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「共通フレーム2007」を読んで

 
一ヶ月前ほどに「共通フレーム2007」が出版されるとの記事を
記載しました。その後、読む時間がなかったのですが、この
週末にざっと斜め読みしました。


情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニア
共通フレーム2007―経営者、業務部門が参画するシステム開発および取引のために (SEC BOOKS)


共通フレームは、ソフトウエアライフサイクルプロセスの定義が
主テーマですが、私の関心は、今回拡張された企画プロセスの
定義内容にあります。

 

私の感想に入る前に、共通フレームが何かということを整理
すると、

 

共通フレームとは、ソフトウエア産業界の「共通の物差し」であり、
ソフトウエア開発のライフサイクル全体にわたる作業内容の
定義です。具体的には、企画、要件定義、開発、運用、保守など
大作業項目の中で実施する詳細作業内容を整理し、中(小)作

業項目名称とその作業概要を定義しています。

 

ただし、各作業の詳細内容については定義していません。例えば
ドキュメントの形式や各作業の手順や作業時間(スケジュール感)、
各作業項目における検討方法や技法などは対象外とされています。

 

なぜ共通フレームのような作業項目ディファレンスシートが必要と
なるかというと、通常ソフトウエア開発には多くの立場が異なる
人員が関与するため、作業の役割分担を行い、円滑に開発を
進めるためには、作業内容に関する共通の認識を持つ必要が
あるからです。その共通認識の雛形を共通フレームとして定義
しています。

 


私の関心事である企画プロセスの定義内容を見ると、

 

企画プロセスの目的は、「経営事業の目的、目標を達成するために
必要なシステムに関係する要求事項の集合とシステム化の方針、
及び、システムを実現するための実施計画を得ることである。」と
されています。これは、拙書「経営戦略の実効性を高める 情報
システム計画の立て方・活かし方」で取り上げている領域とほぼ
同じといえます。

 

定義されている作業項目を見ると、中項目的には次の3つの作業
項目が定義されています。


 1 プロセス開始の準備
 2 システム化構想の立案
 3 システム化計画の立案

 

流れ的には、事業戦略や計画から要求事項を確認し、その

実現後のイメージと現状の姿からGAPを抽出し、やるべきこと

(企画目的)を整理の上、投資意思決定を得るということに

なっています。


拙書との対比でいうと、拙書の対象は上記の2と3に該当します。
「1 プロセス開始の準備」は、我々の立場からいうと、お客様へ
提示する企画書の策定段階で行っている作業に該当し、作業の
内容、アウトプットイメージの策定、作業分担、スケジュールなど
企画プロセスをどのように推進するのかを定義する作業になります。

2、3については、ほぼ拙書で記載している作業フェーズとほぼ
同じです。一部「最新の情報技術の調査」などの作業項目が
拙書では漏れているぐらいではないでしょうか。

 

これは驚くことではなく、むしろ「そら、そうでしょう」という印象です。
拙書で記載していることは、これまでのシステム計画立案のプロ
ジェクトで行ってきたことであり、ある意味、確立されたステップだと
思っています。しかし、各ステップで行う検討の中身は従来と異なっ
ており、そこに「経営戦略の実効性を高める」ためのミソが埋め
込まれています。

 

これは、共通フレームの定義が不十分であると言っているのでは
なく、目的からすると作業項目の定義のレベルで留めているのは
やむを得ないと考えています。ITガバナンスにおけるCobitなども
同じことです。

 

ただ、Cobitにせよ、ValITにせよ、共通フレームにせよ、読んで
いつも思うことですが、なんだかオリエンテーリングをさせられて
いるような気になります。行うべき作業項目は列挙されていますが、
その作業項目内の具体的な作業内容、次の作業項目へのつな
がり(前作業のアウトプット→次作業のインプット)などの定義が
概念的で具体的でないために、イメージが沸きません。

 

そのイメージが沸かずに、試行錯誤しながら作業項目を辿っていく
ことが、オリエンテーリングを思い起こさせます。この具体化する
ための具体的なイメージが沸かないということが、オリエンテー

リングや靴下の上から足を掻いているような印象を与える原因では

ないでしょうか。

 

ISOなどで様々標準化作業が進んでいます。それを標準の策定
目的に応じて使用する分には非常に有効だと思います。ただ、
このような標準化作業の目的は、実務の面から見ると非常に
範囲が絞られたものです。「結局どうすれば、したいこと、得たい
効果が得られるようになるの?」という肝心な部分は、標準化の
アウトプットを参考にしつつ、自らが作り出す必要があります。

 

標準化された作業項目に魂を入れ、実現策に落とし込むのは、
個々の企業の現状に応じて最適策を個別に検討する必要が
あることを考えても、コンサルティングの領域かも知れません。
共通フレームで対象としているソフトウエア開発の全ライフ
サイクルについてカバーできる知識も能力も経験も私には
ありませんが、システム企画フェーズについては、この共通
フレームを見る限り、お役に立てそうです。

 

 

 

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