火天の城
織田信長が建てた安土城。
日本で初めての本格的な天守をもつ城郭です。
その安土城築城を請け負った織田家棟梁岡部又右衛門の
親子を描いたのが「火天の城」(文藝春秋)。
山本兼一の文章は読みやすく、かつ精巧で
日本建築の様式美をまるで見てきたかのように
見事に描き出していきます。
「魂はディテールに宿る」、そんな言葉がピッタリです。
当時戦場での普請を担う大工たちの役割は非常に
大きく勝敗にまで影響を及ぼすほどだったのですが、
この物語では他にも様々な、これぞプロ!と
思えるような人物が登場します。
瓦を焼く職人、
石を切り出し組み上げる石工、
森で木を切り出す杣(そま)・・。
棟梁はのべ数万人の彼らをまとめあげ
城を建てます。
『大工は木を組み、棟梁は人を組む。』
この言葉が印象的です。
信長から次々と飛び出すアイデアをいかに形にするのか。
これまでに誰も成したことがないからこそ自分がやってみたい。
人に苦労し、人に助けられ、人を信じ、人に裏切られ、
人を組んでいく岡部の姿。
読み終えたときの感覚は、まるで「プロジェクトX」を
見終えたときのようでした。
一流のエンターテインメントだと思いますが
”仕事”のことを見つめられる作品でした。
9月12日全国ロードショーで本作の劇場版が
公開されます。こちらも今から楽しみです。
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