ITマネジメント考察19 事後評価の具体例
先日の記事で、事後評価で何を評価のかについて、投資の
計画立案時に定義したKGI、KPIの達成状況を評価すべきと
しました。本日は、もう少し具体的なイメージを示した上で、
解説を加えたいと思います。
復習として、
KGI : 事業戦略(計画)上の重要な経営課題の達成目標値
KPI : KGIを実現するための施策の実現効果の達成目標値
と、なります。
そして、KPIは、KGIを実現するための施策に割り当てられるのですが、
情報システム開発はその施策のひとつであり、そのほかに、業務
改革や制度改革、組織改変、人材育成など様々な施策が、経営
課題の実現には必要となっているはずです。それら様々な領域の
施策に対してKPIが設定されます。
例えば、
ある事業部で、取り組んでいる新規事業を拡大していくことが課題と
なり、その実現策が検討されている。当該事業の拡大のためには
その顧客である、問題を抱えた顧客に対して如何に早急に原因を
特定し、解決策を提示できるか、その時間短縮が鍵になる。
このため、問題の解決所要時間を現在の26分から10分に短縮する
目標を掲げ、その実現に取り組むこととした。
KGI : 【財務の視点】
電話サポート事業の拡大 : 売上高 8億→40億円
【顧客の視点】
問題解決時間の短縮 : 解決所要時間 26分→10分
【内部プロセスの視点】
応対窓口業務の強化 : 解決所要時間 26分→10分
KPI : 【人材育成】
教育カリキュラムの作成、実施 : 受講率100%
【組織改革】
オペレータの社員化 : 社員率 70%
派遣オペレータの長期契約化 : 平均在籍期間 9ヶ月
【業務改革】
オペレータ配置の適正化
問合せ事例、解決事例の記録 : 問合せ事例 20万件
解決事例 1万件
解決ノウハウの収集 : ノウハウ1万件
問題特定QAの設計 : QAバリエーション3千件
【情報システム構築】
問合せ事例、解決事例の再活用の仕組み
: 即答率 XX%
上記の例では、経験のあるオペレータを如何に育成し、揃えるか、
および日々の業務で発生する事例、ノウハウを如何に蓄積し、共有化
するか、といった組織や人材、業務のあり方の改革と合わせて、顧客
からのヒヤリング事項から問題原因を特定し、解決策をオペレータに
提示するシステムを構築することが計画されています。
このような場合、システム開発とあわせて、社員化やノウハウ蓄積、
研修の実施などの取り組みが推進されます。システムのカット
オーバー後に、内部プロセスの視点のKGIである『解決所要時間
26分→10分』が実現されたかどうかを評価することになります。
このKGIが実現できていればOKなのですが、実現されていない場合、
事後評価を通じて、実現するように改善の取り組みを行うことが
必要です。
その際に、各KPIが達成されているかどうかの評価を行い、達成され
ていない場合は、なぜ達成できていないのかの分析を行い、改善策を
検討します。情報システムでの回答率があがらないのは、推論の
ロジックに問題があるのか、収集した(情報システムに登録した)
事例や解決策のバリエーションが足りないのか、ピントがずれている
のかなど、分析し、KGIを達成するための改善策を検討します。
場合によっては、解決事例件数がKPIのとおり1万件つくられていても
実際のQAの現場では、もっと多くのバリエーションが発生しており、
より多くの事例が蓄積されないとシステムでの即答率が向上しない場合
事例収集のKPIを1万件から2万件等へ変更することが必要となります。
その上で、新たなKPIである2万件の目標達成の進捗状況を、継続する
事後評価の場でモニタリングすることが必要となります。
システム構築や業務改革などの取り組みが一通り完了し、その時点で
実現を目指すべきKGIが達成されていれば、事後評価は1度きりの
開催で良いことになります。しかし、残念ながら多くの場合、そのような
ことはなく、KGIの達成のためには、以後の改善活動が必要となります。
その改善活動を行う場として、事後評価の場を位置づけます。そして
事後評価では、
現状のKGIの達成状況の把握を行う
未達成の場合、その原因を検証する(KPIの達成状況の確認)
未達成の原因の特定
改善策の検討
改善策の実施計画の立案
という活動を繰り返し、繰り返し実施します。
上記活動の継続的実施が、KGIの実現を可能にし、結果、投資に対する
効果の回収を可能にするのです。
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