10A.出願人の救済手続の見直し


・ 特許法条約(PLT:Patent Law Treaty)とは、各国により異なる国内出願手続の統一等による出願人の負担軽減を図ること、及び一定の要件の下、手続期間の徒過による特許権の失効を回復することで出願人の救済を図ること等を目的として、2000年6月に採択され、2005年4月に発効した国際条約である。


・ 外国語書面出願または外国語特許出願の出願人は、所定の翻訳文提出期間内(36の2②本文、184の4①本文、PCT22)に日本語による翻訳文の提出を義務付けられており、翻訳文の提出がない場合には出願が取下擬制となる(36の2③、184の4③、PCT24)。


・ しかしながら、翻訳文提出期間を徒過した場合について、我が国では一切救済手続が設けられていないことから、救済手続の導入に対して強いニーズが存在している。また、国際調和の観点から、諸外国の制度との不均衡についても指摘を受けている。

・ 一方、PLT未加盟国であっても「指定期間徒過後の救済」や「権利の回復」といったPLTの主な項目に準拠して救済規定を設ける国も多く、手続面での国際的な制度調和が進んでいる。


・ そこで、ユーザーの利便性の向上の観点から、翻訳文提出期間徒過について新たに救済手続を導入することとした。