顧客の視点に立つことの難しさ
先日、BSCで戦略を整理する際のインタビューで、もっとも回答が
返ってこないのが『顧客の視点』であることを述べました。「どちらと
いうと」といことではなく、ダントツで回答にまごつかれるのが『顧客
の視点』です。
意外なように感じられるかもしれませんが、「プロダクトアウト」「マー
ケットイン」などの言葉があり、それらがことさら強調されることがある
ぐらいですから、顧客の立場にたってビジネスをするというのは、
当たり前のことではなくなってしまっているのかもしれません。
それを実感することがありました。
数ヶ月前のことですが、スーツを購入し、袖丈が長かったので直して
いただくことにしました。出来上がってきたものを着てみたところ、
袖丈がかなり長く、非常に不恰好になっていました。お店の店員さん
が、袖丈の測り方を間違えたのが原因とのことでした。
購入したお店にそのスーツを持ち込み、直せるか確認したところ回
答は、以下のとおり。
①袖先を2cm程度詰める。 但し本切羽にしているため、ボタン位置の
調整はできない。通常ボタンフォールから袖先まで4cm程度あると
ころが、2cm程度になる。
②肩で詰めて袖丈の長さを調整する。国内の仕立て業者で作業を行う。
①は論外ですし、②についても、購入したのは外国製で肩など主要な
部分はハンドメイドで作っているスーツなので、②にするとそのスーツを
購入した意味がなくなってしまいます。
①②とも受け入れられないことを伝え、代替案として出てきたのは
③同等の価格の他の商品と交換する。
④仕入先の商社の人間が来年初めに見本市で現地(外国)に行く際に
持参し、製造元のメーカーに修理を依頼する。
(修理が完了するのは、それからさらに数ヵ月後で、今シーズンは
着ることができない)
④について、どのように修理するのかなど詳細を確認したいと思い、
お話を伺えるかと確認すると1ヵ月後との回答。バーゲンシーズンなので
バーゲンが落ち着いてからでも結構ですと伝えましたが、1ヵ月後とは・・・。
また、返品するのでお金を返金することも可能かと確認したところ、
極力③でお願いしているのですが・・・、といいつつ返品も受けますと回答。
このやり取りをしている中で思ったことは、態度や対応は、至って誠実
ですし、きちんとされています。しかし、①~④の出されてくる対応策に
ついては、「返金をせず、極力お店の損失を抑える」というお店の都合が
ベースにあって考えられているように感じます。
お店の方とやり取りをしている感じでは、提示している条件に対して
私が「お店都合の対策だ」と感じているとは、思ってられないように感じ
ます。むしろ、お客様に了承いただくために、一生懸命どう対応すべきか
考えていると思っているように感じます。しかし、「お店の都合」に軸足を
おいて、丁寧に対応をしても、それは顧客の視点にたっているのとは
異なります。また、それが客である私に伝わってきます。
お店や企業に属していると、無意識にそのお店や企業の立場が、自分
の検討や判断のベースになってしまうようです。コストを下げる、ムダをな
くすというビジネスの世界での『当たり前』のことに日常的に取り組んで
いることが、この『無意識』を作っているのかもしれません。
お店の方とやり取りをしていて、この「無意識に」という感じがしたことが、
『顧客の視点』に立つことの難しさを表しているように感じました。
口で『顧客の視点』に立つって考えるべきというのは簡単。
でも、かなり難しいテーマのように感じます。
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