フィレンツェに戻る前に、なぜそもそもイタリアに留学してたのかという話をします。長いですが暇つぶしにどうぞ。
きっかけはなんてことない、高校生の時に観たとある映画でした。
話も音楽も映像も素晴らしく、中でも強く惹かれたのはフィレンツェの美しい、そしてどこか悲しい、その街並みでした。いつかここで絵が描けたら。
しかし日々勉強や仕事、制作に追われて、気づけば絵の価値が評価やお金になりつつありました。もちろんこれらは真剣にやってたことで、この時代がなければ今の私はありません。
ある日「私何で絵描いてるんだっけなー」なんて思いながら、一眼レフ持って毎週のように通っていた横須賀のヴェルニー公園で、ボーっと海を眺めていました。その時海軍のラッパを聴きながら、突然思ったんです。
海外だ、と。
最初は英語圏のイギリスにしようかとも思いましたが、紆余曲折あり、やっぱりイタリアしかないと思いました。憧れを断ち切れずにいたんです。
その後２０１０年にツアー旅行で訪れたのが初海外でした。
色々なことにビビってハローすら言えず、団体のみんなにくっついてビクビクしていました。
ましてやイタリア語なんて、大学で単位とった程度です。何も話せません。
それでも実際に訪れると感動して、ルネッサンスや古代ローマ帝国の歴史に押しつぶされそうになりました。
そして自分の存在の小ささにも。
不安の方が強くなって終えた２週間の旅行でしたが、そこから１年間イタリア語を猛勉強しました。新宿の南口ドトールでイタリア人とマンツーマン。
個展もやって、絵も買ってもらい、仕事も勉強も、点滴打ちながらやってました。
自分でアンテナを張っていると、あらゆるイタリアの情報が入ってきます。もう運命じゃないかってくらい。
そして大学院を修了して２年後に単身渡伊しました。ネットもパソコンもありません。
日本人もほぼいませんでした。頼れるのは、１年かけてイタリア語に完全翻訳した作品のポートフォリオと２冊の伊語辞書だけ（電子辞書は高くて買えませんでした笑）
ミュンヘン乗り換えで１３時間。そもそも一人で乗り換えするのも初めてで、本当に怖かったです。
学校から紹介されたのはアンナマリアの家。やっとの思いで夜辿り着いた築５００年のチェントロのアパート。
間借りさせてもらう部屋に通された瞬間、窓からドゥオモが見えました。（写真は翌朝。）
昨年旅行で訪れた時のドゥオモより、なんだか随分たくましく見えたのを今でも覚えています。
そして初めて聞かれた
「Ti piace la tua stanza? 部屋気に入った？」
きっかけはなんてことない、高校生の時に観たとある映画でした。
話も音楽も映像も素晴らしく、中でも強く惹かれたのはフィレンツェの美しい、そしてどこか悲しい、その街並みでした。いつかここで絵が描けたら。
しかし日々勉強や仕事、制作に追われて、気づけば絵の価値が評価やお金になりつつありました。もちろんこれらは真剣にやってたことで、この時代がなければ今の私はありません。
ある日「私何で絵描いてるんだっけなー」なんて思いながら、一眼レフ持って毎週のように通っていた横須賀のヴェルニー公園で、ボーっと海を眺めていました。その時海軍のラッパを聴きながら、突然思ったんです。
海外だ、と。
最初は英語圏のイギリスにしようかとも思いましたが、紆余曲折あり、やっぱりイタリアしかないと思いました。憧れを断ち切れずにいたんです。
ましてやイタリア語なんて、大学で単位とった程度です。何も話せません。
自分でアンテナを張っていると、あらゆるイタリアの情報が入ってきます。もう運命じゃないかってくらい。
日本人もほぼいませんでした。頼れるのは、１年かけてイタリア語に完全翻訳した作品のポートフォリオと２冊の伊語辞書だけ（電子辞書は高くて買えませんでした笑）
ミュンヘン乗り換えで１３時間。そもそも一人で乗り換えするのも初めてで、本当に怖かったです。
学校から紹介されたのはアンナマリアの家。やっとの思いで夜辿り着いた築５００年のチェントロのアパート。
昨年旅行で訪れた時のドゥオモより、なんだか随分たくましく見えたのを今でも覚えています。
「Ti piace la tua stanza? 部屋気に入った？」
という質問。
緊張してたし、文法ばっかり詰め込んでたので、会話の練習は実際に留学してからだと、思っていましたが、こんなに簡単なイタリア語も聞き取れないのかと、悔しい思いをしました。
最初の１ヶ月はそれはもう大変で…。毎日宿題宿題で、寝た記憶がないくらいです。しかも仲良くなる人達はみんな西洋人で、彼らは英語を話します。わかるはずありません。
それでも必死で英語も慣れました。わからなければ授業は英語で進みます。置いていかれないように必死でした。
毎朝ドゥオモの鐘の音に始まり、夜の音とともに終わる。ルネッサンスより変わらず続く日常。
そんな中、留学して２週間後にある人の工房を訪ねました。
レオナルド。
絵画修復のプロフェッソーレ（巨匠）です。
見ず知らずの私を、足を引きずりながら出迎えてくれました。当時８６歳。日本の大学の名誉教授でもありますが、足を悪くされてからは来日していないそうです。
なぜレオナルドを知ったかと言うと、私の大学・大学院時代にお世話になった先生が、２０年前にここで勉強していたからです。ただ住所を教えてもらっただけで、特に橋渡しをしてもらったわけではありません。
人間本気になればどんな恥でも挑んでいけます。気づけば玄関のベルを鳴らしていました。
自分でもすごい勇気を出したと思います。レオナルドは私の先生を覚えていました。私のポートフォリオも見てくれました。大きなサンタクロースみたいな優しいおじいちゃんで、いつもオペラを歌う。でも物凄い厳しかった。
