「IT投資テーマ設定の新しい考え方」って・・・ | インタープレイ コンサルティング 株式会社  Blog

「IT投資テーマ設定の新しい考え方」って・・・

 

現在、ITの戦略的活用を実現を担う人材の育成を目的とした研修
プログラムの作成を行っています。

 

内容的には、経済産業省のUISSでいうところの「ビジネスストラテジ
スト」と「ISストラテジスト」にまたがる範囲を想定しています。(中心は
「ISストラテジスト」ですが、その職責を担うためには、「ビジネスストラ
テジスト」の職務内容の理解、スキルが必要と考えています。)

 

この職種が担うべきタスクは、「情報システムユーザースキル標準 
~IS機能の可視化による組織力向上のために~ Ver1.1」のP31
「人材像とタスクの関連」から抜き出すと以下のようなものです。

 

 ① 事業戦略策定
 ② IS戦略策定         (研修の中心テーマ)
 ③ IS戦略実行マネジメント  (研修の中心テーマ)
 ④ IS戦略評価         (研修の中心テーマ)
 ⑤ 事業戦略評価

 
研修の内容的には、拙書「経営戦略の実効性を高める ~情報
システム計画の立て方・活かし方」で記載しているようなこれまでの
取り組みの中でお客様である事業会社のプロジェクトメンバーに
対して行ってきた作業説明やトレーニングが中心になっています。

 

これまでの取り組みが資産となり、マテリアルなど基本的な資料は
揃っておりますが、IT投資マネジメントなどは現在研究などが活発に
進んでいる分野でもあることから、様々な資料などを再調査し、
最新のトレンドを踏まえたものに調整を加える作業を続けています。

 

様々な資料を取り寄せては目を通しているのですが、その一つに
JIPDECが平成19年3月に出している「IT投資マネジメント評価指針に
関する調査研究報告書」というものがあります。

 

今回この資料を取り上げたのは、資料の中に本日のタイトルである
「IT投資マネジメントの基本となる考え方」という記載があり、その内
容を読んだ際に、このテーマの難しさを垣間見た気がしたからです。

 

資料では、IT投資マネジメントにおいて、「経営戦略からシステム化
課題を整理するための実施方法が確立されていないこと」を指摘し
ています。そしてそれに変わる方法として、キャプラン・ノートンの
「情報資本ポートフォリオ」の考え方を活用することを提言しています。

 

これは、経営戦略から「新ビジネスプロセスのパフォーマンス目標」を
整理し、それを実現する新ビジネスプロセスに必要となる情報資本の
あるべき姿と現状を整理・比較することで、不足する情報資源を導き
だすことで、今後取り組むべきシステム化課題(IT投資テーマ)を
整理するという考え方です。



新しい考え方2

財団法人 日本情報処理開発協会 平成19年3月
「IT投資マネジメント評価指針に関する調査研究報告書」 
P21 図2-1-3-1 IT投資テーマ設定の新しい考え方

 

 
私は、この部分、さらにその先の実践編の記載を読んで、非常に
違和感を感じました。図表の経営戦略からIT投資テーマに至る縦の
矢印についても、右横のキャプラン・ノートンの情報資本ポートフォリオ
の考え方についても、結局は戦略からIT投資テーマを導き出す「考え
方」「作業方法」の話です。この資料では、自らその「考え方」「作業
方法」を作り出すことなく、キャプラン・ノートンの考え方に安易に乗っか
っている印象を受けました。「実践編」というパートを読んでも、作業
項目が挙がっているだけで、どのようにその作業を行うのかが分かり
ません。ドキュメントサンプルも添付されていますが、この資料を読ん
で、実際にその作業をできる人がどれぐらいいるのだろうかと感じます。
(様々な先生方が、当資料作成にあったっての委員に名前を連ねて
おり、私が偉そうなことを言うのは申し訳ないのですが・・・)

 

このテーマが前に進まないのは、「こうすればできる」という具体的な
作業方法や、その作業の中での具体的な考え方などが提示されて

おらず、この資料にあるような問題提起や理論の提示にとどまって
いることにあると思います。

 

実践的な作業方法を提示するのは、研究者の責任というよりは、実

務者の責任であると思います。キャプラン・ノートンがそうであるように、

実務に接しているコンサルタントが、もっとこの件について実務経験を

整理し、より多くの実務家が利用できるレベルの方法論を打ち出すべ

きであると思います。

 

私もコンサルタントの端くれであり、上記の想いから拙書「経営戦略の
実効性を高める 情報システム計画の立て方・活かし方」を出版して
います。その中で、戦略の整理から戦略実現のための施策の整理、

ITプロジェクトの抽出、経営者へのレポーティング(事前評価、事後

評価)などの作業方法を事例に沿って具体的に記載しています。


出版はしましたが、社会的に十分認知されているわけでありませんし、

記載内容が最善というわけではなく、まだまだ頑張らねばなりません。

(ただ、もっとも実務に即した具体論を展開している書籍であるという

自負はあります)


今後は、さらに研修という形を取りながら双方向のコミュニケーションの

中で、このテーマに関する具体的な考え方、作業方法を伝え、一緒に

考えていくということを行っていきたいと考えています。


早く準備を完成させ、研修をスタートさせたいと思います。

 

 

 

 

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