昨年購入した漫画の内、ここ2年くらいで発売された物の中から個人的に面白かった1巻をご紹介させて頂きます。

 

順番は発売日が古い順(既刊は2024年1月現在)

【単】は単巻
【4】は4コマ漫画

 

 

 

・晴れ晴れ日和(‘21年5月発売 既刊4巻)

 

 

一人暮らしのバリキャリ女子「香田千晴」がとある事情から義妹の小学生「天原ルイ」を引き取って一緒に生活していくファミリーコメディです。

お互いに家族に恵まれずに過ごしてきた過去を持つ二人が、助け合って明るく暮らしている様子に癒されます。

家事の苦手なちはるが幼いルイくんの面倒を失敗しながらもこなしている様子に、一流ホスト顔負けのフォローをするルイくんのイケメンっぷりと、外面は仕事の出来る大人の顔を持つちはるがルイくんのフォローにメロメロな様子が楽しいですねw

しかし、互いに暗い過去を持ち所々にセンチメンタルなシーンを挟んでくるので、その落差にとてもしんみりとさせられますけど、常に大人びたルイくんがちはるの存在に救われている時に見せる子供らしい表情に救われますよw
 

 

 

・永年雇用は可能でしょうか(‘22年11月発売 既刊3巻)

 

 

前職場でのトラブルから解雇されたメイド「ルシル」が、「先生」と呼ばれる孤高の魔法使い宅を新たな職場に選んで生活する様を描いたお仕事ファンタジーです。

多くの干渉を嫌う不愛想なロマンスグレーの魔法使いとの微妙な距離感を探っていく日々でのわずかな達成感や、先生のルシルに対する不器用な気遣いがエモいです。

ですが、先生との生活を野生動物との接触に例えた描写に笑ってしまった所がきっかけではありますねw

今後、ルシルと先生の関係がどう変化して行くのかも楽しみです。

 

 

 

・アラバスターの季節(‘23年1月発売 既刊2巻)

 

 

とある小さな島での生活に閉塞感を感じつつ、絵を描く事でフラストレーションを発散させている男子高校生「町田 銀」が新任の美術教師「咲坂さくら」と出会い、二人きりの美術準備室での絵画の指導を通して自身の行く先を模索する青春物です。

美女教師が男子生徒に自らのヌードデッサンを指導するというエロいシチュエーションもさることながら、この先生の肉感あふれるスタイルがたまらなく壺ですわw

しかしそれだけではなく、美術準備室での二人きりでの秘密の指導というインモラルな状況に、周囲の一癖も二癖もあるキャラクターたちが銀とさくらの関係に迫ってくるサスペンス的な展開や、青春群像劇としての本筋もしっかりした作品だと思います。

 

 

 

・おのれ人間ども(‘23年2月発売}

 

 

遠野の大妖怪「ムジナ」と人間の女性「のり子」との間に出来た子供「きなこ」を巡っての子育て奮戦記です。

基本的にのり子が外に働きに出てムジナが家で主夫をする生活なのですが、大妖怪である筈のムジナが現代の育児に文句を言いながら適応しようとする姿や、赤ん坊に生真面目に接しつつ翻弄される姿が楽しいですw

今後は妖怪の血を引くきなこの成長の様子や、大妖怪を尻に敷くのり子、ムジナの子育ての相談相手も務める退魔師の百足坊など、他のキャラクターたちとの絡みによる話の広がりを期待したいですね。

 

 

 

・ピッコリーナ(‘23年3月発売)

 

 

焼き鳥屋のマスター「朗(あきら)」と高級クラブのバニーガール「峰香(ほうか)」のラブストーリーです。

作者さんの焼き鳥とバニーへの拘りが画面の細部にまで見て取れますね。

華やかな舞台に立つバニーと裏方である焼き鳥屋のマスターという対象的な二人が、職種は違えどお互いのプロフェッショナルな仕事ぶりに惹かれて距離を縮めて行く様がとても良い。

派手な見た目の峰香さんですが、落ち着いた大人の女性の魅力とキュートな笑顔がたまりません。もちろんその素晴らしいスタイルの良さは言うに及びませんがw

 

 

 

・花園に幹が立つ(‘23年5月発売 既刊2巻)


 

