GartnerColumn: 「IT予算をどう決めるか」
今回で3回目だと思いますが、ITmediaに掲載されている
GartnerColumn: 「IT予算をどう決めるか」 の記事について
思うところを記載したいと思います。
記事では、I投資額の大小でIT投資の妥当性を評価しようと
しているのを目にする。その背景にあるのは、IT投資の意義と
その投資額の妥当性を、IT投資の稟議を上げる立場の人が、
きちんと経営者に説明できていないと指摘しています。
そして、IT投資の意義、投資額の妥当性を説明するためには、
>> 「貴社の主要なビジネスプロセスに対応したIT費用を算出し
>> てください」と。「このプロセスを稼働させるためにこのIT費用が
>> 掛かっています」と経営トップに説明してください。可能ならば
>> IT費用だけではなく、他の費用も説明してOKをもらえれば
>> 妥当な費用です。NGならば、何故NGなのかをほかの費用も
>> 含めて具体的にブレークダウンすることが重要です。
と、結論を記載されています。
私が、情報システム計画の立案などのコンサルティングを
行っている中で、
起案者側から
「経営者向けのIT投資の企画書の作成を支援してほしい」という
依頼をいただく場合があります。
逆に、意思決定者側である経営者から、
「社内でIT投資の検討を行っており、企画書があがってきている。
しかし、その起案内容を確認しても、投資の必要性は
理解できなくはないが、本当にその内容でよいのか、投資額として
妥当なのかについては、釈然とせず、判断に苦慮している。」
との、お話があり、IT投資の企画作業の支援をご用命いただくことが
多いものです。
そのような場合に、社内で検討作成されたIT投資の企画書などを
見せていただくのですが、多くの場合、IT投資の目的、得られる効果
(定量的効果と定性的効果)、具体的なIT投資の内容、実施スケ
ジュール、推進体制、投資額、投資の回収見込みなどが記載されて
います。記載すべき項目がきちんとあげられており、記載項目的には
適切であることが多いです。
ただ、私が見て問題だと思うのは、上記の記載項目の内容が、
IT投資に関することだけに絞り込まれていることです。
多くの経営者は、経営、ビジネス、業務上の課題を解決するのに
ITはその手段の一つであり、ITだけで問題が解決するとは思って
いません。
・現場はそのITを使いこなせるのか
・仕事の仕方は変わらないのか、大きく変えることになるのか
・組織構成や組織間の役割分担は、現状のままがベストか、
IT化に伴いかえる必要があるのか
・仕事の仕方を変える、組織を変えることによるリスクはないのか
・問題が発生した場合のリカバリ策は取られているのか
など、IT投資を行うことで、一緒に考えるべき様々な課題(疑問)が
頭に浮かびます。多くのIT投資の企画書では、上記のような
経営者の疑問には応えられていません。
その付随する課題(疑問)の解決策が、IT投資の内容とセットで
適切に説明されなければ、手段のごく一部であるIT投資だけでは
「期待される効果を得ることは難しいのではないか」という疑問が
経営者の頭に残ります。その状態で意思決定を求めても、
すっきりとした気持ちで投資判断を下すということにはなりません。
まれにIT投資以外の取組みについても検討が加えら、IT投資と
並行して業務改善などベット行うべき項目の説明がなされている
場合もみうけられます。ただ、問題は、その項目の列挙にとどまって
いることです。
項目を見れば、それで課題が解決できそうか、不足はないかなどの
イメージを描くことができます。そのことで、IT投資の意義や狙いが
より明確になりますし、投資の是非についても判断しやすくなります。
ただ、それぞれの項目はバラバラではなく、課題の解決にそれぞれ
役割を果たすはずです。各項目が課題解決のために、どのような
役割(効果)を出すのか、それら効果の組み合わせで、課題の解決に
なりうるのかが、説明できなければなりません。それが明確に説明され
その内容が経営者から見ても妥当なものであれば、経営者から見て
その投資の意味や実現可能性について「見えた」状態になります。
私が多くの経営者に接していて感じるのは、上がってくるIT投資の
稟議案について、多くの場合、その必要性については理解されて
いることが多いものです。「必要性はわかるが、起案されている実現
方法で、本当に課題が解決するのだな」という実現可能性について、
多くの場合、説明が不十分で説明になっていないと感じられて
いるように思います。IT投資の予算額を決めるに当たっては、
「これで実現可能だ」という見極めができるような企画になって
いるかどうかが、非常に重要なポイントです。
拙書「経営戦略の実効性を高める~情報システム計画の立て方・
活かし方」は、経営課題を解決するためのIT、IT以外の取組みを
総合的にプランニングするための方法を説明した書籍です。
この書籍で説明している内容の中で、上記の内容を一枚の紙に
まとめたものが、P64,P65の図2-3-8 投資対効果鳥瞰図です。
投資対効果鳥瞰図は、経営課題を実現するために取り組むべき
内容とその各取組が実現すべき効果の関係を論理的に、一枚の
紙に表したものです。経営者から見て、この記載内容が実現されれば
確かに課題の解決は可能だと判断されれば、IT投資の是非、意義に
ついて、経営者の疑問、不安の多くは解消されます。
残るは、推進体制の妥当性で、「このメンバーで大丈夫か?」「外部の
支援を得るべきか?」などに経営者の関心は移ることが多いです。
書籍では、多少ぼかした表現にしていますが(より分かりやすく
するために、書き方を個別に工夫するため、毎回表現形式は
多少異なりますが・・・)、この投資対効果鳥瞰図は、上記の経営者の
疑問に答える最良の資料です。
作るのは結構大変なのでが、経営者へIT投資の必要性を
いかにして訴求させるかということが課題になっている場合は、
試してみる価値がある方法です。
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弊社インタープレイコンサルティングでは、弊社代表の柴崎が
記載した書籍「経営戦略の実効性を高める~情報システム計画の
立て方・活かし方」に記載している内容について、取り組まれる際の
支援作業やご担当者への研修などを実施しております。
以下の弊社WEBサイトをご参照ください。
よろしくお願いいたします。
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主催する「経営に貢献するITのあり方」や「ITの戦略的活用」に関して
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