鍵盤を滑る
きみの指がとても綺麗で
聴いたことのある曲を
気持ちよく弾いてくれる

ピアノの音が部屋中に広がる

ふたりだけの秘密の音楽室で
僕のためだけに
きみは演奏会を開いてくれた

「つぎも絶対に知ってる曲だよ」
Gymnopediesが流れる
「さすがにこれは知ってる」
そう言って聴き惚れた

繰り返される音階と
ゆっくりとした音符は
手にした缶コーラよりも
ミルクティーがあってる気がする

「ありがとう」
きみの小さな手は
まるで魔法のよう