バランススコアカードで戦略立案を行う際の留意点
今週の株式市場は、上海市場暴落の影響で、3日間で日経平均が1000円も
下がるなど大荒れになりました。企業の実態としては何ら変化はないのに、
中国での株式売買益への課税強化の憶測が、世界中の企業の株価/時価
総額をこれほど大きく押し下げるのですから恐ろしいものです。
アマゾン発ではなく、上海発のバタフライエフェクトといったところでしょうか。
しかし、投機的な動きで株価が変動しただけではなく、金融市場の資金の
流れが変化し、それが為替相場を動かし(実際円高に一気に動きましたね)、
ひいては企業業績に大きな影響を与えることになるのかも知れません。
自社がどんなに努力しても、事業環境が大きく変わってしまっては、
いかんともしがたいというところでしょうか。
バタフライエフェクトをきっかけに、そのようなことをつらつらと考えていた
のですが、その延長でBSCの戦略的活用で陥りやすい落とし穴について
書いてみたいと思います。
情報システム計画の立て方の最初のステップは、BSCを用いて事業戦略を
整理することです。何らかの形で戦略がすでに立案されていることが前提と
なっており、それをBSCというフォーマットで、後の情報システム計画の立案に
使用できるように書き出すということを行います。
しかし、情報システムの立て方の作業をスタートしたが、整理すべき戦略が
立てられていなかった、あるいは不十分であった場合など、戦略を立てると
いうところまで突っ込んでいかねばならなくなることもありえます。そのときに、
整理に使用するBSCを戦略立案のツールとして使用し、BSCを完成させる
ことで戦略立案作業を行おうとする人がいます。しかし、これは戦略立案と
いうことをよく理解していないと、自己満足に過ぎない戦略に陥ってしまう
ことがあります。
マイケル・E・ポーターは「競争の戦略」の中で、産業内の競争を支配する
要因として「既存企業同士のポジショニング争い」「新規参入の脅威」「サ
プライヤーの交渉力」「代替製品や代替サービスの脅威」「顧客の交渉力」
の5つを上げています。戦略を「勝ち方」と定義するならば、当然競争相手が
あるわけで、その競争相手、および競争に影響を与える社外の関係者を
無視して戦略を組み立ても、独りよがりで、自己満足の戦略にしかなりません。
BSCは、戦略を整理し、組織/社員へ落とし込む非常に適したツールですが、
戦略の立案には不適なツールです。なぜなら、一部「顧客の視点」がありま
すが、対象事業の市場環境について検討を行うすべを備えていないからです。
BSC上記載されるのは、社内の経営課題が中心です。その経営課題を
立案するに当たって、社内の視点のみで課題を挙げていくと、自己満足戦略に
陥る可能性が高まります。BSCのフォーマットに沿って、単純に「財務の視
点は?」「顧客の視点は?」としてしまうと、自己満足戦略という落とし穴に
はまってしまいます。
戦略的な視点で経営課題を明らかにする場合は、何が課題で、それをどの
水準で改善すべきかは、競争相手に勝つためにはという視点で考えることが、
大切になります。社内のみならず外部環境の調査、分析、評価を十分に
行った結果、BSCに記載する経営課題を整理する必要があります。
もし、戦略の整理ではなく、戦略の立案に足を踏み入れなければならなく
なった場合、このことに十分留意していただければと思います。
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