年があけちゃったけど、コロナ禍の中マリーンズの2020を振り返ります。

 
昨年、僕は千葉ロッテマリーンズを5位に予想しました。
楽天との複数トレードらしきものは、マリーンズにとってマイナスに働く、と考えたからです。
上手く開幕スタート出来なければ、そのまま失速もあり得る、と負の予感をした事も事実です。
それくらい開幕まで大地ショックが尾を引いた。
 
ところが、蓋を開けてみると、ホークスに2勝1敗と勝ち越し、そこから波に乗りオリックス相手に6連勝でチームを上昇機運に乗せました。
その後、3位に落ちたり、貯金がなくなったりと、下降気味なことはあったにしろ、概ねシーズンの大半を2位で確保した点立派でした。
トータルで考えれば、この2位で終わったシーズンそのものは、井口資仁監督以下フロント・ベンチの勝利であったと思います。
 
井口資仁監督3年目にして実に監督らしい監督になりました。
その采配用兵の是非は置くとして、監督として軸のブレが減り、自分の野球をするという点、評価して良いと思います。
 
 
オーソドックスなベンチワークを基本とするも、時に大胆に仕掛けたり、投手起用にしても我慢すべきところでは我慢するし、主力投手であっても長いシーズンを考えて登録抹消したり、救援のローテや3連投を避けるなど、恐らくは吉井投手コーチの進言であろうけど、それを容認している事も監督としての器であります。
 
名投手コーチとして鳴らした権藤氏が、監督について語った事があります。曰く「監督は130試合、全部エースを投げさせたいと考えている。そこから投手を守るのが投手コーチの仕事だ」
 
今年、マリーンズ投手陣の中にあって、シーズンを乗り切る投手力であったのは、投手を守り切った事が大きいと思う。
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また、野手の起用にしても大胆な抜擢がありました。
代走のスペシャリストとして開幕からチームに勢いを付けたのは、育成出身の和田康士郎でありました。
開幕戦で、1点ビハインドの最終回、甲斐拓也から盗塁を決めたのは見事。
オープン戦とは違い、アウトになれば試合終了という場面で走れたこと、そこに価値がある。
この盗塁が続く中村奨吾のタイムリーに繋がり土壇場同点に追いつきました。
これが和田康士郎に自信を深めたと思う。
そして極め付けは、マリンでの初スタメンだった日ハム戦、1番センターで起用され、3打席3打数3安打3盗塁3得点という離れ業。
こういう選手が出た事、それこそチームに勢いをもたらす。
そもそも和田はルーキーではない。
入団時にワギータと呼ばれ、思い切りの良いフルスイングが持ち味だと言われました。
ところが、本当の特徴は、高校時代陸上部であった足であったのですね。
それを導き出したのは、井口マリーンズに他ならない訳で、抜擢した監督なり首脳陣の手腕であったと思います。
 
 
そして大胆な選手起用と打順もまた、今年話題となりました。
僕は開幕スタメンに、3番安田尚憲を推しました。
今年のマリーンズにあって、それくらい大胆な起用をしなければ活路は見いだせないと考えた訳です。
これを井口マリーンズは、シーズンのほぼ全試合で4番安田尚憲を貫きました。
これもまた英断であります。
4番安田尚憲の成績は、その抜擢に応えた、とはいいがたいかも知れない。
しかし、4番安田尚憲は確実にチームに勢いを持たせた、と思います。
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そして功績という意味では、今季フロントの果たした役割が大きい。
前半の和田に続いて、後半戦チームに活力と勢いをつけたのは、澤村投手をトレードで獲得したことでした。
制球難から巨人三軍で燻っていた澤村投手ですが、マリーンズへとトレードとなり、登録即日にマウンドに。マリーンズファンの大歓声に迎えられた澤村投手は三者三振に仕留め、マリーンズファンに強烈な印象を残しました。
 
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和田康士郎の疾風と共に、今季最も印象的なシーンであったと思います。
 
これが停滞していたマリーンズに新たな活力を生み出しました。
その後のチェン・ウェイン獲得と並んで、これは間違いなくフロントの勝利。
 
 
と、ここまで、井口資仁監督としての功について述べました。
では、お前は井口マリーンズを無条件に評価するのか?
と、問われるなら、僕はハッキリと嫌いです、と答えます。
野球に限らず、スポーツの監督は結果こそが全て。
4連覇の工藤ホークスだって、監督評価と人間評価が全く異なる、なんてことでもあるでしょう。
ですから、井口監督にしても、この戦力での2位は監督として評価すべきだと思う。
しかし、そのシーズンを通じて貫いた井口イズムに対しては、僕は断じて好きではない。
 
