野球もないしイベントも忘年会も一段落の年末年始、暇さえあれば映画見て本読んでます。

冬は寒いからこたつで丸くなります。

コタツ無いからソファーで横になってるけど。

年末にかけてDVDを山ほど買い込みました。

映画館で見たい作品が少ないからね。

その感想はおいおい語るとして、これはスカパーのwowowシネフィルで見た映画の感想。



エストニア側から見た第二次世界大戦の映画です。

実はエストニア映画を見るの初めて。



エストニアそのものについて言うならば、エストニアはバルト三国として、ソ連の崩壊後に独立し現在はNATOにも加入する西側諸国となりました。

それ以前は、第二次世界大戦後ソ連に併合された過去があります。

では、その第二次世界大戦の時はどうだったのか?

その一遍が、この映画で語られます。

こういう歴史を日本人や韓国人も知って方が良い。

国が独立を失う事がいかに悲劇かということを。


1939年ドイツとソ連は不可侵条約を結びます。

それは血に飢えた狼と白熊が周辺の弱小諸国を侵略していくということであります。

エストニアは最初ドイツに征服され、エストニアの兵士はドイツ軍に編入されます。

その後ソ連が参戦、今度はソ連に配合されソ連兵としてドイツ軍と戦うことになります。

つまり、エストニア国内において、同じエストニア国民同士が、ドイツ軍とソ連軍として戦うことになるのです。

かたやナチスの先兵として、かたや赤軍兵士として。


映画は先ず、ドイツ兵として塹壕に篭りながら、ソ連軍の戦車と戦う様が描かれます。

この辺がハリウッド映画と違い、アクターが全然分からないから、誰が主役で誰が戦死するのか分からないサスペンスの面白さがあります。

そして物語が進むにつれ、主人公らしい兵士が描かれてわかるようになります。

主人公は空爆の中子供を助けるような勇気ある兵士であります。


部隊はやがて、同じエストニア人で編成されたソ連軍と戦う事に。

ここで、あっけなくドイツ側の主人公は戦死します。

これがなんといってもビックリ。

これまでこの兵士が主役として描かれていたからです。

そして、その兵士を射殺したソ連側のエストニア兵士が、兵士の寝ポケットから妹宛の手紙を見つけます。

そしてその兵士が今度は主人公となり、自ら射殺した兵士の妹に遺品を届けることになります。


上手い!


思わず唸った。

物語の最初はドイツ軍として戦ったエストニア兵士側から描き、中盤からその兵士と戦ったソ連側兵士を今度は描くことになる。

クイント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」では、アメリカ側・日本側、同じ戦争を戦った日米両サイドから描いたことはあったけど、それは2つの映画であって、それはそれで斬新ではあったけど、一つの映画で同じエストニア兵士を独ソ両サイド側から、描かれるのというのほ、本当に上手い。

同じ国民同士が敵味方に分かれ戦わざる得なかった悲劇を、この映画は兵士の両サイドで描くことによって表している。


後半は、そのソ連側の兵士が自ら射殺した兵士の妹に恋しながらも、それを告白すべき手紙を書きそれを胸に忍ばせながらも、彼もまた呆気なく赤軍兵士に粛清されてしまう。


そしてその手紙を彼の同僚が彼女は届けるシーンにて、映画はフェードアウトして行く。


僕らはその後長い間、エストニアがソ連に併合され長い冬を迎えねばならないことを知っているだけに、この1944の悲劇が、まだ始まりに過ぎない事を思い知るのです。


こういう映画を見れたこと、とてもラッキーであったし、多くの人に見て欲しい傑作でありました。