私立の名門お嬢様学校である櫻凜学園が共学化し、初の男子生徒として唯一人入学する事となった「遠野 幹(みき)」が、お嬢様学校の伝統と文化に戸惑いながら適応していく様を描いた学園物です。

女の花園に紛れ込んだ異分子を疎ましく思う者や、異性に興味津々で近づいて来る者など様々な女生徒がおり、フィクションとはいえ女子高という未知のコミュニティに妄想を膨らませつつ読んでおります。

また、お嬢様独特の距離感というか、異性の懐にスッとに入り込んでくる所作に感情を乱される幹に共感させられますねw

今後、幹が特待生としての立場を守りつつ、様々な女生徒たちとの関係をどのように進展させて行くのか楽しみです。

 

 

 

・テレワァク与太話【単】(‘23年5月発売)

 

 

ブラック企業のシステムエンジニアとして勤める「三橋 残(のこる)」と大学院生として考古学を専攻する「泉 奈津」との、ベランダでの出会いから発展するラブストーリーです。

端的に言ってしまうと、理系男子と文系女子の価値観の齟齬が互いの興味を掻き立てて関係を深めて行く――― って感じですかね。

理詰めで思考する残が奈津の直情的な行動に、好意からのものでは無いと自重しつつも心惹かれる様子に共感してしまいますw

特にラストシーンに繋がる残の大胆な行動は、自らも高揚感に包まれる良いエンディングまでの流れでした。

起承転結のしっかりした構成がキレイに一冊に纏まった良作です。

 

 

 

・エロチカの星(‘23年7月発売 既刊3巻)

 

 

これまでシリアス路線で漫画家としての芽の出なかった「遠藤 円」が、ひょんな事からその画力がエロ漫画原作者志望の「蘭川よすが」の目に留まり、よすがの熱心な説得の末、二人で日本一のエロ漫画家への道を進むコメディですw

見た目はクールな美人女子大生のよすがが、エロ漫画にたいしての並々ならぬ拘りを真剣に語るギャップが笑えますねw

エロい単語を連発してグイグイ迫るよすがに、女性に対して経験不足な遠藤がドギマギする展開にニヤニヤとさせられますが、次第にエロ漫画に真摯に向き合う二人の姿に引き込まれて行きますよ。

残念ながら全4巻で完結となってしまうのですが、もっと深堀できたキャラ達や遠藤とよすがの男女関係のその先が読めないのが本当に残念でなりません。

 

 

 

・半人前の恋人(‘23年9月発売 既刊2巻)

 

 

美大受験を控えた美術部員の男子高校生「伊吹進太郎」と太鼓職人としての顔を持つ女子高生「杉崎響子」が、互いの専門分野へのリスペクトが恋へと発展して行く様が丁寧に描かれており、十代の初々しい青春ラブストーリーからしか取れない栄養を摂取しておりますw

まず、何と言ってもキャラクターの感情の移ろう間の取り方が印象的ですね。

パッと顔を赤らめるシーンとかでも丁寧に2,3コマに分けて微妙な表情の変化をを描いており、読み手の感情を深く揺さぶってきますよ。

しかし、高校生編が2巻で終わりを告げてしまうという展開の速さは予想外でした。

今後は成人ならではの大人の展開を期待したい所ですねw

 

 

 

・君と宇宙を歩くために(‘23年11月発売)

 

 

 

判らない方もいらっしゃるでしょうが、昔のアフタヌーンに載る漫画ってこういうもんだったよねってのが素直な感想です。(誉め言葉)

ちょっと自虐的て鬱っぽい表現の作品が多かったように思うんですよ。

で、この作品ですが、少年時の躓きから諦め癖が付いてしまった高校生「小林大和」が、発達障害を持つ(厳密にそうだという発言はされておらず、分かりやすく説明する為に使っております)転校生「宇野啓介」と出会い、一歩踏み出す勇気を貰って再び前に歩き出して行く所から始まる二人の友情を描いた作品です。

全てにおいて投げやりだった小林が、社会に一生懸命に適応しようと努力する宇野の姿に自らを省みて一歩づつ進んで行く様は、自分が様々な新しい環境に適応する時の苦労を思い出して共感せざるを得ません。

一方、人との関わり方の分からない宇野の方も、小林の助けによって世界が広がって行く様子は素直に喜ばしくて応援したくなりますしね。

今後、二人の未来にどのような壁や協力者が現れて友情を深めて行くのかを見守りたいですね。