IBM社 「The Global CEO Study 2006"からの提言」を読んで
IBM社の 『「今こそイノベーションを実現させるために」 CIOが果たす
べき役割 The Global CEO Study 2006"からの提言』というレポートを
読みました。このレポートは、IBM社が、全世界765名にのぼるCEO
および公共機関のリーダーにインタビューを実施し、その調査結果を
もとに提言としてまとめたものです。
レポートの中で、述べられていることをいくつかピックアップすると・・
① コスト削減と効率化重視の時期を経て、すべての企業規模、あら
ゆる業界のビジネスリーダー達の関心は売上成長に回帰している。
そしてイノベーションこそがこれを成し遂げる方策である。(P2)
② 企業の新たな価値を創造し、競争優位を築くためには、ビジネス
モデルのレベルでのイノベーションが不可欠。(P2)
③ 社内でのITの役割を変え、ビジネスに積極的に効果をもたらす
方向へとIT組織自身のイノベーションへの対応力を増すことが必要。
(P8)
④ 対応能力が高く柔軟なITインフラストラクチャーの構築が必要。
(P10)
⑤ CEOは、社外組織とのコラボレーションにイノベーションの大き
な潜在的可能性を見ている。オープンアーキテクチャーとコラボレ
ーションを実現する先端技術を通じて、社外のパートナーとの新た
な協業やスキルの活用につなげることが必要になる。(P12-13)
⑥ 今CIOに求められているものは、ビジネスに関する課題を深く
理解し、現在そして先進の技術の知識と洞察をその解決に活かす
こと。 (P17)
⑦ CIOはビジネスとITのリーダーシップを一体化させる新しいガバ
ナンスを醸成し、ビジネスへのITの適用に関して責任の共有化を進
める必要がある。(P17)
レポートでは、2年前の2004年の調査と比較して、コスト削減や効率化
重視のためのIT活用ではなく、ビジネスにイノベーションを起こすIT
活用に多くのCEOが期待を寄せていると述べています。しかし一方で、
現在の状況から期待するようなイノベーションを生み出す状況を作り
出すためには、いくつもの改革が必要であると問題提起をしています。
このレポートを読んでの第一印象は、「私も同感」の一言に尽きます。
私が「~経営戦略の実効性を高める~情報システム計画の立て方・
活かし方」を執筆しようと思ったのも、このレポートで述べられている
経営者の問題認識や期待と同じようなものを感じたからです。
ITを業務効率化の手段としてではなく、競争優位を生み出す源泉として
活用するということに対する期待は、今に始まったことではなく、昔から
大きいと思います。それが景気の回復、あるいは鉄鋼や製薬などに
代表される国際的な業界再編などを契機として、最近とみに経営者の
間で関心が高まってきているように思います。
しかし、この手のテーマについてニーズの喚起や問題提起は数多く
提示されますが、それを具体化する方法について、明確に解答を与
えてくれる説明を見たことはありません。SOAが有効だとか、戦略的
アウトソーシングが有効といったレベルの論調が多く、「で、どうすれ
ば競争優位にたどり着けるの?」の改めて頭の右から左まで?が
並ぶような気分になります。
個々の企業の状態や位置している業界の状況など異なり、決まり
きった方法と手段で実現できるわけではないとも思いますが、マイケ
ル・ポーター博士が戦略を考える上での観点を体系化したように、
ITによる競争優位の創造についても、体系化できないものかと思い
ます。
その第1歩の思いで書いた拙書ですが、まだまだ先は遠いといった
感じでしょうか。前述の④、⑤については拙書の中では触れていま
せん。私も元SEでありますが、今となってはSIベンダーの専門家の
方の知恵をお借りしたほうがいいだろうと思っています。
では、拙書が先のIBM社の提言に照らし合わせて見たときに、どこに
使えるかというと③、⑥あたりの具体的方法論としてと考えています。
⑦についても包括することを目指していますが、⑦については、まだ
まだ中途半端な感じが否めません。これは、実際にこのような取り組
みを推進しようとした場合に、最初に着手しなければならないのは
⑥→③への展開になることに起因しています。それが一定の成果を
上げることで、⑦への展開への全社的な合意形成が可能になるの
ですが、⑦への展開についてはまだまだといった状態です。
長くなってきたので、一旦ここで切りたいと思いますが、最後に・・・。
CIOがITのビジネスモデルを変革し、ビジネスの組織が取り組む
イノベーションの戦略を助けることが求められています。ビジネスを
変革し、イノベーションを実現するテクノロジーの可能性を解するCIO
こそ、Chief Innovation Officer、イノベーション推進のリーダーに最も
ふさわしいといえるでしょう。(P19)
拙書でもCIOは、Chief Infomation OfficerではなくChief Innovation
Officerになるべきだと書いていますが、皆さん考えることは同じですね。
(でも、2005年に出版(書いていたのは2004年)した私のほうが早い!)
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