『この世界の片隅に』レビュー
あえて断言する。これまで観てきたアニメーション作品の中で最高傑作だ。
まず目を引いたのは、注目度の高さである。
平日の昼間の上映にもかかわらず、満席だったため、人生初の立ち見映画となった(笑)
考えてみれば、クラウドファンディングで4000万弱の製作予算を調達しているわけだし、当然といえば当然なんだけど。
でも、実際にテアトル新宿に入りきらないほどの混雑を目の当たりにすると、、、「すご…」と自然と声が漏れた(笑)
同時に驚いたのが、『めちゃくちゃ“客質”が良い』ということ。
本来、“注目度の高さ”と“客質”は共存しない。
にもかかわらず、この作品のお客さんは上映中のマナーが良いのはもちろんだけど、笑えるところ、泣けるところできちんと反応を示してくれるから、劇場全体で作品にのめり込めるような雰囲気を作り出しているように感じた。
こんな体験は人生で初めて。
ちなみに、ぼく上映中に泣いちゃったんだけど、周りみんな泣いてたから全然恥ずかしくなかった。
以下内容
ネタバレしないのでご安心を。
(って言っても、この作品にネタバレも何もないんだけどね)
まず、あらすじ
【18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。】
あらかじめ否定しておくが、この作品はいわゆる“戦争映画”ではない。
“戦争映画”として類別して敬遠してる人がいるならば、なんともったいない!
本当に本当にもったいない!
この作品は、戦時下を力強く生き抜く人間ドラマをアニメーションという手法を用いて表現した傑作なのだ。
「戦争」という非日常的な外的要因が厳然と降り注いできているとしても、そこには必ず誰かの平穏な世界の“片隅”が転がっている。
そんな“片隅”を大切に、変わらず、送り続けることが、どれほど困難か。
悲惨な戦時下を必死に耐え抜き、それでもなお笑おうと気張るすずの姿勢には涙が止まらなかった。
この作品で本当に凄いと思ったのは、ほとんどの“説明”がないところ。
あえてセリフやモノローグとして言語化せず、風景描写、表情、息遣いといった細やかな演出でその情景を表現しているため、その捉え方はほとんど視聴者に委ねられている。
端的に言えば、視聴者に膨大な余地があるのだ。
それこそが、視聴後に悲しみではなく、温かくて気持ちがいい余韻を残す所以の1つなんじゃないかと僕は個人的に思ってる。
あと最後にこれだけは言いたい。
のん(能年玲奈)を主人公すずに抜擢したキャスティングセンスに賞賛の拍手を送りたい(笑)まじで(笑)
のんの穏やかでのんびりとした声色こそが、世界観を確固たるものにしていて、作品の完成度そのものを決定付けている。
ぶっちゃけ、演技を観たのは「あまちゃん」ぶりだったけど、のんの役者としての表現力には感嘆した。
あと主人公すずの旦那役をつとめた細谷佳正も素晴らしく良かった…。
細谷佳正は昔から大好きな声優だから、色眼鏡は多少あるけど、たぶん誰が観ても良いと思うはず。
のんと細谷佳正のタッグは本当に素晴らしかった。
アニメーションには声色の相性ってあると思うけど、この2人に関しては相乗効果が尋常じゃない。
改めて、こんなブログを最後まで閲覧してくれた優しいあなたには、『この世界の片隅に』をぜひ、ぜひ観に行っていただきたい。
時代背景のすべてが伝わる緻密な風景描写、細やかで丁寧な演出、世界観を司る穏やかな音楽、役者陣の素晴らしい表現力、、、すべてにおいてこんな映画観たことがない!
126分の上映中、1秒たりとも退屈しなかった!
むしろ、「まだ終わらないで」と心が叫んでた(笑)!
僕の全てをかけてオススメする!!
…ってワシャ関係スタッフか!!ちゃうわボケ!ただのファンや!!!
