参加します(新藤伊織)
毎年参加させていただいておりますが、昨年は不本意ながら完走できずに終わってしまいました。
今年は初心に帰り、欲をかかず、完走することだけを目標に走りたいと思います。
五十嵐きよみさん始め数多くの参加者のみなさん。沿道のみなさん。どうぞよろしくお願いします。
「002:晴」より。
ああもう。既にペースがおかしな事に・・・(笑)
あっちこっち手を出しすぎて中途半端><ダメやん。
西から徐々に梅雨入りが始まっていますね。
恵の雨。今年は美味しいお米が出来るのでしょうか。
年々深刻化してゆく異常気象に他人事ではないと。
エコロジーについて(今さらですが^^;)考え始めたわけ。
小さな事から。出来る事から。始めようと思います。
今日はみなさんの2つめの題詠を堪能します。カッ!
「002:晴」より。
★爛漫の樹下に花びら鎮もれば母の晴れ着に袖は通さず
ニ子石のぞみ
どれだけ母を敬愛していたかが伝わる歌ですね。
きっとお母様はとても美しく強く輝いていたのでしょう。
強く心に残る場面が幼心に。
それは鮮やかな旋律として残っているんですね。
★前髪ももう伸びたんだ 君のいない東京の空は時々晴れる
本田あや
虚無感が押し寄せてくる歌。
無情な時間の流れと。めまぐるしい都会の日常。
機械仕掛けの毎日からじゃそれらは見えづらい。
君と一緒にいた時には。少しの変化も見逃さなかったのに。
★晴れきった真夏真夜中むきだしの宇宙を君と引っ掻きに行く
ぱぴこ
とても勢いのある歌。好きですね。これ。
ふたりでだったら何もこわくないね。なんだって出来る。
大気圏をとおり越すほどの晴れたそら。
三句目までの「宇宙」への形容の仕方に脱帽です。
★忘れない 晴れたら私のおかげだし雨ならきみのせいだったこと
百田きりん
こころが泣いてしまいそうになる。
そうやっていつでもふたりは一緒にいたんだ。
笑ったし嬉しかったし怒ったし泣いたこと。
いつかかけがえのない思い出になりますように。
★晴れた日の空の青さを見つめれば貴方を見てるような気がして
萌香
とても切なくこころに響く歌。
しゃんとしたあなたの背中を見つめるのが好きでした。
もう二度とあえない意味をころがしながら。
あなたに繋がっている青空をわたしはここから見ています。
★幼い日の晴海ふ頭にまた行けばあるいは会える?歩く魚に
素人屋
大人になんかならないつもりだったの。
白いものを白。黒いものを黒だと言えないのなら。大人になんか。
まだぼくは大丈夫だと自分に言い聞かせるけど。
哀しいね。余計な知識が邪魔をするんだ。
★きっと今あなたもゆれているのでしょう空はこんなにこんなにも晴れ
坂本樹
遠くのひとをこうして感じられるのは。
言葉をなくすほどに今からっぽでいられるのは。
神様がくれた晴れのおかげです。
くりかえしの表記にその心情を強く感じさせられる歌です。
★国道を走れば蜥蜴になってゆき防弾ガラスの間の晴れた雲
市川ナツ
日常と非日常をうまくおり込んだ歌ですね。
人々の異常化は日々加速度を増し。
やがてそれが普通になっていってしまう。
それでも地球は回り続ける。
★晴れた日に干すことにする ずぶ濡れの舌、汗ばむ手、血まみれの指
岩崎圭司
下句に思わず唾を飲み込んだ歌。
汚れきってしまったぼくだから。今はうまく歌えない。
だけど明日がないだなんて思わない。
太陽はきっとぼくの味方をしてくれる。
★カーテンを誰かがあける 晴れの日の記憶はわりと正しいままだ
緒川景子
晴れた日の心地よさにすべてをまかせましょう。
だけど曇りや雨の日があるからこそだとゆう事は忘れないでいたい。
とても潔く清清しく詠まれた歌。
できれば思い出はみんなきれいなもので埋めつくしたい。
★晴れの日にする洗濯は完璧な理由でふられる初恋に似て
舞姫
すごくセンスのある歌。とても好きです。
初恋は得てして実りがたいもの。
空模様もそれと似ていて常に移ろい変わってゆく。
けどね。信じられなくなったら終わりだって。ちゃんとわかってるんだ。
★雲ひとつない晴れだからカサブタになってしまった全身を掻く
みち。
やりきれないようなもやもや感がどうにも苦しい。
けして抗うことのできない現実。
自分自身に対する焦燥感。
すてばちなんかじゃない。こう見えて一生懸命生きているの。
★一瞬の晴れ間をつなぎあわせつつ雨音ばかり覚えています
わたつみいさな。
繊細でやさしく哀しい響きのする歌。
憂鬱な雨を押しのけられないほどの重たい記憶。
刹那にみえた晴れ間ですらそれを消せないの。
それでも生きていかなくちゃならない。
★晴れすぎた空をからだに貼り付けて私は踊らなければならぬ
笹井宏之
大人になるとどうして思うがままにできなくなるんだろう。
社会のルールを守ることは自分を捨てるってことなのかな。
笑いたくないのに笑う。嫌いなのに出さない。
そんな風になるために生まれてきたんじゃないのにね。
★あの人は元気だろうか このジャムはいつのだろうか 晴れるだろうか
佐倉すみ
一見無造作に並べられたようですが。とても心に響く歌。
ふと思いついた日常の素朴な疑問。
それがこの構成になっている事で。
作者の気持ちの移ろいがよくわかります。
★火星まで晴れた夜空は無防備な正しさを叫ぶ 凍えてしまう
けこ
使っている単語や表現の仕方が好きな歌です。
どれだけ抗ってみても。到底かなわないの。
弱い自分を認めざるを得ない。
こんな夜には誰か傍にいてほしい。
「001:始」より。
ここまでの5つの題詠の中で私は同時に「歌」を詠み込んでみました。
本当は100題全てに詠み込めればいいなと思ったんですが。
無理です。(笑)
とりあえず走った5首のお題からひとつ。
みなさんの歌を見てみたい!カッ!
