2021年に発売された個人的に面白かった1巻をご紹介。
順番は発売日順です。
【単】は単巻。
【4】は4コマ漫画。

 

 

 

最果てのソルテ

 

 

魔法が禁忌とされる世界での長い旅路を終えた女性「ソルテ」の回想によるファンタジー冒険譚です。

まだまだ序盤で全てが謎。

不遇な身の上から解放され、帰る所を無くしたソルテは世界の果てを目指す旅立ちの日あって「全てを手に入れた」とはどういう事なのか?

ソルテのピンチに現れた、未来から来たソルテの旅仲間だった妖精「セルン」の2週目の旅の違和感がもたらす未来への影響は?

新たに見つけた旅の目的「死者の国」とは?

などなど散りばめられた伏線がこれからどう回収されるのか期待したいです。

また、セルンの力でソルテが魔法少女化して戦う力を得るのですが、セルンのソルテを操る方法がまんま巨大ロボット物のそれなのが草。

 

 

 

あんじゅう

 

 

「幾花にいろ先生の描く女性キャラが好き」

でなければお勧めしません。

ズボラな後輩と生真面目な先輩の女二人のルームシェアでの日常を描いた作品です。

女性二人の生活感あふれる日常を覗き見るという楽しみ方ですね。

 

 

 

ダンジョンの中のひと

 

 

ダンジョンの探索者として達人であった父がダンジョンで行方不明となり、父を探してダンジョンの最下層を目指す少女「クレイ」がひょんなことからダンジョンのラスボスであり管理者でもある魔法使い「ベル」にスカウトされて、ダンジョンの表と裏のギャップに戸惑う様が楽しいファンタジーコメディです。

周りとなれ合わず強さのみを追い求めた探索者と、ダンジョンの孤独なラスボスという似た者同士のお互いの常識のすれ違いや、桁違いの強さを持つ二人が日常生活においてはただの残念な人というギャップが楽しいですね。

今後、クレイのお父さんの事や二人の関係性の変化、クレイのダンジョンでの仕事ぶりなどがどうなって行くのか楽しみです。

 

 

 

ドキュンサーガ

 

 

人間とミュータントとの抗争を描いたSF大河ドラマです。

序盤は特殊能力を備えたチンピラまがいの人間の代表と、魔王と呼ばれるミュータントのボスとの能力バトル物かと思ってしまうんですが、バトルに決着がついてからの、これまで900年転生を繰り返し生きてきた魔王の振り返る人間とミュータントとの抗争の歴史が壮大で、それまでのバトル物とはまるで違ったイメージに変化して行き、その後ようやく最初のバトルの意味が分かってくる凝った仕組みなんですよ。

で、未だその過去編の途中なんですが、現在にたどり着くまでに様々な困難やトラブルのドラマがあり、人間及び同族間での憎しみの連鎖をどうやって締めくくるのかに期待したいです。

 

 

 

イマジナリー

 

 

こちらも幾花にいろ先生の作品ではありますが、ラブコメ風味なのでお好きな方は、という感じです。

基本は主人公である恋愛初心者どうしの男女二人の探り合いを、空想めいた描写を織り交ぜて描いたラブコメではありますが、女主人公を含め脇を固める女性キャラ達全員が自分の性癖に刺さるというかなんというか。

主人公の黒髪ロングのポンコツ小悪魔幼馴染、高身長おっとり糸目ギザ歯歴女、やさぐれメガネっ子メイド、ベリショマイペース、風呂上がりに裸でうろつく当りの強い妹などなど、属性の博覧会か?というほどですわ。

 

 

 

虎鶫(とらつぐみ)

 

 

はるか未来、核戦争により国が崩壊した旧日本の地に眠る、戦争の引き金となった秘密兵器「TORATUGUMI」探索の命を受け、死刑囚「レオーネ」が異形のはびこる日本で自由を勝ち取るサバイバルミッションを成功させられるか?というのが大まかな粗筋です。

こちらもまだまだ序盤でどういう話になっていくのか分かりませんが、様々な異形とのバトルや、レオーネの作戦行動の途中で知り合った「つぐみ」と名乗る異形の少女や他の知性を持った異形との交流、秘密兵器「TORATUGUMI」とは?等、今後に期待の持てる作品ではないかと。

特につぐみのキャラクターの魅力が良いですね。ある程度言葉を解するようですが、基本的に猛獣といって差し支えない身体能力に無邪気さを併せ持つ危うさと、子供らしい豊かな表情(変顔)を見せる可愛らしさが好きです。

 

 

 

姫騎士は蛮族の嫁

 

 

※くっころ姫騎士の嫁入り物語です。

蛮族の戦士と決闘の末捕虜となり、観念したところに現れた決闘の相手に求婚されるもプライドが許さず断るが、戦士の人柄やその土地の文化、グルメなどに簡単にほだされてしまうチョロい姫騎士が可愛い。

異文化交流とラブコメが上手くミックスされていて楽しい漫画ですよ。

※くっころ:プライドの高い女性が敵の捕虜となり、いよいよ拷問、凌辱等の行為が行われようとする際に吐き捨てる台詞「くっ、殺せ!」が略されたもの。世間ずれしてない初心で高貴な女性に使われる形容詞。(民明書房刊『御宅俗語大辞典』より)

 

 

 

【単】三文小説集 ~瀬川環作品集~

 

 

父の奔放な生き様の影響で人生を振り回され続けて来た男が、行きずりの女に一晩だけの関係だと思ってこれまでの経緯を洗いざらい話してしまう。それから4年が経った頃、男の人生そのままと思われる小説がベストセラーとなっていて更に男を追い詰める。作者に復讐しようと調べてみるとあの時の女が作者としてネットに上げられていた───。

という序盤なのですが、何も手に入れられず荒れていた男と小説に全てを捧げてきた自由奔放な女が一緒に暮らすうちに、男は憎かった筈の女の生き方や自分には無かった物の考え方に、女は作品のネタとして男を引っ張り込むけど男の純粋な感情に触れてお互いに惹かれて行くも、男は奔放な女を繋ぎ留めたい独占欲に苛まれ、女はそれを知りつつも男の反応を求める歪な恋愛を描いたラブストーリーです。

まー、この小説家の女性「ツキ」がすごく魅力的ではあるんですけど捕まったら心底苦労しそうな小悪魔感がたまらなく良いですね。ネコのようにニヤニヤ笑う笑顔がとてもチャーミングです。