都道府県CIOフォーラム
8月31日、武雄センチュリーホテル(佐賀県武雄市)で開催された「都道
府県CIOフォーラム 第5回年次総会」で、47都道府県のCIO設置状況に
関するアンケート調査の結果が発表された。
CIO(または相当職)の設置状況を尋ねた質問では、CIOを「既に設置し
ている」が24、「相当職がいる」が12と、47団体中36団体がCIO(相当職
含む)を設置していることが分かった。昨年の同様の調査では、CIOを
「既に設置している」が25、「相当職がいる」が7で計32団体。CIO(相当
職含む)を設置している団体は4団体増加した。
上記は、http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Research/20070903/281015/
からの引用。
地方自治体のITマネジメント/ガバナンスの整備状況について、私は
十分な情報を持っておりませんし、この記事からはCIOの設置状況以外
のことがわかりませんが、どうなんでしょうか?CIOの設置数が増加して
いることから、ITマネジメント/ガバナンスの体制を整備することの必要
性が理解されてきているのでしょうか?
なぜ、疑問を呈しているかといいますと、
記事を見るとCIOは増えてはいますが、他業務(役割)との兼任者が
86%を占めています。また、その一方で、CIO補佐は減少しています。
任命されているCIOが、CIOとして十分な知識や経験をもっており、その
上で他の役職と兼任されている人が増えているのであれば、CIO補佐が
減少しているのも分かります。しかし、その逆の場合、つまり、他の分野の
専門家がCIOを兼任している場合は、むしろCIO補佐を増強し、CIOの
サポートを強化しなければ、CIOとして機能できないのではと思います。
年金などの問題で役所の中の様々な問題が明るみにでてきていますが、
その中で、役所の中では組合の力が強く、雇用削減につながるITの
活用が阻害されてきたことが言われています。このような状況下で
CIOやCIO補佐が務まるようなスキル・経験を持った人材が育ってきて
いるとは考えにくいと思います。
そのような中で、他の分野の専門家がCIOを兼任しており、かつCIO補
佐を削減しているのであれば、それは、CIOとしての機能が形骸化して
きている可能性があるのではないかと危惧します。
もっとうがった見方をするならば、出入りしているシステムベンダーが、
IT計画を立案し、予算を獲得するための支援をし、といったCIO補佐の
役割を担っている可能性もあるのではないかと思われます。このような
例は、事業会社のIT部門のスキルが不十分であった時代や、現在でも
中小企業などIT部門の弱い企業では実際ある話です。しかし、ITサー
ビス・製品を売るベンダーが、発注側の意思決定を支援、関与すること
は利益相反にあたり、ITガバナンスの観点から言うともちろん不適切な
やり方です。
また、実体験から感じるところから見ると・・・
先日私のパスポートの更新をするために旅券事務所に行きました。
相変わらず土・日曜日が休みになっているため、申請と受取のために、
平日に2日間時間をとりました。
また、パスポートに添付する写真のために、申請窓口のところに証明
写真の撮影機(街角にあるインスタント写真と同じもの)が置いてあるの
ですが、そこに2名の職員が張り付いていました。1名は撮影の補助。
もう1名ははがきの販売。申請窓口の対応は、普通でしたが、この写真
撮影機の横におられる職員の方の態度、言葉遣いは非常に横柄な
ものでした。
年金の問題もそうですが、IT活用の以前に、まず組織の存在意義について
きちんと整理する必要があるのではないかと思います。
事業会社では、ミッションや経営理念という形で組織の存在意義を明確にし、
そのミッションや理念に沿った事業活動や行動を社員一人ひとりに徹底
させることを行います。つまり、事業や業務が主ではなく、ミッションや経営
理念に基づいてどのような事業を行うのか、その際の戦略、戦略を実現する
業務内容、業務を行う社員一人ひとりの行動規範といったように落とし込みを
行います。このミッションや経営理念には、ほとんどの場合、社会(市場や
顧客)に、どのような価値(商品、サービス)を提供するのかということを
定義しています。戦略、つまりその元をただせばミッションや理念を実現する
ための手段としてITを活用するという考え方が重要であり、そのために
IT戦略の立案を、ミッションや理念ひいては戦略を整理することから始め
ます。
お役所の場合、事業会社のミッション・経営理念に該当するものが明確に
あるのでしょうか? あるとした場合、そのミッション、経営理念から職員一人
ひとりに対して業務上の行動規範にまで落とし込みがなされているので
しょうか。この部分が明確になっていないと、いくらIT、CIOといっても
向かう方向が定められず、一般論的なサービス向上やコスト削減と言った
漠然とした目標設定で取組が進められ、結果効果がでているのかどうかも
わからないということになってしまうのではないかという懸念があります。
電子政府にすること、ITを活用することが大切なことではありませんし、
ましてやCIOを置くことが大切でもありません。機能しないCIOをいくら
任命しても意味はありません。また、優秀なCIOを配置しIT環境を整備
しても、結局ITを使う職員が、ITを何のために活用するのかというミッ
ションや理念に該当する部分の認識を明確に意識しない限り、我々が
期待するような効果を生み出すことはないのではないかと思います。
都道府県のCIOの方々は、他の幹部職員と連携し、IT以前に、ミッションや
理念を職員に徹底するということに取り組む必要があるのではないかと
思います。
職員一人ひとりの意識を変えるためには、報酬・昇進に反映される評価
制度を整備し、その評価基準に「サービス提供対象である市民の視点・
想い」に該当する項目を盛り込み、その制度を徹底して運用することです。
このような制度があり、それがきちんと運用されているのかどうかも
私は知らないのですが、窓口での対応で感じる印象からは、「どうなん
だろう?」と思ってしまいます。
都道府県CIOの方々は、IT化にだけ目を向けるのではなく、ITを活用して
どのような効果を出すのかという点に拘っていただきたい。そのためには
前述したIT以前の問題の改善が必要であれば、それを他人事にせず、
自らも他の幹部職員を巻き込んで取り組みを進めていただきたい。
何十年にもわたって積もりに積もった組織文化を変える話なので
相当厄介な問題だと思いますが、重要なことだと思います。
「IT」「IT」とIT導入や、IT化の予算を消化することを目的にしないように
お願いしたいと思います。
(是非、BSCを書いてくださいね。顧客の視点を徹底的に深堀していた
だきたいと思います。)
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