基礎がトトロではいけない。
先日、オフィスのすぐ近くにある京都国際マンガミュージアムにて
養老孟司氏と宮崎駿氏(以下、敬称略(笑))の対談が行われました。
ものすごい競争率で当然見にいけなかったのですが
その様子がテレビで放送されました。
出かける都合で全部見られなくて残念至極なんですが
宮崎駿の「基礎がトトロではいけない」という言葉が
やけに残ってます。
海辺で育った人には夕日を描けというとふるさとの
海に沈む夕日を描く。
生まれ育った地域によって描く木立が全然違う。
みんな生まれた土地の土の色で描く。
でも、都会の人(東京って言ってたかも)はそれが
なくって描けない。
わかる気がします。
私も好きで絵を描きますが、明らかにあらわれる空気や風や
温度や湿度は京都の、それも伏見のものであると
強い自覚があります。
トトロを描く現場では暑い最中、ハエが飛んでいて
それを払いながらの作業です。
でも、映画館は空調の効いた場所。そこには湿度がありません。
宮崎駿は「アニメーションなんて年に1回くらい見て
あれはなんだったのだろうと感じるくらいがいい」と
いう思いをいまだに持っています。
もうひとつ興味深い話が出てきました。
スタッフの子供さんをクルマに乗せたときの話。
クルマというのはおそらく映像の中で登場したグレーのシトロエン2CV。
屋根が開く仕掛けがあるのですが、雨が降ってきたときのこと。
車内が濡れるから、と閉めてしまったそうです。
そのことをいまだにとても悔やんでいる。
エンターテイナーとして失格だと。
あのまま雨が車内に降ってくれば、ワーワー騒ぎなら
そして駅までの道や駅に駆け込むまでのことが
子供のいい思い出になっただろうと。
そうか、そういうことを考えている人なのかと思ったわけです。
宮崎駿の描く作品世界には小さな頃から
私自身が大きな影響を受けてきました。
しかし、大人になって気になりはじめたのは
彼の仕事人としてのスタンスです。
保育園は国からの補助があると制限が多くなるからと
作りたいように作る。
地下があったり、階段があったり、バリアフリーの逆を行く。
でも、ようやく歩けるくらいの子供でも落ちたりしないと言います。
保育園の横には垣根をなくしてホスピスを作りたいとも言います。
これが仕事なのか、と言うとそうではないと思いますが
生き方なのだと言われるとまさにその通りだと思います。