松島桂樹編著 「IT投資マネジメントの発展」を読んで
私が「情報システム計画の立て方・活かし方」を書く前に、「戦略的
IT投資マネジメント」という本を読みましたが、その続編の「IT投資マ
ネジメントの発展」が出版されました。
出版される前に出ることを知り、販売されてすぐ購入したのですが、
本を読む時間があまり取れず、移動の際に少しずつ読んでいました。
(まだ、ざっと流し読みしただけで、再読しないという感じですが)
以前に出版された「戦略的IT投資マネジメント」は、IT投資という
テーマについて書かれた書籍として非常に中身の濃い稀有な書籍です。
IT投資に関する過去の論文からの引用などを含めてまとめられている
ために、IT投資の基礎を学ぶには最適な書籍だと思います。
しかし、あくまで学術書であり、基礎を学ぶにはよい反面、実践に用いると
なると、本書を見ながらというと相当ハードルが高いように思います。
書かれている基礎を踏まえ、実践に用いることができるレベルまで消化し
考え方、検討課題、検討の進め方、検討結果のまとめ方(ドキュメント
フォーマット)などが作れる人でないと難しいと思います。
その続編としての「IT投資マネジメントの発展」ですが、学術書的な雰囲気は
そのままですが、検討の対象が前書と比較すると、現場よりになってきている
ようです。冒頭の「はじめに」で「あらためてIT投資マネジメントとは何か?」と
いう振り返りがあり、IT投資マネジメントの非常に多くの部分を、IT投資効果
(投資採算性)の客観的測定のあり方が〆ていることに対する疑問が提示さ
れています。その上で、前書と比較するとIT投資を捉える側面をより多面的に
広げています。
「はじめに」から抜粋すると
・ITの役割、効果を説明するための資源ベースアプローチ
・戦略とIT投資の因果関係の整理 ・・・ 戦略マップとBSC
・戦略実行のためのインタンジブルズの重要性・・・ インタンジブルズの視点からみたIT
・戦略(経営)遂行の不確実性を含めたIT投資の評価・・・ オプション理論
・活用により効果が発揮される・・・経営、IT、利用部門の合意形成の必要性
この「はじめに」を読んで面白いなあと感じたのは、拙書の「経営戦略の実効
性を高める 情報システム計画の立て方・活かし方」を企画している際にも
同じ議論があったからです。
拙書を企画している際に主たるテーマをITの投資対効果にすればどうかという
意見もありました。しかし、冷静に自分が行っていることを振り返ってみると
コンサルタントとして自分がお客様に提供しているのは、投資対効果の測定
方法ではありません。
経営者の方の思い描く戦略実行の実行計画の立案の支援であり、その中の
重要な要素の一つとしてのIT投資に対する意思決定の支援であり、果てまた、
その実行計画を推進し、システム開発を含めて手段の実施を通して戦略を実
現することの支援を行っています。考え方を提示し、教えることでフィーをいた
だいているわけではなく、そもそもの目的である戦略(その一部)の実現に取り
組み、効果を上げることに対して期待いただいています。
そう考えると、IT投資対効果という範囲では非常に狭く、実際に行っていること
の一つの側面でしかありません。このことから、拙書では、コンサルタントして
実際にお客様に提供していることについて記載することにし、今の内容になっ
ています。
IT投資マネジメントの全体像や歴史について理解をした上で、それを実践に
活用する具体的手法を紹介した拙書の「経営戦略の実効性を高める 情報
システム計画の立て方・活かし方」を読んでいただく方がより理解しやすくな
るのではないかと思います。
「戦略的IT投資マネジメント」「IT投資マネジメントの発展」一読をお勧めします。
参考までに
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