可能性があります。
最後に、注意事項として
多くの物事は、すべて繋がっているといえば、繋がっているものです。
上記のような検討をしていると、考えすぎて、あれもこれも線をつないで
しまい、何が何か分からなくなってしまっている人も見かけます。
各経営課題を実現するために必要なことというのは、重要なものから
そうでないものまで、様々なものが考えられます。その中から
重要性が高いものを見極めることが必要です。
つづく
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