ITマネジメント考察4 ~PDCAのPの問題~
昨日のブログの中で、ITに対する期待の変化に伴い、
ITマネジメントとIT部門マネジメントが整合して機能しなくなって
いることを問題点としてあげました。
繰り返しになる部分もありますが、もう少し掘り下げながら
問題の所在を明らかにし、その改善策について検討を進めて
行きたいと思います。
マネジメントを業務の側面から捉えると、PDCAという言葉で
表されます。計画を立て、実行し、計画通り進んでいるか
モニタリング・チェックをし、計画通りの成果が出ていない場合は
改善を図るということを繰り返すことで、計画を達成するということが、
マネジメントの基本とされています。
今日は、ITマネジメントにおける「P」のあり方について、深堀して
検討していきたいと思います。
従来のITマネジメントにおける「P(Plan)」の部分の流れ、役割分担は、
以下のような形が多かったと思います。
【フロー、役割分担】
経営 IT部門 事業部門
経営方針立案 ①
事業計画立案 ② ②
システム化要望起案 ③
要望ヒヤリング ④ ④
システム計画案策定 ⑤
システム計画案調整・確定 ⑥ ⑥
稟議起案 ⑦ ⑦
起案内容説明、討議 ⑧ ⑧ ⑧
稟議決裁 ⑨
システム構築 ⑩
(番号は、業務の順番)
【備考】
② 事業計画の立案は、経営・事業部門で行い、IT部門は
基本的には関与しない。
③ 日々の業務運営の中で、業務改善の視点からシステム
要望が抽出される。それを、投資・費用支出可能額の
観点から一定の実施是非の判断が事業部門内で
実施される。
④ 実施すべきとの判断になったものについて、IT部門へ
システム化要望を提出。
⑤ T部門は要望の内容を確認し、システム計画を立案。
(スケジュール、投資額の案を策定)
⑦ 稟議を起案 (事業部門 or IT部門)
⑨ 経営TOPにて、稟議を決裁。
⑩ 決定した案件について、IT部門が構築作業を実施。
【役割分担】
上記のような従来的なITマネジメントにおける事業部門、IT部門、
経営の役割分担を整理すると、以下のようになっています。
事業部門: システム化要望を業務改善の観点で抽出
IT部門 : 要望をどのようにして実現(システム化)するかを検討
経営 : 社内リソース配分の観点から、何を実施するかを
判断。
個々の企業の取り組みは、もっと複雑だとは思いますが、特徴を
強調して記載すると、上記のようになるのではないかと思います。
この従来的なITマネジメントは、非常にボトムアップ的です。事業に
おいてどのようにITを活用するかについては、事業部門の業務を
行っている現場が主導権を持っているます。このことが、現場に
根ざし、業務を改善し、効率的な業務体制を整備していく上で、
大きな力となったことは事実だと思います。
一方、近年声高に言われているのは、「ITをより戦略的に活用し
事業の競争力強化に活用したい」というようなことです。
事業を行う上では、様々な制約事項があります。従来は、ITの機能が
低かったため、多くの制約事項を与件としつつ、その中でより効率的な
業務体制を築くためにITを活用してきました。しかし、ITの機能が
高度化しつつあることを背景に、現在期待されているのは、最新のITを
活用すれば、従来与件であった多くの制約事項を取っ払い、まったく
異なる事業のあり方や商品を作れるのではないかということです。
たとえば、サービス内容の拡充、個別対応などサービス提供方法の
あり方、低価格化、事業エリアの拡大、まったく異なる(例えばもっと
短縮されたとか、より自社に付加価値を集約する)バリューチェーンの
構築等、競合他社が実現できていない事業上の強みを、ITを
活用することでつくれないだろうかということです。
このような現行の事業のあり方を抜本的に見直すような検討は、ボトム
アップ的な業務改善の視点だけでは難しく、戦略的な視点が必要に
なります。そのため、検討に当たっては現場だけでなく、より事業
責任者や経営TOPの事業を見る目、戦略的視点が重要になります。
また、既存の制約条件を取り除くブレイクスルーの実現に、ITに大きな
期待を寄せているわけですから、最新のITの動向を把握している人員が、
その議論に深く参画し、ITを活用した事業のあり方を事業部門側と
協調して検討する、場合によってはリードすることが必要となります。
つまり、近年期待されているようなことを実現するためには、IT部門が
事業計画の立案に深く参画し、事業計画立案と情報システム計画を
一緒に立案するといった計画立案方法に変える必要があります。
しかし、ITに対する期待感が変わりつつありますが、プランニングの
業務のあり方は従来のままに留まっていることが多いのが現状です。
このITに対する期待感と計画立案のあり方のベクトルがあっていない
ことが問題のひとつだと考えています。
つづく
(改善策の検討に入るつもりが、問題点の深堀だけで終わってしまい
ました。次回こそ、改善点の検討に入れればと思います)
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