今日は

未来の東大受験生の方々、親御さんに向けて、

受験ブログらしいことを書きます



※一般論は知りません。あくまで私の独断と偏見に基づくものです


まず、東大文系は、全国の大学で唯一、二次試験で地歴科目を2科目課されます
これは意外と知らない人がいる情報ですね。東大だけ、です。(理系は理科2つが課されるところも沢山あると思う。詳しくないですが)



その代わり、問題自体はそれほど難しくなかったり(一橋の社会、特に地理は難し過ぎると有名。東の人間なので京都は分かりかねますが)、科目数が多い分、1科目での失敗が全体に響きにくかったりというメリットもあります



ともかく、東大文系を目指す受験生は、日本史・世界史・地理の中から2科目を選択する必要がある訳です

※地歴の選択は高2くらいの時期で良いと思います。それまでは英数だけで必要十分。私は高2の春〜夏に選択を決めました



理系東大受験生の理科の選び方は
物理化学>化学生物>物理生物>その他
で物化選択が7割ぐらい、みたいなイメージがありますが(実際のところ細かい数字は知らない)、文系は1つに偏るというよりは、二大派閥がある、といった感じです


世界史・地理が最多数派、次いで日本史・世界史、少数派の日本史・地理といった感じで、比率は体感5:4:1ぐらい?


私は日本史・地理選択、日地なんて呼ばれることもありますが、理系の地学選択ほどではないにせよ、圧倒的なマイノリティであることは確かです  ニッチな日地、なんちゃって



それぞれの選び方は一般に、

地世  共に世界を扱うので共通部分が多い
史史  共に歴史を扱うので共通部分が多い
日地  勉強量が相対的に少ない

と言われる気がします


私は日本史地理をもっと多くの方にお勧めしたい訳ですが、迷える受験生のために、全種類について紹介しようと思います


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1.各科目の内容・印象について
私は世界史を学校の必修で1年間習っただけなので、世界史には詳しくありません(伝聞と友人の過去問をチラ見した記憶に基づく)、そこのところご理解を


※東大の地歴は1行30字のマス目が書かれた解答用紙が配られて、150分を自由に配分して事前に申請した2科目の問題を解きます。1科目60点満点。


日本史
古代・中世・近世・近代で1問ずつの4問構成(配点は15-15-15-15)。1問がA,B,…に分かれていることも多い。基本的には、複数の史料が与えられて、それについての問に1問あたり4〜7行程度(A2行、B3行とか)で論述する。第4問を中心に、史料文が無いものもある。

後者のタイプ、つまり近現代はある程度知識が無いと厳しいが、それでも私大の意地悪な問題なんかに比べれば知識量は圧倒的に少なくて良い訳だし、センター(これを読んでる方々はもうセンター世代じゃないけど、大した差は無いと思うので、便宜上センターと表記)対策とも通ずる。

前者のタイプの最大のメリットは、日本史の知識がそれほど無くても、史料文を要約すればそれっぽい答案になること。私が受けた2020年入試なんかは特にそういう傾向が強い印象を受けた。

しかし当然ながら要約だけで良い訳ではなく、東大の教授が重んじる理論的、概念的な部分を知る必要がある。
このタイプが多いため、日本史は「狭く深く」という印象。知識より思考力。だから勉強量は世界史>日本史と言われるんだと思う。

因みに、そういうことなので本番は答案の許容範囲が割と広いようで、合格者の開示点は40点前後が多いらしいが、模試では明確な採点基準が無くてはいけないので、用語単位で点がついたりする。だから日本史選択者は模試で点が来ない。つらい。私は夏冠で16点でしたが、本番でそんなに低い人は不合格者も含め見たことがありません


日本史が苦手な人は、教官が書かせたがっている概念・知識を問題文から読み取るのが苦手。少なくとも私は。


所要時間は70〜75分。時間節約にもってこい。



世界史
第1問が大論述(指定語句を使って600字書かされるらしい、450とかの年もあるらしい)、第2問が中論述(3行ぐらい×数問)、第3問が一問一答×10問。

第3問の配点が1問1点か2点かで予備校ごとに意見が分かれているが、2点の線が強いらしい。(つまり配点は20-20-20)難易度としては、冠模試は難問・奇問も含まれるが、本番は親切なものが多い、らしい

つまり、単語書くだけで20点近く貰える!日本史選択としてはこれが羨ましいんだ!!

しかし、模試や本番の点が日本史に比べ高いということはないので、決して世界史が楽に点が取れる科目だという訳ではない。

論述問題の対策はセンターと勉強のベクトルが変わってくるけど、世界史は一問一答の対策がセンターと第3問の両方に有効になるのがメリットかと

(とは言え、入試直前期になってまで単語を詰めるのは精神的に結構くる気がするので良かれ悪しかれ)


世界史未経験者としては「大論述で何書けば良いのか分からなくなったら20点吹っ飛んで怖い」と思ったが、世界史選択者によると「指定語句が結構親切だから、何一つ思い浮かばないってことはない」のだそう。


