「CIOの実態」調査結果について
昨日に引き続き、経済産業省から発表された「平成18年
情報処理実態調査結果報告書」というレポートから気になる
調査結果を取り上げて見たいと思います。
本日は、CIOの実態についてです。(資料31ページ)
以下は調査結果の写しです。
【CIOの設置状況】
専任者がいる 8.0%
兼任者がいる 32.5%
CIOがいない 59.5%
【CIOの役職】
取締役 68.8%
部長 21.0%
その他 10.2%
【CIOのミッション】
定められている 46.4%
定められていない 53.6%
【CIOのITに関する専門知識】
有している 38.6%
有していない 61.4%
【兼任CIOの形態 平成17年】
情報システム部門長 22.8%
他の業務担当役員 64.6%
CEO 5.9%
その他 6.6%
【CIOを設置していない理由 平成17年】
検討中 4.0%
対応できていない 43.4%
社外のコンサルタントを活用 8.1%
必要ない 44.6%
【CIOの設置と全体最適化との関係】
CIO 設置企業の方がCIO を設置していない企業よりも
「十分に実現できている」と回答した企業の割合が高くなった。
また専任CIO 設置企業と兼任CIO 設置企業を比較すると、
専任CIO 設置企業の方がこの割合が高かった。このこと
からCIO の設置は全体最適化の促進に寄与する可能性が
あることがうかがわれる。また、CIO の業務管掌範囲を
定めている企業やCIO がIT に関する専門的な知識・経験を
有する企業の方が、それ以外の企業よりも「十分に実現でき
ている」と回答した企業の割合が大きかった。
企業におけるCIOの設置に関する意見を整理してみると、
CIOを設置している企業は 50.5%
設置していない企業は 59.5%
設置していない企業の中で、
設置が必要と考えている企業は 55.4%
必要ないと考えている企業は 44.6%
上記の調査結果を要約すると以下のようになります。
設置済み 40%
未設置だが、設置したいと考えている企業 30%
不要 30%
ただし、「CIOのミッション(業務管掌範囲)」の設定状況の
調査結果を見ると、ミッションが定めら得ているCIOは、
46.4%に過ぎません。CIOというと、情報システム部門長の
別称であったり、組織図上の情報システム部門担当役員の
ことであったりと、実態がない単なる称号的な扱われ方が
なされている例を良く見かけます。この調査結果から見ると、
役割と職責を持ったCIOというのは、CIO設置企業(40.5%)の
さらに半分(つまり20%程度)に過ぎないということを表しています。
つまり、以下のようなイメージのように読み取れます。
職責を持ったCIOを設置 20%
肩書きだけのCIOを設置 20%
未設置だが、設置したいと考えている企業 30%
不要 30%
不要、あるいは設置したいと考えているができていない企業を
含めて、難しいのはCIOのミッション(業務管掌範囲)の定義
なんだろうと思います。
例えば、事業部制などの事業別組織、あるいは事業に関係なく
機能別組織をとっている場合に関わらず、組織上のCIOの範囲は
全事業、全機能に及びます。しかし、事業、あるいはその機能別
組織の業績責任を負っているかというとそうではありません。
このような例は、CEOやCFOやCTOなど他のチーフエクゼク
ティブについても同様のことが言えます。チーフエクゼクティブとは、
全社と事業や組織の間での経営資源の調整/コントロールが
必要な領域に対する責任者といえます。資金であればCFO、
情報システムであればCIO、技術開発であればCTO、人事を
含む全ての経営資源であればCEOというイメージです。
経営の将来を見据え経営資源を確保し、戦略的に事業などに
割り振りを行うのがチーフエクゼクティブであり、情報システムに
関して同様のことが必要であればCIOが必要となります。
CIOが不要という企業では、事業側の要請に従い、システムを
開発し、運用することがITの役割、位置づけになっており、前述の
ようなチーフエグゼクティブの役割が不要との判断になっている
のかもしれません。あるいは、一部必要だとしても、その機能は
取締役会で担うことが可能で、特段チーフエグゼクティブとしての
専門家をおく必要性が感じられないのかもしれません。
そのことからすると、システム規模やIT投資額が大規模、および
複雑になり、専門知識に裏づけされた判断基準と戦略的視点を
もってITという経営資源を扱う必要に達した企業にのみCIOが
必要なのかもしれません。CIO 及び専任CIO の設置が、IT 投資
規模の大きい企業や大企業を中心に進んでいる(P32)ことからも
そのことが伺えます。
CIOという肩書きだけを作っても意味はありませんし、実際に負え
る責任や権限の範囲を超えてCIOのミッションを定義しても、機能し
ません。CIOという肩書きの任命以前に、実態としてのCIO業務の
要・不要を明らかにすること、その責任を果たすための業務方法、
社内制度等の仕組みの整備などをまず進めるべきです。一部の
企業が行っているように、社外コンサルタントなどにCIO業務を遂行
させ、コンサルタントを通じてCIO業務の定義や自社のCIO要員を
育成することも一つの手であると思います。CIOという役職を作る
のは、業務としての実態ができてからでもよいのではないかと思い
ます。
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