戦略を整理し、わかりやすく表現する ~ その1
前回、戦略の検討に正解はなく、「これでいこう」と経営者が
腹をくくれば完了と記載しました。戦略を実行し成果を上げるためには
関係者が戦略を正しく認識し、的確に取組みを推進することが必要です。
そのためには、経営者が立案した戦略を、関係者へ正しく伝えるという
ことが大切になります。
昔、むかし、ある動物園経営者が、考えに考えた末にテレビで見た
動物(コアラ)を園に放し飼いにし、お客様と触れ合える環境を作る
ことで集客力を高めるという戦略を立てました。
その実現のために、飼育係の一人を呼んで、「手が器用で、子供を
おんぶしたり、抱っこしたりしながら木の上で葉っぱなどを食べて
生活をしている動物をすぐに集めて(半年以内にのイメージ)、たくさん
(50頭ぐらいのイメージ)集めて、園に放し飼いにするんだ」と指示を
出しました。その指示を受けた飼育係は、早速作業に取り掛かり、
2年後に動物園は、500匹の猿が元気に遊んでいる姿が見られました。
戦略の落とし込みには、上記の話と同じような悲劇が絶えず発生
しています。対象ビジネスに対する知識や事業感、経営に対する
考え方などが、共通の認識として持っている人同士であれば、
戦略を相手に伝えることはそれほど難しくはありません。戦略の
全体像のうちポイントとなる点を断片的に話したとしても、相手が
自分の持つ知識や事業感、経営に対する考え方から不足分を
補って理解をしてくれからです。
しかし、このような土台となる共通の認識がない相手の場合、
たとえば、経営者が若手社員に戦略を伝えようとする場合など、
要点を絞った断片的な説明では、正しく理解されることを期待
できません。この場合、若手社員は自分の知識、考え方の中で、
断片的な説明の不足部分を補いイメージを作りますが、前提と
なる知識、考え方が戦略立案者と大きく異なっているため、
異なるイメージ(猿、500匹、2年後)を作り上げることになります。
情報システム計画の最初のフェーズである「経営計画の整理
フェーズ」で、システム計画立案者が、経営者や事業責任者に
インタビューし、戦略の把握とドキュメント化を行います。
コアラを猿にしないためには、そのドキュメントは極力ビジュ
アルに表現し、見れば一目瞭然という状態に近づけることが
重要です。戦略という「ちょっと捉えどころのないもの」をビジュ
アルに表現することは難しいのですが、情報システム計画の
立案では、バランススコアカード(BSC)を用いて、それを実現
します。
BSCを用いた戦略表現のイメージとしては、弊書の54ページ
図2-3-2のようになります。
図2-3-2のように、BSCは、戦略を4つの視点で表現します。
4つの視点とは、上から、「財務の視点」「顧客の視点」「内部プロ
セスの視点」「成長と学習の視点」です。
「財務の視点」では、その戦略を遂行した結果として、どのような
財務的な成果を実現したいのか(目指すのか)を表現します。
「顧客の視点」では、財務の視点の成果を上げるために、お客様の
どのような期待に応える必要があるのかを表現します。
「内部プロセスの視点」では、財務/顧客の視点の記載事項を
実現するために実現すべきビジネスプロセス像(その実現の
ための課題)を表現します。
「学習と成長の視点」では、事業(ビジネスプロセス)を適切、ある
いはさらに発展させるために必要となる課題を表現します。
BSCでは、この4つの視点で、目指す方向性と実現に向けての
課題を表現することで戦略の姿を描き出します。
次回は、BSCで「目指す方向性と実現に向けての課題を
表現することで戦略の姿を描き出す」というのは、どういう
ことかについて記載します。 (その2につづく)
このブログの TOPへ
********************************************************
当ブログは、インタープレイコンサルティング株式会社 の柴崎知己が
主催する「経営に貢献するITのあり方」や「ITの戦略的活用」に関して
検討するブログです。
【過去記事の一覧はこちら】
当ブログのメインテーマである「経営に貢献するITのあり方」や
「ITの戦略的活用」に関する記事の一覧は、以下を参照ください。
『ITの戦略的活用についての検討の軌跡 (掲載記事一覧) 』
日々思うこと、旅行記、グッズ紹介など、その他の記事の一覧は、
以下を参照ください。
『その他記事 掲載記事一覧 』
********************************************************
当ブログの主テーマである「経営に貢献するITのあり方」や「ITの
戦略的活用」の実現方法、IT戦略の立案方法について記載した
書籍の紹介ページはこちら 。(目次を全文掲載しています)
********************************************************
Copyright(C) 2006 Tomomi Shibasaki. All Rights Reserved.
