『源氏物語のリアル』

繁田信一 著

PHP新書  2023年刊行

こんばんは~照れ
また図書館の本です。
3日程で読み終わりました!

PHP新書だけあって、一般読者向けなのか、とても読みやすかったです照れ

先日の山本淳子先生の本と少し似ていて、源氏物語と絡んで、当時の社会の実情を垣間見ることが出来る本なのですが。

各章ごとに、特定の人物を取り上げているのが面白いです照れ

「はじめに」のところでは、
『更級日記』の著者である”菅原孝標女”が『源氏物語』の虜となっていたりします。

「第1章 色好みの貴公子たちのリアル」では、
”和泉式部”に求愛した”敦道親王”を、”末摘花”&”光源氏”と比べながら、当時の恋愛マナーについて等を書いており、

”藤原実資”を、平安きってのピカ一”頭の中将”として紹介しながら、『源氏物語』の”頭の中将”との違い等を書いています。
(↑実資は愛妻家で、身分相応の妻はひとりしかいなかったそうですびっくり←けど遊女には入れ込んでいたらしいニヤリ)

「第2章 淑やかなる貴婦人たちのリアル」では
”藤原仁善子”(醍醐天皇の皇太子であった保明親王の未亡人)と
”六条御息所”を、

”藤原繁子”(一条天皇の乳母で藤原兼家の異母妹)と”源典侍”を、それぞれになぞらえて対比させています。

要は、源氏物語の登場人物とよく似た実在の人物を、平安の世の中に探して、物語がどれだけリアルなのか、検証しているんです照れ

「第3章 恐るべき妃たちのリアル」では、
”弘徽殿女御”に匹敵する、後宮を牛耳った人物として、
藤原安子(村上天皇の女御)と
藤原栓子(円融天皇の女御←大河では吉田羊さんが演じている)のふたりが取り上げられていました。

「第4章 偉大なる帝王たちのリアル」では
”村上天皇”を”桐壺帝”になぞらえ、
”禎子内親王”(三条天皇 第三皇女・後朱雀天皇 皇后・後三条天皇 生母)を”藤壺中宮”になぞらえています。

「第5章 男君を待ち続ける女君たちのリアル」では
”光源氏”に連れ出されて命を落とす”夕顔”と、”和泉式部”&”敦道親王”とを対比。

地方(田舎・鄙)で”光源氏”を待つ”明石の君”を、
地方郡司の娘でありながら、”藤原高藤”と出会い、娘(藤原胤子・宇多天皇 女御・醍醐天皇 生母)を産んだ”宮道列子”と対比させていて。
なかなか興味深いですキラキラ

各章には番外編で小咄も載っていて。
「コラム①」では
”雨夜の品定めのリアル”として、”右衛門尉某”の家庭内実情をルポ。

「コラム②」では
”車争いのリアル” として”清少納言”が実際に見た光景を紹介していたり。

「コラム③」では
”都落ちのリアル”として、不名誉にも逃げ回った”藤原伊周”の逮捕劇を報じたり。

「コラム④」では
”夜歩きのリアル”として、乳母に叱られる”敦道親王”を、

「コラム⑤」では
”待つ女のリアル”として、『蜻蛉日記』の作者である”藤原道綱母”を、
それぞれルポしていて、
知らない人物や事件もそれなりにあって、面白かったですウインク

おわりに
『源氏物語』のアンリアルなところとして、
当時の社会で頻発していた
火災、強盗、疫病、陰陽師、禁忌、呪詛、
それらがほとんど登場していないことに触れていて。

『源氏物語』は歴史物語でも記録文学でもなく、計算されつくされたフィクション(小説)なのだろう、としていました。

最後の最後に、もうひとつのリアルとして、『源氏物語』の”野分(台風)”について、
紫式部が20才の頃に実際に経験したであろう、台風のことか書かれていました。

『源氏物語』がそこら辺の物語とはまったく違う、当時のリアルに裏打ちされた小説であったこと、そのため平安貴族たちを夢中にさせたこと、それらが仮説でなく実情であったことが納得させられるような内容でした。

だからこそ長きに渡って、変化しながらも読み継がれ、伝えられ続けた『源氏物語』

いろいろ解説を読んでいると、光源氏や実在の公達たちの、しょーもない色好みに、うんざりするところもありますがニヤリ

時代は違っても響く部分が必ずあるのが『源氏物語』という作品なのだろうな、と思いました。

平安時代、平安貴族には、
今まであまり興味がなかったのですが、”まひろ”のおかげで、興味急上昇ですチュー

今後もまた、縁の本を読んでいきたいと思います。


お読みいただき
ありがとうございました。