手を引かれて
階段を駆け上がって
屋上に登ると
「好き」ときみが言った

突然のことで驚いて
聞き返そうと思ったら
「誰にも言わないで」と
先を越された

晴れ渡る空の先に
小さな雲が浮かんで
ただその雲を見つめて
きみの吐息を聴いていた

「ありがとう」
なんてありふれたセリフしか言えない僕を
急かすように
「私のこと好き?」と
目を見つめて聞かれたりした

自分でもわかるくらい
鼓動が早くなり
「うん」
それしか返せなかった

「ありがとう」
さっきの僕のセリフをきみが
きれいな瞳で見つめながら
それでも少し潤ませながら
僕の手を握った