今オフ、チェン・グアンユー投手の退団が決まりました。
尊敬していたチェン・ウェインの阪神入りが契機だったのやも知れない。
本当に家庭の事情だったやも知れない。
しかしね、井口マリーンズのチェンに対する使い方そのものに不満があっての退団だった、なんてのが真意にあったとしても驚かない。
それくらい、チェンに対する起用法に一貫性が無かった。
今シーズン、ジャクソンとハーマンという2人の外国人セットアッパー獲得は、フロントの快挙であったと思います。
野手ではレアード とマーティンが居たし、となるとチェンは当然の如く溢れる。
それに不満を抱くのは仕方ない。
しかし、シーズン途中、ジャクソンが大麻で離脱、レアード は腰の治療で帰国と、外人枠に余裕が出来るようになりました。
しかし、それでもチェンの扱いは、一軍と二軍を行ったり来たり。
競った場面で使えない永野や山本という左腕よりも、ある意味格下かと思えるような扱いは、本人にとって不満であった事でしょう。
あれだけ先発として毎回打たれてもチャンスを与えた中村稔投手に比べれば、その半分でもチャンスをあげても良かったのでは、と思えるのです。
今、このチームで首脳陣に愛されないなら、来年もまたそうはチャンスを貰えない。
それならば退団しよう、そんな風に考えたとしても僕は驚かない。
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とにかく井口イズムは、選手の好き嫌いがハッキリしてる。
好かれてないと言う点では、投手で言えば、今季背番号18を背負った二木康太もそう。
これは、このblogでも何回か指摘しました。
今季二木康太の成績は、9勝3敗防御率3.40。
勝星は、石川や美馬に劣るも防御率ならぼその2人より上だしローテ投手として文句ない成績でした。
今年背番号18を与えたのも、フロントは二木康太をエース格と評価してのものでしょう。
しかし井口イズムは、開幕二木康太は6番目の投手としての扱い。
西野勇士の離脱が無ければ、開幕ローテから外れたかも知れない。
そして先発2戦目、対楽天戦でのKOで二軍落ち。
その後二軍で好投してもなかなか一軍に呼ばれず、ファームで結果を残しました。
その間、ローテで投げていたら、自身2度目の規定投球回数をクリア出来ていたと思います。
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野手で言えば、鳥谷敬はなぜ一軍にいるのか?
いや、ありていに言えば70人の選手枠に入れること自体あり得ない。
井口資仁の事務所所属だから、というのでは公私混同。
井口資仁氏の辞書には、李下に冠を正さず、という言葉は無いらしい。
 
なるほど、あれほど実績を残したのに関わらず、鳥谷本人は代走でも守備固めでも、自身がチームのために捨て石になる覚悟で挑んでいました。その姿勢は立場であるし、若い選手に良い影響を与えたやも知らない。
しかしそれが限られた一軍枠にとって必要なことだったか?
僕はそう思わない。
一軍に鳥谷枠を設けるならば、3割を打ち二軍でも首位打者の働きをした加藤翔平を降格させる事の方が理にかなってる。
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三顧の礼ををもってFA獲得した福田秀平に対する厚 遇もまた井口イズムそのものでした。
鈴木大地というマリーンズにとって精神的支柱を放出してまで入団をを優先させた福田秀平選手は残念ながら、それに見合う成績を残せませんでした。
ソフトバンク時代、敵としての福田秀平は俊足攻守のパンチ力のある打者というイメージでした。
しかし、いざマリーンズの一員として見た時、パンチ力そのものは認めるも、守備や走塁は加藤翔平以下でしか無い。
ケガ体質もホークス時代と変わらず打撃そのものもマリーンズの外野手争いの中ではレギュラーたりえない。
それでも怪我が治れば使い続ける。
その意味こそが、井口イズムに他ならない。
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 もっとも、同じようにトレードで獲得した岡大海も同じように結果は残せていない。
この両選手に関しては、鳥越ヘッドの意向が強く働いたと言うことかもしれない。
来季(もう今季だけど)、鳥越氏が一軍から外れる要因は、案外福田秀平にあるのかも?
というのは、僕の斜め目線下衆た見方だけどね。

僕が望むのは、チームにとってのふぇあな競争です。
今季、マリーンズはコロナ禍に見舞われました。
これもまた今シーズンを象徴するやうな事件でありましたが、レギュラーが離脱し、急遽2軍から野手を緊急昇格するという非常事態に見舞われました。

その中から外野手の枠を藤原恭大とルーキー高部が競いました。
最初に1番としてスタメンに名を連ねたのは高部選手でした。
しかし高部選手は結果を残さず、代わりに起用された藤原恭大選手の活躍は見ての通り。
これこそが、フェアな競争であると思います。
結果、藤原恭大の打席は我々ファンにとって最高の希望となり得たのです。
こういう人事こそがベンチワークであると思うのですよ。

井口マリーンズは来季4年目を迎えます。
若い選手が芽吹いています。
恐らくは、過去10年間で1番希望を感じた年だったと思います。
この希望が空中分解する事なく、大輪の花を咲かせるような、そんな2021年であって欲しい、と願わずにはいられません。