アクセンチュア程社長のインタビュー記事を読んで ~IT投資と経営目標の整合性を取る方法~
「経営者による「目標の明確化」でIT投資の効果は一層アップする」という内容に
ついて、アクセンチュア程社長のインタビュー記事がNBonlineに掲載されています。
http://business.nikkeibp.co.jp/as/ittoushi/si2.html
アクセンチュアの調査では、
「IT 投資と経営目標の整合性がとれている」と感じている回答者の割合は、
米国が全体の 83 % にも達しているのに対し、日本は 38 % と いう結果です。」
とのこと。
その原因として、
「自社の商品をもっと高く売るために IT を使って何か付加価値を生み出し
たい」というような具体的な目標を経営者が掲げられておらず、「なんとかITを
活用しなくては」というような漠然とした意識でしか、IT投資を捉えられていな
いのではないか。
と指摘されています。
(以下、私の意見です)
多くの企業で、IT投資計画は、継続して必要となるIT保守・運用費用の
見積もりと現業部門からのIT化要望の取りまとめで作成されます。現業部門
からのIT化要望が、「事業計画の実現のため」という視点でプランニングされて
いるのであれば、「IT 投資と経営目標の整合性」が取れている可能性があり
ますが、残念ながら多くは、現場の業務改善の視点で洗い出されたIT化要
望であることが多いように思います。
IT投資と経営目標の整合性がとれていないのは、上記のように経営者の
想いをITに変換するというプロセスが社内に整備されていないことが原因です。
経営者が経営目標を打ち出したとしても、システム計画は、現業部門の
業務改善の視点から立案されるというように、分断され、連携していないの
です。CIOやシステム部長などシステム関係の責任者が、経営者の想いを
ITに変換する任を負うべきという意見もありますが、彼らだけの問題では
ありません。
IT 投資と経営目標の整合性を取るためには、以下のことが必要です。
①経営者が経営目標を明確に打ち出し
②経営目標の実現のための変革のポイントが明確になるように整理し
③そのポイントから変革の実現策を検討し
④その中でITにて実現を図るべき課題を整理する
IT 投資と経営目標の整合性がとれていない企業では、上記の①~④が
連携していません。このことが、整合性が取れていない原因だと思います。
①と②は経営計画の立案作業に該当しますが、PL予算を立案するだけ
では、③④への展開ができません。③④へ作業をつなげ、経営目標を
実現する情報システムを実現するためには、③④へつなげることができる
経営計画の立案が必要です。
また、③立案した経営計画から変革の実現策を策定すること、④その中
からIT課題を整理することを、経営計画の立案作業の中に組み込むことが
必要です。
このような経営計画の立案方法を取るためには、その作業方法を経営
者、CIOを中心に、全社的に理解することが必要です。CIOだけが理解し、
作業をしようとしても実現は無理で、経営者、CIO、現業部門、情報シス
テム部門が、上記①~④の作業を理解し、役割を果たす必要があります。
この①~④について、検討方法や実施方法などが明確に整備され、
経営者、CIO、現業部門、情報システム部門がどのようなタイミングで、
どのような作業を行えばよいのかを明確にしなければなりません。
それが明確にならなければ、それぞれに対して役割を果たせと言っても、
果たし方がわからず、掛け声倒れになるだけで、一向に実現されません。
経営者、CIO、現業部門、情報システム部門のそれぞれが立場と役割を
認識して、計画立案作業を行うことが必要です。
実際の運営においては、経営者、CIO、現業部門、情報システム部門の
計画立案作業をファシリテートし、サポートするチームが必要です。CIOを
リーダーとする数名のメンバーが、経営計画立案から経営計画の実現に
寄与するシステム化計画の立案までの作業を、関係者を巻き込みながら
進めていくことが必要です。
しかし、実際にはこのような役割を果たす訓練されたチームが存在するこ
とはまれです。このため、IT 投資と経営目標の整合性を取るという課題の
実現のためには、このようなメンバーの育成が重要な課題になります。
このようなCIOを補佐するメンバーが持つべきスキルは、コンサルタントに
求められるスキルに近いものがあります。経験のない人員を、コンサルタ
ントに育成するためには、指導者の下で少なくとも3年程度の訓練と実務が
必要です。IT 投資と経営目標の整合性がとれていないという企業では、
この指導者の育成からはじめ、一定数のメンバーを育てるという時間が
必要となります。
ただ、3年とか5年という育成期間は、机上の勉強でなされるわけではなく、
実務の中で学ぶことが大切です。このため、経営計画の立案作業を
進めつつ訓練するためには、指導者の役割をコンサルタントなどに依頼
することが、現実的な解となります。
このような役割を果たすコンサルタントには、次のようなことが求められる
と思います。
・経営計画、およびその実現に寄与するシステム化計画の立案作業を
熟知していること
・業界の状況、事業内容/特徴などビジネス全体を俯瞰する目を持って
いること
・経営者から現場の人まで、だれとでも適切にコミュニケーションが取れ
ること
・ねばり強くリーダーシップを取ることができること
・コンサルタントが途中で入れ替わることなく、継続的に数年にわたり
支援を続けることができること。
私自身がコンサルタントであるため、手前味噌に捉えられてしまうかも
しれませんが、実際に実現を図るためには、コンサルタントをうまく使うこ
とがポイントだと思います。
最後に
経営目標に整合した情報システム活用を実現するための具体的方法を
ステップ毎に詳細に解説するために、拙書「経営計画の実効性を高める
情報システム計画の立て方・活かし方」を記載しています。
概念論ではく、具体的な実現方法を事例に則り、ステップ毎に紹介、解
説しているため、あまり面白い本ではありません。しかし、実際に取り組み
をスタートしていただければ、ノウハウが満載されていることに気づいて
いただけると思います。
ご興味のある方は一読ください。
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