世界史は「広く浅く」ってイメージ。私大入試にも比較的対応しやすいのか知らないが、史史選択で私大を日本史で受けてる人見たことない。


世界史選択者は皆、文化史で苦労している印象。カタカナの人名・作品名が大量に出てきて、孔子とか老子とか荘子とかその辺りまで含まれる。



所要時間は人によって差があるようだが、75〜80分。



地理
大問3問構成で、各問が設問A,B,…に分かれていることが多い。配点は20-20-20、3問の記述量はほぼ均等。とにかく字数が短く問題数が多い。1〜3行の論述問題が設問Aに(1)〜(3)、ぐらい。


図表を読み取って図表中の記号を国名・都市名等と対応させる短答問題も多々ある。ここで外すと後の論述が吹っ飛ぶので怖い。そういう意味で、大失敗が有り得る。


最近は日本地理がやたら出る。よって中学受験経験者にとっては、「なんか昔やった」話題も多い。私の2020年は石狩平野と十勝平野の土地利用の違いとか、高知から降水量の少ない香川に水資源を提供してる話とかが出た。

一般に高校地理では日本地理が手薄になりがちなので、中学受験未経験者はそのへん厳しいのでは?と思う。が、未経験者にも地理選択はかなりいるので、どうにかなっているんだろう。


世界地理は、典型問題が多い。典型論述をマスターできるかどうかで決まる、といったところ。


一通り知識を入れてからでないと典型論述に取り組めないという意味では一定の勉強量が必要ではあるが、高3の1年間でなんとかなるレベル。というか私はなんとかした。なんなら高2からやってた日本史よりもずっと得意だった。


私は地理が楽しいと思えていたが、史史選択の中には地理アレルギーみたいな人が一定数いるし、最も好き嫌いが分かれる科目だとは思う。好きな人は好きなので、選択者は総じて楽しんでいる印象があった。ただし点差はかなり出る科目。歴史で20点台はあまり見ないが、地理は偶にいる印象。


地理選択者の苦手分野といったら地形図。私もマスターできなかった。しかし先生方曰く、練習量がモノを言うらしいので、対策は可能。



所要時間は75〜80分。長めに見たほうがいい。

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2.各セットについて


世界史・地理
選択者が多いだけあって、やはり共通部分は一番多い。地理を選択するにあたって世界史が必要になることはそれほど無いが、地理の知識があると世界史が理解しやすくなることは多々ある。

しかし史史選択が多いのも確かで、地世選択の友人は「史史選択はなんであんなに地理感覚が無いのに世界史が理解できるんだ、意味わからん」と言っていた。そういう人もいるらしい。

試験時間がかなりきつそう。



日本史・世界史
選択者によると、「思ってたより共通部分少ない」らしいが、少なからず被っている部分はある。

多くの受験生には元寇とか朝鮮出兵ぐらいの基本的な日本史知識はあるので、世界史を選択するにあたって日本史が必要になることはそれほど無いようだが、世界史を知らないと日本史の第一次・第二次大戦の辺りだけは少し難しい。そこだけだけど。

世界史をやっていなかった私は、カイロ宣言とヤルタ協定とポツダム宣言がごっちゃになって大変だった。しかしまあ、その辺りだけだと言われればその通りだし、その辺りは東大では全然出ない。



日本史・地理
噂通り、共通部分は無。なんだかんだ言って少しはあるだろうと思っていたが、無だった。強いて言えば公害問題とか日本の鉱山とかその辺りだが、ダブルで習う必要は全く無い。

しかし試験時間に関しては有利。後述。


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私も含め、日地選択にした人はだいたい「カタカナが無理だから世界史は無理」と言ってる気がします(因みに私は世界史のなんちゃら革命が多すぎて挫折したのもある)。逆に、「徳川将軍の名前が覚えられずに挫折した」から地世という人もいます。ただし「漢字の名前が苦手だから」地世にするのは間違っています。どう考えても中国史の方が漢字難しいんで。


史史選択は絶対に一番勉強量が多くなりますが、それでも選択者が多いのは、歴史愛好家/地理アレルギーの人が一定数いるからでしょう。知識が入ってしまえば、安定して点が取りやすいセットではあると思います



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最後に一応、マイノリティの立場から日本史・地理選択を推しておきます

中学受験経験者には特に推せるセットです
勉強量が少なくて済むのも事実です(世界史が一番知識量多いので)

本番の時間調節のしやすさも魅力です
日本史で短縮できる分、地理に多く割けます。地理は一問一問が小さい単位なので時間調節がしやすいし。
私は地理80→日本史70で解いてました
(世界史・地理勢は75-75になりがちだけど地理75分は結構厳しい)


※ただし、全国の高校ではこの三つのうち世界史のみが必修となっているらしいです。
だから世界史に力が入っている学校が多く、時間割都合上、日本史・地理のセットを選択できない学校もあるようです。その辺ご注意を世界史・地理と日本史・世界史が選択できないことはほぼ無い)


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以上、一合格者の独断と偏見に基づく地歴紹介でした


ここまで纏めてみましたが、結局のところ、結論は「自分がやりたい科目をやるべし」です。そんなもんです。私も長いこと第二外国語に悩んでましたが、それも然りです


東大にも得点調整はあるので、選択科目で不利益を被ることは無いと思います。

是非興味が持てる科目を選んで下さいキラキラ