ITマネジメント考察12 -これまでの検討の振り返り-
先日から書き進めているITマネジメントの考察も回数が増えて
きているため、いったん整理を行いたいと思います。
何が、問題か、
なぜ、ITマネジメントが必要か、
ITマネジメント実現のためには、何が必要か
などについて、再整理したいと思います。
経営者をはじめ、事業部門など非IT系の部署から見て、「経営に
貢献するIT」や「事業の競争力を高めるIT」と実感できないのは、
「経営に貢献する」とか「事業の競争力を高める」といった効果を
実感できていないからです。
実感できないのは、期待される効果が実現されているのに感じる
ことができないということではなく、多くの場合、残念ながらITが
そのような効果を実現していないからに他なりません。
例えば、経営者、事業部門は、IT構築後活用によって得られる
はずの経営・事業上の効果を期待します。彼らが得たいのは、
ITではなく「そこから得られる効果」です。一方、IT部門は、自ら
の役割は、経営・事業部門から要求された情報システムを構築し、
それを安定的に運用することと考えていることが多いようです。
つまり、効果がでているかどうかではなく、要求された情報シス
テムを作ることそのものに目が向いています。
その結果、情報システムの開発では、開発作業のほとんどを
開発する情報システムにどのような機能を構築するのかの検討に
費やされます。この場合、期待されている効果をだすために、どの
ような機能が必要かという視点で検討がなされていればまだ良い
のですが、多くの場合、どのような効果が必要かという議論は、
作業の入り口だけで、要件として実現すべき機能が洗い出された
後は、ひたすらその機能の具体化のための検討に時間が費や
されます。システム構築後のテストにおいても、その中心は、
設計したとおりの機能が実現されているか、適切に動作するかの
テストが中心です。経営や事業部門が期待している効果が
でているかどうかのテスト、確認は、ほとんどなされません。
つまり、経営・事業部門からの要望どおりに情報システムを
構築すれば、期待されている効果が実現されるはずという前提
でシステム開発がなされているということです。システム構築の
最初の段階で、経営や事業部門からのIT化の要望(効果の実現)が、
適切に機能要件に落とし込まれていることが担保されていれば
よいのですが、残念ながら、『効果→機能』の変換が十分では
ないことが多いようです。
一方、効果を期待する経営や事業部門は、どうでしょうか。
多くの取り組みがそうですが、はじめから期待通りの結果になる
というのは、そう多くはありません。「やってみたがまだまだ。もう
少し改良が必要」ということで、何度か繰り返し繰り返し取り組みを
行い、期待通りの成果(効果)を実現するということは、日常の生活
での様々の場面においても普通のことです。しかし、ことITに限って
言うと、この考え方・取り組みが、なされていないことがひじょうに
多いように思います。
構築された情報システムから期待する効果を得るためには、先ほ
どの「やってみたがまだまだ。もう少し改良が必要」と取り組みが
必要です。活用して期待している効果が得られているかどうかを
測り、得られていないのであれば改良するということが大切です。
つまり、ITから効果を得るためのPDCAをまわすことが必要です。
情報システム構築後に事後評価を行い、改善の取り組みを継続
して行わないのでは、頭からITから効果を得ることを放棄している
ようなものです。
この機能設計中心のIT部門と構築した情報システムに対してPD
CAをまわし効果を引き出さない経営・事業部門・IT部門の行いに
「経営に貢献するIT」や「事業の競争力を高めるIT」と実感できない
根本的な原因があると感じています。
多くの企業で、このような現象が見られるのは、以前は、このような
やり方で十分ITの効果を実感できたからです。ITの機能がまだまだ
低く、事業におけるITの適用も、手作業のIT化ということがほとんどで
あった場合、どのような機能が必要か、その機能がきちんと動くかと
いうことが適切にコントロールされれば、おのずと作業効率化などの
期待効果が満たされていました。
しかし、ITの機能が高度化し、ITに期待される効果も高度化している
現在、従来の機能主眼のやり方では、期待する効果を得ることが
できなくなってきました。ITがビジネスに深く結びつき、期待される効果が
競争力の強化のような「事業の総合力」にかかわるレベルの話に
変化してきています。そのような効果を実現するためには、組織、
人材、業務、プロセス、制度、・・・・ITなど、様々な事業の要素が
適切に組み合わされないと、期待する効果を出せないという状況に
なりつつあります。
組織、人材、業務、プロセス、制度、・・・・ITなど様々な領域に
かかわる取り組みを並行して行い、「せいの、ドン」で実行して、
期待する効果を、確実に一度で得るなんていうことは、非現実的です。
PDCAをまわし、期待する効果を得るまで調整、改善繰り返すことが
大切になってきます。ITから経営や事業で期待される効果を引き出す
ためには、情報システムそのもの以上に、PDCAをまわすことが
できる制度、組織を整備することが大切になってきます。
つまり、
①機能視点ではなく、効果視点で情報システムを設計すること
(事業戦略から情報システム要件を「効果」の視点で落とし込む)
②システム構築後に、他の取り組みとあわせて、経営や事業の
期待する効果を引き出すためのPDCAをまわすこと
の2点が「経営に貢献するIT」や「事業の競争力を高めるIT」を
実現するためのポイントとなります。
この実現のためには、期待する効果を明確にし、その効果を
各取り組みのスペックまで、落とし込むことがポイントになります。
その最初のステップとして、事業の期待効果を明らかにすると
いうことを、事業戦略でどのように表現すべきか、その留意点を
これまで書いてきました。今後、その事業戦略で描いた期待効果を
どのように各取り組みの効果へ落とし込むのか、また、それを
どのようにPDCAへ活用するのかについて、書き進めていきたいと
思います。
つづく
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