モグ爺こと、くどうあんのなぁ~んてね?!  ぶろぐ(*^_^*)

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長年ソウルナビゲーションと鑑定をさせて頂いております、くどうあんの
自分勝手なぶろぐです。 ツイ忘れてしまっていた気付きと、ホッとできる
話題。 そして、超~頑ななモグ爺の私思の一考を、あくまで自己満足の為に書かせて頂きます。  なぁ~んてね!?

 第 20 章

  新たな挑戦 21

 

 階下の応接室では、鈴木はいかにも不安そうに和田に尋ねた。

「和田さん! 荒川さんにあんなに強く当たって良かったんですか!? 大丈夫なんですか!?」

 

「あぁ、良いんだ! あれで良いんだ! 莉絵さんは、昔から人の想いや思いには疎いんだよ!

 

 誰が何を心配しても…、誰が何を進言しても…、誰がどんな思いや想いを抱いていても…、いつも自分最優先で物事を考える人だから!

 

 言い換えれば、いつも自分中心だから他人のことは何もかもが二の次になってしまうんだ!

 

 俺達が幾ら心配をしてても…、幾ら気を揉んでいたとしても…、莉絵さんには無関係なんだ! 莉絵さんは、自分の考えている事意外には意識がいかないんだ!

 

 問題意識が無いんだ!? 逆に言えば、常識外れの部分があることも事実なんだ!?

 

 俺が甘やかし過ぎた所為だって、みんなに言われてるんだが…、俺にもそろそろ限界が来てることも確かなんだ! 

 

 だから、この辺で一般常識を少しは身に着けて欲しいと思って強く言ったんだ! まぁ、あの程度で落ち込む莉絵さんじゃないから大丈夫だよ!

 

 半日も経つと、自分の言ったことも忘れる性質だから! こっちが驚くよ! 

 

 逆に言えば、それが莉絵さんの魅力かも知れないんだが…、偶には刺激しないと、本当に非常識な侭世間と向き合わなきゃいけない時期が来ると可哀想だからな!

 

 まぁ、俺が莉絵さんと初めて出遭った10代の頃は、それはそれで愛おしいと思えたんだが…!?

 

 間もなく三十路になることを考えれば、いつまでも甘やかした侭じゃいけないと思ってるんだ!? 

 

 莉絵さんにも、そろそろ世間を冷静に見れる眼を養ってもらわないと、世間の冷たい風に吹かれたら莉絵さん自身が自滅してしまうからな!?

 

 芸術家とはそう言う傾向が強いことも事実なんだが、未だに生業と出来るほど画家としての目が出ていない状況を考えれば、そろそろ画家としての道も考え直さないといけないかも知れないとまで、俺は考えているんだ! 

 

 画廊の店番と、お店(しののめ)の手伝いだけじゃ、生活できるほどの収入も得られない状態だから! いつまでも、俺が莉絵さんの面倒を看続けられるわけでもないしな!

 

 まぁ、俺の道楽だと思えば良いのかも知れないけど…、莉絵さんもいつかは自立しなければならない時期が必ず来ることも確かだから! 

 

 出来ることなら、その辺を冷静に判断できる環境をそろそろ整えて遣らないと、本当に俺の所為で人生無駄な時間を生きさせてしまったことになるからな!

 

 昔、ある人から名言を教えて頂いたことがるんだ! 名言と言うより、格言と言った方が良いのかな!?」

 

「えっ、どんな言葉だったんですか!?」

 鈴木が身を乗り出すように尋ねると、和田は含み笑いを浮かべながら、

 

「その老師が言うには、青春時代とは世間を舐め切った時代を言うんだ!ってな!

 

 その言葉を聴いた時、俺は思わず笑いだしてしまったんだ! 正にその通り、俺にも同じような記憶が残ってたからな!」 

 

「あぁ、名言ですね!? 自分にも同じような記憶があります。 世間を舐め切ってた時代がありました。 と言うより、世間の本当の怖さを知らなかった時代なのかもしれませんね!?

 

 あぁ、そうですね!? 自分の様な世間知らずにはぴったりの言葉ですね!? それは、思わず笑ってしまった和田さんのお気持ちも良く解ります。

 

 和田さんの話を聴いて、自分も吹き出してしまったくらいですから!」

 

「だろう!? そう考えれば、莉絵さんは未だまだ青春時代なのかもしれないと思ってるんだ!

 

 だから、もう少しだけ見守って遣りたいとは思ってるんだが…!? これから独り立ちする鈴木君には、そんな風に成って欲しく無いから、敢えて今から苦言を呈してるんだ!」 

 

 和田が、莉絵に対する自分の態度に反省する様子も見せず、きっぱりと言い切ったその時、応接室のドアが僅かに開き、様子を窺うように顔を出したのは由梨であった。

 

「お客さんがお出でなのに、すみません。 ちょっとお邪魔して良いですか!? お父さん今大丈夫!?」

「あぁ、どうしたんだ!? 何かあったのか!?」

 

「うぅん! 何かあった訳じゃ無いけど…、あんまり大きな声がするから、様子をみに行った方が良いって、あぁ~ちゃん(晶子)と言ってたんだけど…!? 

 

 お客様がいらっしゃるのにごめんなさい。 もしかして、りぃ~ちゃん(莉絵)が来てたのかと思って!?」

 

 由梨の出現に戸惑う和田と鈴木の様子に、由梨は言葉に出来ない違和感を覚えていた。

 

「いや、何でもない! 少し声が大きかっただけだ! 心配するな!」

 そう言う和田も、どこか上の空の様に由梨には感じられた。

 

「なら良いんだけど…、お正月から問題を起こさないでよね! わたしら、りぃ~ちゃん(莉絵)と引っ越しの事で一杯いっぱいなんだから…!」

「あぁ、了解! 気を付けるよ!」

 

 うわの空で答えた和田は、事の重大さにはまだ気付いていなかった。

 

 和田の気の無い返事に不安を覚えた鈴木が、意識的に由梨の視線を逃れようと僅かに体制を変えたその瞬間、由梨の視線は鈴木に釘付けになっていた。 

 

 鈴木は、由梨の視線を避けようと更に背を向けた。 そんな鈴木の態度が、裏目に出た。

 

「えっ、あっ、もしかして…、まさか…、サブちゃん!? えっ、ちょっと待って! なに!?

 

 どうしてサブちゃんがここに居るの!? どうしてお父さんと会ってるの!? 千葉に居たんじゃないの!?」

 

 由梨は、狂喜していた。 由梨はそこまで言葉にすると、応接室のドアを大きく開きソファーに座っていた鈴木の胸に倒れ込むように飛び込んでいた。

 

 その様子に和田も鈴木も驚くと言うより呆気にとられていた。 

 

 由梨に対する方針もまだ決めていない状態での由梨の出現は、2人を翻弄していた。

「おいおい! どうした!? 女子大生が、こんなおじさんの胸に飛び込んで、一体何をどうしようって言うんだよ!?」 

 

 鈴木に問われた由梨であったが、鈴木を押し倒して強くハグした侭離れなかった。

「嫁入り前の娘さんが。親父さんの前でこんなことして良いのか!? 親父さんに誤解されるから…!? お願いだから…、由梨ちゃんってば!」

 

 そう言いながら、鈴木は由梨の髪を愛おしそうに優しく撫でていた。 和田はその様子を窺いながら、戸惑っていたことも事実であった。

 

 鈴木が由梨の肩に手を遣り、体を起こそうとすると、由梨は更に腕に力を込めて鈴木の胸に強く縋り付いた。