10ステラと言えば、一般論では今もなお支持されている
名機リールである、ボディもローターもオール金属製
巻きだしこそ重たるいものの、一度定速で巻き出してしまえば
安定したフライホイール効果の軽い巻き心地から
もたらされる情報量は個人的にも素晴らしく
エリア等でスプーニングで使うにはこの上なく
使い心地が良く、マイクロモジュールギアが苦手な
ユーザーが買い戻すことも珍しくない名機である
それも今となってはギアの供給も途絶えて
人気も先細り感は否めない。反面個人的に
これほどまでに製品の精度ムラに悩まされたイマイマしいリールも珍しい
その2年後にリリースされたリールが12バンキッシュである
重厚な巻きのイメージを払拭するかのコンセプトで
ダイワのお家芸を脅かすきっかけともなった。12バンキッシュ。
初代クイックレスポンスシリーズの代表作であリ、その結果
12バンキッシュの血統は19バンキッシュまで受け継がれていくのである
今回は「12バンキもう売ってしまったよー!」と思っているユーザーには
少し後悔する話題となるかもしれない。
12バンキッシュのボディは10ステラと同等のオールマグネシューム製
ローターは樹脂製となるCI4である
いまでこそ19バンキッシュのローターは劇軽となっているが
今から9年前のシマノリールは同じ樹脂ローターといえども
どこか重厚感が残っていた。さて巻きはどうか?
これが10ステラよりステラらしい巻きなのである
想像するに10ステラから数えて2年後ということもあり
ギアやボディの手直しが相当にあったと推測される
金属ならではの剛性感と樹脂ローターの
立ち上がりの良いスムースな巻きが12バンキッシュの真骨頂である
それほどに、10ステラベースでありながら
熟成をかさねたリールとも言えるだろう
それはあたかも、15ツインパワーが17ツインパワーになって
さらなる巻きが熟成したことにも似ている
しかしながら10ステラと12バンキッシュとの地位と言えば
それはあたかも、パンダとレッサーパンダの違いのように
10ステラが後年まで多大な評価を受けている反面
12バンキッシュはそこまで評価がされていない気がする
10ステラのギアの供給が途絶えた今だからこそ
12バンキッシュはもっと再評価されても良いリールだと思っている
最後に、勿論10ステラも12バンキッシュも現行リールに比べて
各部のガタつきは多めに目立つし、雑味も否めない
反面近年のシマノリールは極端にガタつきを廃し
各部にガタを抑えようとする、シム類、ゴム類を
これでもかと配置し、極力振動吸収やガタつきを
制御する工夫をこらして快適さを手に入れた結果
なんとなくゴムの塊をリーリングしている気がしてならない
事実現行リールのチューニングのキモはそんな
ゴム感を排除することを念頭においているぐらいである
好みの問題もあるが、車でカーブをコーナリングしている時に
車に曲がらされてコーナーで詰まって曲がるか?
コツコツとロードインフォメーションを感じて(リールでいえばわずかなゴロ)
コーナーをアクセルオンで抜けるのでは操る楽しさも桁違いだと思う。
1 今となっては貴重な分割式ワンウェイローラークラッチ
逆転しやすいリスクがある構造だが
チューニングの伸びしろは高い