街で画材を買い揃え、そこから油絵漬けの毎日。
最初のうちは午前中に語学学校、昼に軽くパニーノやインスタントラーメンを食べ、午後から工房、帰って宿題を深夜まで。
その生活を１ヶ月送ると言葉は何とかなりましたので学校を休学し、すべての時間を工房に費やしました。とにかく専門用語が飛び交い、わからなくなる度に辞書を引きました。１ミリでも構図が狂えば絵も最初からやり直し。
朝８時から、夜８時、月曜から金曜まで。１時間のお昼休憩で、片道２０分の家を往復しました。
後半、家賃が安い部屋を見つけ、アンナマリアの家から郊外に引っ越しました。その際イタリアで描いた処女作はアンナマリアにプレゼントしました。
お昼ご飯は毎晩前日に作り置きしてました。
冬は寒く、クーラーがない夏場は地獄で、毎晩凍らせたペットボトルを抱いて寝てました。
本当にこの歌に何度も気持ちを支えてもらいました。
芸術の歴史の末端で、少しでも偉大な画家たちに触れたかった、そんな思いでした。
中でもフィレンツェが与えてくれた１番の出会いは、工房で出会ったフィオレンティーナ。
コテコテのトスカーナ弁の彼女が住むヴィンチ村にも、何度か遊びに行きました。
ケーキまで焼いてくれて。一緒に博物館や宮殿に行って絵を見たり、お祭りにも行ったり、ダ・ヴィンチの生家にも行ったり。
一日一日が宝物になりました。そんなイタリア留学。
私はいつだってクズでヘタレです。イタリアのために別れを告げた人さえいます。そのクセ人の助けを求めなければ、明日さえ掴めません。
自分で何でも決めているようで、実は常に出会う人たちにレールを引いてもらっているのです。
実はスペインのフィゲレスでニース行きのバスを待っている間に、カフェでこの日記を書きました。
そしたらアンドレア・ボチェッリの「Vivo per lei」が店内で流れて、息が止まるかと思ったんです。なんでこのタイミングで、しかもスペインで私の気持ちを知っているかのように、イタリアのこの歌が流れたのでしょう。
風がどこからともなく吹き始めたような。
また何かが動き出す気がします。
I'll arrive in Florence soon. Before that, I wanna talk you about my study abroad for painting in Italy, 2011.
I didn't have an acquaintance or friend. What inspired me to stay in Florence? It was a Japanese movie.
This was so beautiful and interesting. In the movie, I saw a beautiful cityscape of Florence, when I was a high school. It was first time. I hoped I live and paint in this country.
More 5 years later, I had been busy for long time. Working, painting and studying hardly everyday.
When I noticed, I had thought value of art was money...No way. I knew art is just art. It's not money. But I don't regret. If my past self didn't exist, I don't exist now.
One day, I had been seeing a sea at park in Yokosuka. Everyweekends I had gone there with only DSLR. And I was thinking that why do I paint...and for what?
At moment I came up with a thought suddenly.
I'll go overseas.
I couldn't forget a beautiful cityscaqe of Florence in the movie I watched long time ago.
After that, in 2010.
Finally I went to Italy and Vacican city.
This was my first trip in foreigun country.
I couldn't say hello, because I was scared foreigners. But when I bought a cookie something in cafeteria in Basilica di Sant Pietro, an older Italian said me 'oh~ Fuji yama!!' I was so glad that a communication wasn't difficult!
But I felt insecure a little. I was diffident of studying abroad. 'Can I do that, really?'
After travel, I studied Italian hardly for a year. And I worked hard too. Sometime I sold my paints.
