Q&A 戦略的情報システム計画立案作業のリーダーシップ | インタープレイ コンサルティング 株式会社  Blog

Q&A 戦略的情報システム計画立案作業のリーダーシップ

Q&A第3弾として、cafe@永福さんのブログに記載されていた疑問点について

考えてみたいと思います。



まず、質問いただいている背景


「経営戦略に寄与するXXXX」や「自社のビジネスにイノベーションを引き起
こすXXXX」という点について、関心や現状そうできていないことへの問題
認識を持っている経営者は少なくありません。拙書では、その主たる手段に
情報システムを想定しています。


その一方で、「経営戦略に寄与する」や「自社のビジネスにイノベーションを
引き起こす」というのは、経営、ビジネスそのものの話ですから、主たる手

段を情報システムにおいたとしても、情報システムだけにとどまる話では

ありません。当然のことながら、組織や業務プロセス、人材採用、育成、

経営管理制度など情報システム構築以外の手段も合わせて見直しを行う

必要に迫られます。


拙書では、取り組みを推進するリーダーの役割をCIOに求めています。
役割を果たすためには、CIOは手段である情報システムの責任者としての
Chief Infomation Officerではなく、改革推進者としてのChief innovation
Officerになるべきとしています。


それを受けての質問


cafe@永福 さん

>> 本書で書かれているような情報システム以外の課題を含めた取り組み
>> に対して、情報システム部門がどのようにしてリーダーシップを発揮す

>> るのか?



私なりの回答


拙書で記載しているような戦略的情報システム計画の立案は、次のような

利用ケースを想定しています。


A 大規模システム開発の際に、開発するシステムの要件を経営戦略と

  リンクさせるための具体的方法として活用する。


B 事業計画と連携したITマネジメントの具体的方法として活用する。


今回はBのようなITマネジメント体制の構築を行う場合を想定して回答した

いと思います。



まず、「どのようにしてリーダーシップを発揮するか」の以前に、どのような

状態にあればリーダーシップが発揮できうるのかを考えてみると、


① 経営陣の情報システムの戦略的活用に対する関心が高い。
戦略的システム計画の立案のような取組は、経営トップの積極的な関与

がなければ成功しません。経営者が高い関心を持っていることが必須と

なります。


② 情報システム部門の責任者が、役員あるいは経営会議などの意思

  決定メンバー。
取組を進めるに当たって、経営戦略や事業戦略の策定、その推進状況の

管理や対策立案に関与できければ、当取組のリーダーは務まりません。

CIOに当取組のような役割を期待する場合、役員あるいは社内のハイレベ

ルの意思決定機関(会議体)のメンバーであることが必須です。


③ 現場の業務知識だけではなく、経営やマネジメントに関する実践的な

  知識を持った作業メンバーが存在する。
取組の対象範囲は、システム開発だけでなく、経営計画の整理から業務

分析、改善案立案、業務改善、効果測定など多岐にわたります。1人で

すべての役割を果たす必要はありませんが、幅広い知識と経験が必要と

なります。そのようなメンバーを一定数揃えることが必要です。


④ 情報システムを事業戦略を実現するための有効なツールと認識し、

  その事業戦略を実現する方法(情報システム開発を含めた各種取組)

