情報システム契約時の指針策定
今日の日経新聞に、Si各社と経済産業省と共同で、情報システム
開発契約の厳格化にむけた統一ガイドラインを策定するとの
記事が出ていました。
内容的には、システムの機能や処理能力、ソフトの不具合に
関する保障期間や開発工程の詳細など、システム会社が
顧客と契約段階で合意すべき項目を示すとのことです。
新聞記事の最後に、「中堅・中小企業の・・・、契約時の要求が
あいまいになりがち。システム各社は開発後に仕様変更を
求められ、多額の追加費用が必要になる場合が増えている
という」と記載されています。
中堅・中小企業では、IT部門がないところも多く、他業務と
兼任で担当者がいるというところも珍しくありません。10年以上も
前にオフコンで開発したシステムを使用していたり、そのシス
テムの開発、保守は、特定のベンダーに丸投げ状態といった
ことも多々あることです。
雑誌などを見ると、様々なシステム導入例が掲載されており、
自社のシステムとのあまりの違いに問題意識を持たれ、
システムの再構築に取り組まれる場合もあると思います。
システムの再構築に向けてネックになるのが、RFPの作成です。
多くの場合、システム発注のためのRFPを作成した経験がなく、
どのようなことをベンダーへ依頼すればよいのかわからないと
いう状態のことが多いようです。このため、何を提示すればよいか
「ベンダー側から指示してほしい」というスタンスになることが
よくあることです。
ベンダー側が、十分な調査、検討を行い、開発するシステムの
要求事項を整理し、発注側の企業と合意ができればよいので
しょうが、調査・検討のためのFeeが発注企業側から出ず、かつ、
受注が最優先のベンダーの営業的には、後の設計段階で詳細を
つめていきましょうという感じで、とりあえず契約を優先させるという
ことが、背景があるように思います。
このような背景があるために、発注時に何を明確にすべきかと
いうことが定義されたとしても、その内容をきちんと確定させるという
ことができないと、根本的な解決にはつながらない可能性が
あるのではないでしょうか。
むしろ、要求事項の整理状況が現在と変わらないため期待する
ようなシステムが開発されず、かつ契約に縛られ、変更などの
ためには追加費用を負担しなければならない、ということに
なるのではないかと思われます。その結果、中堅・中小企業から
見て、システム発注のハードルが上がってしまう可能性がある
のではないかと懸念されます。
私は、この契約時の指針策定に対して反対ではなく、むしろ
賛成です。ただ、前述した前述したように、発注側の中堅・中小
企業にはシステム開発の要求事項を整理するリソースが十分で
ないことから、契約時に確定させるべき事項を指針として整理した
だけでは、問題が解決しないと考えています。
契約時に確定させる項目の整理は、実際にはベンダー側が
行うことが、現実的なように思います。現在、この要求事項の整理
作業にコストがかけれず、うやむやにしたままで進めてしまって
いるが故に問題となっているのであれば、もっと効果的に要求
事項の整理を行える体制をベンダー側は整えるべきだと思います。
この体制とは、要求事項として整理すべき項目、その明確化の
ための方法、進め方の策定、それを推進する人員の育成などです。
今回の指針策定が、システム開発がうまく進まない場合の
ベンダー側のリスクヘッジのためになされるのではなく、
上記のように「要求仕様の整理」を自らの責任と位置づけ、
その「品質を上げる」ためのひとつである「整理事項の明確化」と
して検討がなされればと思います。
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