「001:始」より。
★きょうの日を始まりと決め 後悔は過ぎた季節にこごらせておく
青野ことり
とても前向きな歌。ずっとずっとこうして考えられたら。
きっといつだって笑っていられるね。
こごらせといた後悔をはるか未来で溶かしたら。
それはもう思い出に変わってるかもしれないね。
★境目に立って夢からほんとうを引き出すための今日が始まる
百田きりん
決意を感じます。しっかりとお題が引き立つ構成ですね。
まどろみを抜け出して。今日を始めよう。
きっとすてきな夢だったのね。現実になればいいね。
とても潔い歌。大好きです。
★白い夏おさないぼくのさすらいは始発電車の座席にとけた
aruka
童話のような響きが好きです。いろんな背景が浮かびます。
なんだかかなしい。胸がきゅうきゅう鳴いているよ。
まるで。叶わなかった幼いころの思い出が。
オーバーラップして静かに押し寄せてくるみたい。
★鳥たちが眩暈を起こす 始まりは名もなき朝の人工呼吸
松本響
魅力のある歌。言葉のひとつひとつにはっとします。
なんだか暖かくて心地いいな。
とてもすてきな始まり。見落としがちな日常を。
愛情たっぷりに歌っていると感じたわけです。
★新しい今日が始まり分け合っていた体温につげるさよなら
きゅん
ずっとそうしていたいのに。朝は無情。
だけど離れている時間があるからこそ。
次にはさらなるしあわせを感じられるんだよね。
充電完了。また歩きだせる。かわいい歌ですね。
★迎えたり待ったりなんて似合わないわたしは先に春を始める
田丸まひる
突き放してるんじゃない。あんまりみんなが呑気だから。
急いでるんじゃない。春をめいっぱい感じたいだけなの。
ちいさな発見も喜びになる。
春ってゆう季節が大好きなのが伝わる歌です。
★始まった日には必ずうがいして南の鹿とさよならをする
新井蜜
言葉選びのセンスがきらり。
きっと南の鹿は過ぎ去ったかの人や出来事ね。
うがいして。きれいさっぱり。新しいことが待ってる。
ぼくはいつだってこうしているんだ。それでいいんだ。
★身の内に鍾乳石を隠し持つ春、始祖鳥の眠りを眠る
香山凛志
内に秘めるものの美しさを感じる歌。
太古より薫るひとすじの思い。受け継ぐ者への憧憬。
いま私はそれになりたい。始祖鳥は眠る。
あなたは何を思い何を見てきたの。感じたい。
★きよらなるあを染み透るまだなにも殺してをらぬひと日の始め
萱野芙蓉
どきっとする表記。美しくて鋭い歌。
わたし。まだ大丈夫。って言い聞かせるように響く。
これから起こるだろうすべての事象にそっと。
否定も悲観もせずに。受け入れる準備はできてる。
★始まりを幸せとしか解せぬなら終わりもきっと幸せな、はず
理宇
カウンターパンチを食らいました。
なんて説得力のある歌だろうか。見て見ぬふりだった私。
ずっと甘えてきてしまったみたい。
そうやって。ちゃんと諭してほしかったんだ。
★わたくしの始まる場所を問ふてみる詰りかけたる排水管に
村本希理子
感慨深い歌。誰かに問うわけじゃない。
排水管に聞いている。しかもそれは詰りかけていて。
日常に埋もれて見えづらくなっているものへ向けられた視線。
ああ。もう答えはちゃんとわかっているんだね。