  の必要性と方法にについて社内で共通の認識が醸成されている。
実際の取組は③のメンバーのみで進めるわけではありません。経営陣や

事業責任者、事業部門のメンバーなども関与して取組が進みます。これ

らの多数の人に関与してもらうためには、事業戦略を実現するために有効

であるということと、それぞれが役割を果たすことが必要であるということに

ついて共通の認識をもってもらうことが必要です。


⑤ 情報システム部門が改革の支援者として頼りにされている。
リーダーシップを取る人(部門)は、同様の取組に対して実績を有し、社内

から信頼され、頼りにされていなければなりません。


等々が上げられます。



情報システム部門がリーダーシップを発揮して体制を築いていこうという

場合、CIOを中心にして上記①~⑤のような状態を作ることが大切になり

ます。いずれの場合も、急激に状況を変えることは困難で、多少時間が

かかることはやむを得ないと思います。大切なのは、性急にリーダーシッ

プを自分から取りに行くのではなく、CIOをはじめとする情報システム部

門が組織として、経営陣や事業部門から、「経営戦略の実効性を高める」

支援ができるということについての信頼と期待を獲得することです。経営

戦略と一体となったITマネジメントは一過性の取組ではなく、会社のマネ

ジメントの一部として継続して推進されるべきものであるため、CIO個人と

いうだけではなく、組織として運営できる体制を整えること、および全社的

に必要性が認識されることが大切です。


では、どのようにして上記の①~⑤の体制を整えていくかというと


・ いきなり全社のITマネジメント体制の刷新を図るのではなく、個別のシ

  ステム開発の案件から着手する。


・ 個別のシステム開発案件での戦略的システム化計画の立て方を実

  践することで、情報システム部門のメンバーが検討方法、取り組み内

  容などの知識、スキル、経験を積む。


・ 個別のシステム開発案件で戦略的システム化計画の立て方を実践

  することで、経営(事業)戦略から情報システムのあり方を検討し、実

  現することでどのような効果があるのかについて、経営/事業側と認

  識の共有化を図る。


・ 戦略的システム化計画の取組をうまく実現するためには、経営/事業

  側、作業を行う情報システム部門や現業部門がどのような役割分担や、

  責任をもって取り組む必要があるのかの、認識の共有化を図る。


・ 個別案件の積み重ねから戦略的システム化計画の必要性についての

  認識の共有を全社的に広げる。その合意を元に、全社のマネジメント

  体制の一部にITマネジメントを組み込む。


これらを進めていくに当たり、試行錯誤しながら進めていくのも一つの方

法と思います。しかし、一定の期間内に小さくとも成果を上げていかなく

ては、「意味がない」「効果がでない」のではないかという意見が出て、取

組を進めていくこともできなくなります。(成果とは、経営/事業上の期待

された効果を本取組にて実現することです。)


当初は十分な知識もスキルもない要員の中で、結果を出すことは難しい

と思います。人員を育てながら成果を出すために、コンサルタントを利用

するのも有効な方法です。コンサルタントに丸投げするのではなく、長期

的に一緒にITマネジメント体制を作る取組に参画させることが必要です。

当初はコンサルタントをCIOの補助と作業の主体とし、その配下に自社

要員をつけることで、経営/事業側への成果を出すことと要員の育成の

2つの目的を満たすことが可能です。その後、人員の育成状況を見つつ、

自社要員へ役割をシフトし社内体制を整備することが可能になります。



最後に


CIOとして情報システム部門の責任者が機能するためには、上記のような

体制を作るのは当然といえば当然なのですが、そうなっていない状況から

移行させるのは、本当に大変なことですね。


繰り返しになりますが、経営戦略と一体となったITマネジメントは一過性の

取組ではなく、会社のマネジメントの一部として継続して推進されるべきも

のであるため、CIO個人というだけではなく、組織として運営できる体制を

整え、その必要性について全社的な合意が必要です。人を育て、全社の

認識をあわせ、体制を整えるためには、時間はかかります。ローマは一日に

して成らずです。これはやむを得ないと思います。


私自身がコンサルタントなのでセールスチックに聞こえてしまいますが、

取組の中でコンサルタントを取組のリーダー的人材のように組み込んで

しまうことで短期的な成果を上げつつ、社内の人材を育成するという難しい

課題をクリアすることが可能になります。検討いただく価値はあるのでは

ないかと思います。



また、各社の状況により、CIOがCIOとしてリーダーシップを発揮するために

必要なことは異なるとも思います。このブログを読まれている方で、こういう

観点もあるというような指摘をいただければありがたいです。



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