I fihished the master's course in Fine Art (oil painting) in 2009.
And 2 years later, I went studying art to Florence again.
I arrived at night. It took 13 hours to Florence from Tokyo.
My Italian school gave me Annamaria's house. She was Napolitana.
緊張してたし、文法ばっかり詰め込んでたので、会話の練習は実際に留学してからだと、思っていましたが、こんなに簡単なイタリア語も聞き取れないのかと、悔しい思いをしました。
毎朝ドゥオモの鐘の音に始まり、夜の音とともに終わる。ルネッサンスより変わらず続く日常。
レオナルド。
絵画修復のプロフェッソーレ（巨匠）です。
見ず知らずの私を、足を引きずりながら出迎えてくれました。当時８６歳。日本の大学の名誉教授でもありますが、足を悪くされてからは来日していないそうです。
自分でもすごい勇気を出したと思います。レオナルドは私の先生を覚えていました。私のポートフォリオも見てくれました。大きなサンタクロースみたいな優しいおじいちゃんで、いつもオペラを歌う。でも物凄い厳しかった。
街で画材を買い揃え、そこから油絵漬けの毎日。
その生活を１ヶ月送ると言葉は何とかなりましたので学校を休学し、すべての時間を工房に費やしました。とにかく専門用語が飛び交い、わからなくなる度に辞書を引きました。１ミリでも構図が狂えば絵も最初からやり直し。
冬は寒く、クーラーがない夏場は地獄で、毎晩凍らせたペットボトルを抱いて寝てました。
金曜日の夜、疲れてフラフラしていると、聴こえてくるのはストリートミュージシャンによる「 Con te partirò」のヴァイオリン演奏。
本当にこの歌に何度も気持ちを支えてもらいました。
一日一日が宝物になりました。そんなイタリア留学。
私はいつだってクズでヘタレです。イタリアのために別れを告げた人さえいます。そのクセ人の助けを求めなければ、明日さえ掴めません。
自分で何でも決めているようで、実は常に出会う人たちにレールを引いてもらっているのです。
実はスペインのフィゲレスでニース行きのバスを待っている間に、カフェでこの日記を書きました。
そしたらアンドレア・ボチェッリの「Vivo per lei」が店内で流れて、息が止まるかと思ったんです。なんでこのタイミングで、しかもスペインで私の気持ちを知っているかのように、イタリアのこの歌が流れたのでしょう。
風がどこからともなく吹き始めたような。
また何かが動き出す気がします。
I'll arrive in Florence soon. Before that, I wanna talk you about my study abroad for painting in Italy, 2011.
I didn't have an acquaintance or friend. What inspired me to stay in Florence? It was a Japanese movie.
This was so beautiful and interesting. In the movie, I saw a beautiful cityscape of Florence, when I was a high school. It was first time. I hoped I live and paint in this country.
More 5 years later, I had been busy for long time. Working, painting and studying hardly everyday.
When I noticed, I had thought value of art was money...No way. I knew art is just art. It's not money. But I don't regret. If my past self didn't exist, I don't exist now.
One day, I had been seeing a sea at park in Yokosuka. Everyweekends I had gone there with only DSLR. And I was thinking that why do I paint...and for what?
At moment I came up with a thought suddenly.
I'll go overseas.
I couldn't forget a beautiful cityscaqe of Florence in the movie I watched long time ago.
Finally I went to Italy and Vacican city.
This was my first trip in foreigun country.
And 2 years later, I went studying art to Florence again.
My Italian school gave me Annamaria's house. She was Napolitana.
After that, Anna asked me 'Ti piace la tua stanza? /Do you like your room?'
At that time I had given nerves too much. Besides my hearing and speaking were too wrong, so I couldn't understand her question.
By the way, do you understand my wrong English??
Leonardo Passeri.
And my painting life in Firenze began.
But a month later, I stoped Italian school. And I had painted all day. From 8am to 8pm.
This is called 'Con te partirò' and my favorite italian song.
I took 20 minutes going to Leonardo from new one on foot, bisides one way.
She baked a torte dolce everytime!
È stata molto buona!!!
All days were so precious to me.
I'm not good person and not intelligent. I need help always. But that's why I can help somebody with my works. I hope so.
Actually I have already decided to stay in Florence again fter the travel. To paint. So I have to make a big money in Japan :-P
I wrote this in Figueres while I was waiting for a bus to Nice.
In the small cafeteria, an italian song played 'Vivo pel lei'.
Why that time...? It was a just coincidence? Or not...?
If this song didn't play there, I didn't decide to go to Italy again. And I would be lost in my life now...
Thank you for reading my story in wrong English!!
長いのに読んでくれてありがとうございました！